7.妙案、進次郎の作戦
(本作品はフィクションであり、実在の人物や政治的主張とは関係ありません)
ヤマズ商会に乗り込む30分前、コースカ商会で、ヨーコと進次郎は作戦を考えていた。
まずヨーコは契約を施した連中についてヴェルニーから聞きだした。名うての悪徳商会ヤマズ。彼らと交渉しなければならない。
「よりによってヤマズのところか……この辺では一番たちが悪い連中なのよね……父はハマにいるし……何かいい手は……」
「時間がありません。正面から乗り込みましょう」
冷静そうに見える進次郎だが、ヴェルニーの危機となれば慎重ではいられない。
「いや、無理でしょ。そもそも取り次いでもらえないわよ。荒事なら向こうの方が得意だし」
「その商会は何を扱ってるんです?」
「金になるものならなんでも。どっちかっていうと珍しいモノとか危ないモノ扱うことが多いわね……人身売買だってやる」
それを聞いて進次郎は思いつく。
「このスピーカーならどうです?」
テーブルにおいてあるスピーカーを指差す。
「いいかも。こんなもの誰も見たことないから。美術品ってことで通ると思う。でもいいの?大事なものなんでしょう?」
「ヴェルニーの命とは比べ物になりません」
進次郎は言い切った。
「わかった。ウチの商会の名前とこれがあれば取り次いでもらえると思う。でもどうやって契約を解除してもらうかが問題よね……そもそも相手に不利益がある話だし……」
「このスピーカーと引き換えに……というのではどうですか?」
「うーん……普通の相手ならそれでも大丈夫だと思うけど……これにそこまで価値を感じるかが怪しいわね。仮に価値あると思っても、連中だと契約満了とスピーカー両方取ろうとするわよ……契約魔法の満了が間近なんだし」
確かに取引は成立しなさそうだ。
「では向こうが進んで契約を放棄するようなアイデアがいるわけですね?」
「そうだけど…そんな都合のいいアイデアないわよ……」
無理難題に聞こえる。
「私に一つ考えがあります……」
進次郎はヨーコに一つのアイデアを語った。それはスピーカーの機能を駆使して、とんでもない価値があるように見せかける……というものである。それが未来を語る天籟の語り手だ。
実際には、スピーカーだけを持ち込み、部屋の外から無線マイクで預言っぽいことを言うだけだ。少しでも信じ込ませられれば良い。
「いけるかも……でも相手の性格にもよるし…五分五分くらいね……」
「時間がありません。五分五分なら賭けてみましょう」
「そうね…やらなければゼロだもの。やってみましょう」
そして進次郎は商会の外から、無線マイクを使い、天からの声を偽装したのだった。
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