エピソード26 ホストの性
歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。
そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと
そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。
昨日は潰れなかった。
楽しく飲めて、
二日酔いもない。
いい休日だ。
りんは、
あれから大きな進展はない。
今日は、
配信者の家に行く日だと言っていた。
何か動くとしたら、
今日。
夜、
連絡が来るといいな。
スマホを置いて、
みきとメロに
久しぶりに連絡してみる。
みきは、
あれから来ていない。
メロは、
ちょうど俺が名古屋にいたとき、
バーに誘われたが行けなかった。
埋め合わせをしたい。
今は昼。
メロはこの時間、
だいたい寝ている。
みきは大学。
昼休みに返信が来るはず。
そう思っていると、
通知が鳴った。
みきだった。
「連絡ありがとう。
でも私、お金ないから
お店はいけないよ」
胸の奥が、
少しだけ痛む。
様子見のLINE。
でも、
全部“営業”として受け取られる。
ホストの性だ。
……まあ、営業の一環ではあるけれど。
少し、傷つく。
「お店来てほしいって意味じゃないよ。
あれから返信なかったから、心配で」
既読。
すぐ返信。
「それを営業って言うんじゃないの?」
「ただの大学生には行けるお店じゃなかったから、
もう誘わないでほしい」
あっさり、刺さる。
「ごめんね。
もう俺からは連絡しないね。
学校頑張って」
終わりは、
静かだった。
もっと、
できることはあったはずだ。
みんなが納得できる店にしたい。
そう思う。
でも、
今の俺には
まだ無理だ。
少しして、
メロから返信。
「今起きた。
明日なら夜空いてるから
お店行って、そのあとバーにしよか」
早い。
歌舞伎の人間は、
決断が早い。
だいたい今日か明日で話がつく。
これで、
明日は営業後、
いつものバーだ。
毎回、
俺だけ先に帰るのも悪い。
それも、
明日話してみよう。
夜。
りんから連絡。
「今日、配信者の家行ったら
別の女が来てる形跡あった」
一瞬、
胸がざわつく。
「まじか。
最悪じゃん……」
既読。
すぐ返信。
「え?
最高なんだけど」
思わず笑う。
「これ突きつけて
関係終わらせてくる」
――なるほど。
「それは離れられそうだ!」
正直、
少し安堵した。
これで、
流れは変わるかもしれない。
休日のうちに、
三人の話が動いた。
みきは、終わった。
メロは、明日。
りんは、転機。
悪くない。
いい休日。
悪くない。
そう思いながら、
スマホの通知を
もう一度確認する。
既読は増えない。
この街では、
何も起きない夜が
一番、静かに怖い。
画面を伏せて、
俺は目を閉じた。
よんでいただきありがとうございます。
感想、評価、レビュー思ったままにお願いします
ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。
今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。




