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『気ままなポーション生活〜異世界転生したら万能薬スキル持ちでした〜』  作者: ゆう


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第19話 聖域の果実

世界樹の種を鉢に植えたゆう。

しかし彼の“育成熱”はそれで止まらなかった。


森の奥で偶然見つけた果物の苗──

ゆうはそれを“鉢植え栽培”することを決める。


第19話 聖域の果実


世界樹の種を植えた翌朝──

ゆうは聖域の静けさの中で、ひとり鉢を見つめていた。


種はまだ動かない。

だが、うっすらと光を宿しているように見えた。


「焦るなってか。まぁ、植物なんてのはゆっくり育てるもんだ」


クロが横で「ウォフ」と鳴き、

その鉢の前にちょこんと座った。


「見守り役、買って出てくれるのか? ありがとな」


ゆうは立ち上がり、森の奥へ向かって歩き出した。


「さて。せっかく家を作るなら……

 食べ物も“育てられる”ようにしておきたいよな」


田舎キャンプ時代、

ゆうは山に自生する食材をよく観察し、

簡易栽培をして遊んでいた。


異世界でもできない理由はない。


***


聖域から少し離れた場所で、ゆうは妙な木を見つけた。


背丈ほどの高さ。

葉は淡い黄色。

実はオレンジ色に近い透明感のある光沢をしている。


「これ……食えそうだな」


手に取って匂いを嗅ぐと、柑橘系のような爽やかな香りがする。


「おお……久しぶりにフルーツだ!」


ゆうはかぶりつく前にクロへ差し出した。


クロが念入りに匂いを嗅ぎ、

それから「ウォフ」と短く鳴く。


ゆうは笑って頷いた。


「大丈夫ってことだな」


ひとくち齧ると、

甘酸っぱさが口に広がり、スッと身体が軽くなるような感覚が走った。


「……うまっ! これ、栄養ドリンク系の味じゃん」


食べた瞬間、少し疲労が抜けた気さえする。


「これ、育てたら便利だぞ……」


ふと木の根元に目を向けると、

いくつか小さな苗が芽吹いていた。


「お前ら、家に連れていこう」


ゆうは苗をそっと掘り起こし、

世界樹の鉢を作った時の残り材を使って、

果物用のミニ鉢 を即席で作り始めた。


世界樹の木は不思議なほど加工がしやすかった。


「硬いのに、切れるところは切れる……

 なんなんだよ、お前は。万能素材か?」


クロが鼻先で木片を押し、手伝いのつもりらしい。


「おっと……はいはい、そっちはまだ使うぞ」


30分ほどで、小さなウッドポットが3つ完成した。


ゆうはそこに苗を植え替え、

世界樹の鉢の横に並べた。


「うん、いい。これで果物も育てられるな」


その瞬間、

聖域の風がふわりと吹いた。


風とともに、

世界樹の鉢の周りに薄い光の粒が漂い、

果物の鉢へも同じ光が移っていく。


ゆうは思わず目を見開いた。


「……おいおい、連動してんのか?」


クロがゆうと鉢の間を見比べ、嬉しそうに吠える。


「ってことは……

 ここで育てる植物ぜんぶ、強くなるってことか?」


その考えに、ゆうの胸が躍った。


「よし……果物畑、作ろう。

 世界樹がそばにあるってんなら……

 普通じゃ味わえない果実が実るかもな!」


クロがその場で跳ねるように喜ぶ。


ゆうは並べた鉢を愛おしげに眺めた。


世界樹の種。

果物の苗。


聖域の家づくりは、

“植物”から始まろうとしていた。


「よし。これから毎日、水やって、土見て……

 俺の異世界ガーデニング生活、開幕だな」


森の奥で、

ゆうとクロの新しい暮らしがゆっくり動き出す。


世界樹の種と果物の苗たち。

聖域は、ゆうの手によって小さな“森の庭”になり始める。


次回、第20話「芽吹き」。

世界樹の種と果実の苗──

最初に芽を出すのはどれだ?

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