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進次郎が異世界に行ったら異なる世界だった【第3章開始】  作者: ビヨンドほうじ
進次郎、セクシーな解決策を模索する
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進次郎構文、その秘密(2)

(本作品はフィクションであり、実在の人物や政治的主張とは関係ありません)

「この勝負は私の勝ちだニャー!」

ヴェルニーはマシタを前に、誇らしげに両手を腰に当て、胸を張る。


「ハァ…ハァ……んだよ……速すぎんだろ……」

負けを認められず、下を向いている。まだ肩で息をしていて回復していない。息も切れてないヴェルニーとの実力差は明白だ。


「姉ちゃんが本気出したら超速いんだよ!負けたところ見たこと無いもん!」

ジュールも姉に負けじと胸を張る。


「とにかくこれでジュールに手を出さない!良いね!約束だニャ!」

勝ち誇って念を押すヴェルニー。

「クソッ」

苛立ち紛れに地面を蹴るマシタ。

進次郎は近づいて、丁寧な口調で、マシタに確認する。


「マシタ君、約束通り、ジュール君からは手を引いてくれるね?」

「……」

マシタは答えない。


「マシタ君、君も困っているのではないかな?」

「……」

なおも口をつむぐ。実際、マシタは街の悪い連中から上納金のノルマを押し付けられて、良いように使われているだけで、問題は解決してない。


「マシタ君。私からお願いがある」

「お願い?」

意外な申し出にマシタは釣られて反応してしまう。


「私は、ここでしばらく、君たちを助けるために働きたいと思う。君や、君の友達が困っていることを教えてくれないか?」

「はぁ?」


この街はよそ者が寄り付かない街。大人が寄り付かない街。たちの悪いゴロツキが子どもたちを良いように使う悪意と貧困に満ちた街だ。そこで困りごとに乗りたいと言ってくる人間なんているはずがない。それがマシタの常識だった。


「私は困っている人を……特に君のような若者が困っているのを助けたい。そして今の私には困っている人たちを助ける能力があるようだ」

「無理だ。この街を仕切ってる連中が黙ってないよ」

「誰が仕切ってるんです?それが貴方に仕事を依頼しているのでは?」

「……そうだ。赤煉瓦団。この一帯を仕切ってる」

「では、私が彼らと交渉しましょう。お互いの利益になる話もできるはずです」

「それは……お前の勝手にすればいいけどよ……なんでよそ者のアンタがわざわざ?」

「私がそうしたいのですよ」


穏やかに答える進次郎の手をヨーコが引いて「ちょ!どういうこと?元の世界に戻るんじゃなかったの?」と問いただす。


「もちろん戻ります。これも必要なステップなんです」

「どういうこと?」

「それはいつかお話しますが……ヴェルニーのおかげで、自分の力がどのようなものか分かってきました」

「そうなの?さっき発動しなかったじゃない?」

「そうです。発動には条件があるようです」

「条件?」


その条件が、何なのかわからないことがヨーコに混乱をもたらしていた。条件がわかれば能力をコントロールできるかもしれない。


「まず、私がその人を知って、応援したいと思うこと」

「そうね」

進次郎の性格からしても、誰にでも発動する能力には見えない。


「ただし、その人の力で解決できる状況のときには、私の力は発動しないようです」

「どういうこと?」

「以前、二人を助けた時、いずれも二人の力ではどうしようもなかった。本人の力ではどうにもならない理不尽な状況でないと私の力は発動しないのだと思います。今の勝負は、彼女の本人の力で勝てたんですよ。私の余計な助けなんて不要だったんです。」

進次郎は自分の手を見つめ、力の正体に思いを馳せる。


「自分でできるなら助ける必要ないってこと?」

「その通りです」

本人ができることを、無理に助けることはその本人の努力を無下にすること。それが進次郎のポリシーであり、そのことが能力に現れていた。


「ですが、この街ではジュール君やマシタ君のように自分の力ではどうにもならない状況に苦しんでいる子どもたちがたくさんいると思います。私の力は彼らの力に役立つはずです」

自分の力だけではどうにもならない人たちの力となること。これはまさに進次郎の政治家としての信念だった。


「なるほど。能力の秘密は分かったけど……ここで困ってる人を助けることと、貴方が元の世界に戻るのとどう関係あるの?結局セクシーな解決策って何?」

「それは……もう少ししたらお話できるかもしれません……」


ヨーコの問いに、進次郎は爽やかな微笑みを浮かべてはぐらかした。


(本作品はフィクションであり、実在の人物や政治的主張とは関係ありません)

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