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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード23 テキーラ

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


 先輩にも怒られたし、

今日は、

気持ちを切り替えよう。


いったん、

仕事に集中する。


ちょうど、

初回に呼ばれた。


「失礼しまーす。

奏楽です」


そう言って、

手書きの名刺を渡す。


新人は、

手書きの名刺。


慣れてきたら、

自分用の名刺を

発注する決まりだ。


「え、新人さんなんですね」


「はい、

これからです!」


「顔が自信満々だから、

ベテランかと思ったよ」


思ってもみなかった言葉に、

少し驚く。


でも、

今までで一番いい反応かもしれない。


――このまま、

押し切りたい。


「こっから、

伸びますよ僕」


笑いながら言う。


「初期投資、

してみません?」


「えー、

してみようかな」


軽いノリ。


「こういうのって、

フィーリングだもんね。

なんか、

ビビッと来ちゃった」


「え、嬉し!」


勢いで言う。


「もう、

飲みなおししちゃう?」


「しちゃうかー!

お願いしまーす」


――まじか。


初めて、

一人で

飲みなおしを

もらった。


まだ、

名前も聞いていない。


「改めて、名前は?」


「んー、トマト!」


「え、あの野菜の?」


こくり。


「え、あの赤いやつ?」


こくこく。


「え、リコピン入ってる?」


そこまで言った瞬間、

爆笑された。


「やば(笑)」


「本名まだ言いたくないから、

好きな食べ物言ったのに、

リコピンまで行くの

すご(笑)」


「トマトといえば

リコピンでしょ」


笑って言う。


「じゃあ、

リコピンって

呼んでいい?」


「たしかに!

トマトより

リコピンのほうが

かわいい!」


――いい感じだ。


このまま、

もう少し

売上が欲しい。


「リコピン、

結構飲める?」


「強いほうだと

思うよ」


「テキーラとか、

好き?」


「好き!

トマトの次に

好きかも」


「そんなにかよ」


笑いながら言う。


「じゃあ、

二人で

テキーラ乾杯しよ」


「いいよー!

今夜は

飲むぞー!」


テキーラが、

重なっていく。


これは、

それなりに

売上になったはずだ。


――が。


昨日の疲れもあってか、

一気に酔いが回った。


視界が、

滲む。


意識が、

途切れる。


目を覚ますと、

営業は終わっていた。


隣に、

水を持った

麗がいる。


「頭が……

割れそうに

痛い……」


「麗、ごめん」


「大丈夫っすよ」


苦笑いしながら言う。


「なかなかの

売上でしたよ」


少し安心しかけた、その直後。


「ちゃんと、

姫の

アフターケア

してくださいね」


――あ。


「待って……」


一気に血の気が引く。


「俺、

送り出ししてない……」


「連絡先も……」


「交換してない……」


初めての

飲みなおし。


一番大事なところを、

全部、

落とした。


「それは、

やらかしてますね」


麗が肩をすくめる。


「また来ることを、

祈りましょ」


うまくいって、

反省。


うまくいって、

また反省。


その繰り返し。


でも、

歌舞伎町に来てから、

毎日が、

やけに刺激的だ。


――これは、

たぶん、

成長だ。


少なくとも、

昨日よりは。

よんでいただきありがとうございます。

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ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

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