表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/51

30.宴のまどろみ、伝令にやぶられる

(本作品はフィクションであり、実在の人物や政治的主張とは関係ありません)

挿絵(By みてみん)


コースカ商会の夜通しの宴の疲れによるまどろみは、けたたましい伝令の声で破られた。


「相談役シンジロー殿、火急の用件にて、王宮に至急参集ください!!」


その声の主は、かつて獣人街の相談所で傲岸不遜な態度をとっていた近衛兵だ。

今は大袈裟なまでに声高に伝達し、職務に忠実である姿を見せている。


「何だこんな朝早く……」


寝ぼけ眼のコースカ商会の総帥リュードは、眼をこする。ヨーコも二階の寝室から降りてくる。


「火急の要件とは?」


進次郎は、昨夜の深酒が嘘のように、背筋を伸ばし、さわやかな顔で兵に近づく。彼は二日酔いとは無縁のようだ。


「は……隣国のサキからの使者が来たとのことのみで、詳細は私も知らされていません」


近衛兵は、報告の義務を果たすべく、端的に、しかし緊張した面持ちで報告する。


「これは……まずいな……」


リュードは呻くように呟いた。二日酔いの顔から、一瞬にして厳しい商人の顔に戻る。


「なぜです?」


進次郎は眉をひそめた。リュードは進次郎がこの世界で会ってきた中で最も世知に長けた人物だ。そのリュードが重々しく言った。


「シンジロー殿、この招集には応じないほうが良いかもしれない」

「サキはハマの隣の都市国家だが、長らく公式の交流は無い……我々、商人は交易するが、それはあくまで水面下の話だ」

「なぜ?」


進次郎の問いに、リュードは深い溜息をついた。


「80年前の和平があまりにも強固な条件で締結されたからだよ。お互いに一歩も譲れない、通称”膠着和平協定”。だからサキが使者を寄こしたということは、その膠着を破る何かの可能性がある……」


「なるほど、だとして私が呼ばれる理由は?」


進次郎の視線が、王宮からの使者である近衛兵に向けられる。

リュードはつばを飲み込みながら答える。


「そこだ。おそらく、シンジロー殿自身がその膠着を破る何かに関係しているのでは……」

リュードの言葉に、進次郎は小さく笑みを浮かべた。

その表情は、どこか諦めているようでもあり、覚悟を決めているようでもあった。


「だとしたら、私がまいた種です」


「まぁ、あんたならそういうだろうな…」


リュードは、進次郎のその潔さを知りつつ、顔を顰めた。


「シンジロー殿!王子がお待ちです!」


近衛兵が、焦燥感を滲ませながら促す。


「わかりました。私とヨーコもついていきます。できるだけあなたの助けになりたい」


リュードはそう申し出、同行の準備を整える。

そこには二日酔いの気だるさは消え去っていた。


そして、リュードの懸念通り、この会合はこの国を揺るがすことになるのだ。


第4章開幕!ここからギアが上がってきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ここへ来て条約破棄が現実とリンクしてくんのアツ……くはないか。起きないに越したことないはずなのになあ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ