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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード24 100回

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


 次の出勤日。


掃除も、

もう板についてきた。


机を拭きながら、

ふと思う。


目標を決めてから、

二週間。


リコピン。

茉奈アイバン

みき。

みく。


今、指名してくれているのは、

この四人。


りんとメロは、

まだ店には来ていない。


ホストを始めて、

一か月半。


これが遅いのか、

早いのかも、

分からない。


もしかしたら今日の初回で、

いきなり

数百万使う子が現れるかもしれない。


SNSを見て、

突然指名してきて、

一撃で跳ねる可能性も、

ゼロではない。


ゼロに近いが、

ゼロじゃない。


毎日、

宝くじみたいなものだ。


でも宝くじと違うのは、

自分の行動で、

確率を上げられること。


そう考えながら、

フロアを磨く。


予定はない。


今日も、

ゼロからスタート。


営業が始まった。


そのとき。


「そーらー!!」


入口から、

俺の名前を呼ぶ声。


心当たりが、

なさすぎる。


振り向く。


――リコピン。


「え?なんで?」


目を丸くしていると、

キャッシャーを済ませて、

こっちに走ってくる。


「つぶれてんじゃないよー!!」


「私のほうが強かったね!

勝ちぃ!」


素面なのに、

元気。


何が起きてるのか分からないが、

とりあえず席へ案内。


酒を作る。


一拍置く。


「どうしたの?

なんで来てくれたの?」


リコピンは、

信じられない顔をする。


「え!うそ!

覚えてないの?」


嫌な予感。


「奏楽が言ったんだよ!」


「LINE聞いたら

100回指名したら教えるって!」


「毎出勤絶対来いって!」


「毎出勤来たら

100回あっという間だろって(笑)」


――まったく、

記憶にない。


「そんなこと言われたの

初めてだったからさ!」


「おもろ(笑)」


「絶対100回来てやろーって

思ったんだから!」


頭を抱えたくなる。


「覚えてなくてごめん」


正直に言う。


「でも酔っ払った俺、

ナイスだな(笑)」


「そうしよ。

あと99回、頑張って!」


「覚えてないくせに!

ずるい!」


笑いながら、

テーブルを叩く。


「今日はつぶれんなよ!」


「それはマジでごめん。

あの時は色々あって」


「普段はつぶれないから!」


「えー、

ほかの女とトラブってんのー?」


「うける(笑)」


「いやいや、

女の子のこととは言ってないだろ」


「だいたいそうだろ!」


「私が聞いてあげよっか?」


「ガチ恋じゃないから、

ほかの客の話されても妬かないし!」


その軽さが、

救いみたいだった。


「わかったわかった(笑)

今度話すから」


リコピンは、

いい子だ。


駆け引きでも、

依存でもない。


ただ、

“面白いから来た”。


それが、

こんなに嬉しいなんて。


――本当に、

毎出勤来てくれるのかな。


もし来るなら、

それはもう、

宝くじじゃない。


育てる関係だ。


そう思いながら今日もテキーラを飲んだ。

よんでいただきありがとうございます。

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