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深慮遠謀、セクシーな解決策

(本作品はフィクションであり、実在の人物や政治的主張とは関係ありません)

「あ~~~どうしよう〜〜こんな変な騒ぎになってたら商会のツテも魔術ギルドのツテも使えないじゃない!」

ベッドに突っ伏しながら、ヨーコはブーツを履いたままの足をバタバタさせている。

ヴェルニーは我関せずで、寝室の見慣れぬ調度品をいじっている。


「昨日の今日ですからね……驚きましたね……」

椅子に座って足を組みながら、進次郎は考え込んでいる。


「決まってるじゃない!デブのヤマズとクソ魔術師のベツリがあちこちに広めまくったんだわ!あ〜もうあのアホ連中、余計なことしやがって!」

うっぷんを晴らすかのように枕を殴りつける。


「この世界でも噂は広がるの速いですね…」

「今回の件は特別よ……連中よほどビビってんじゃないの?これだと私達も狙われてるって考えたほうがよさそうね…」

荒れるヨーコとは対照的に進次郎は先ほどから静かに考えている。


「いくつか聞きたいことがあるのですが?」

ふと進次郎が聞いた。

「はいはい。何よ?」

ベッドで突っ伏しながら顔だけ進次郎の方に向けて答える。


「この世界で魔法と言われるものにはどのようなものが多いのでしょう?」

「私が関わるのは契約魔法が多いかな。約束事とか決まりとかを文言に落として、破るとペナルティーがあるみたいな。ヤマズのとこのベツリみたいのがいっぱいいる」

「火や雷を出したりする魔法は?」

「精霊と契約している魔術師なら。でも、そんなに見るものじゃないね。人数少ないし、だいたい軍属じゃないかな」

「傷を直したり、死者を生き返らせる魔法は?」

「そんなのあったら医者いらずじゃない?」

この世界では魔法は万能の存在では無いらしい。


「なるほど……次に、この国についてですが…スピーカーが王家の宝物庫から盗まれた…という話になってるということは王様がいるんですよね?」

「いるよ〜アダムス王家ね。王様がヘンリー・アダムス5世、王子がウィリアム・アダムス」


「政を行っているのは王様ですか?」

「最近はヘンリー王は病気がちだから、ウィリアム王子……と言いたいところだけど、実際には家臣団が取り仕切ってて、やりたい放題なんじゃないかな……」

「ウィリアム王子はどんな方なんです?」

「若い王子様。18歳かそこら。すっごい美形って噂。会ったこと無いけど」

「民からはどう見られてます?」

「お飾り王子って感じかな。でも気さくでいい人だとも聞くわね……」

「この国の領土は?」

「都市毎に王家がいるから…ここだとハマの町全体が国ってことになるのかな……ってこれ何の話?」


「いえ、情報があれば、何か良い手を思いつくかと……ありがとう、だいぶわかりました」

進次郎は手を口にあてて物思いにふけっている。

しばらくの沈黙。風で窓が軋む音がする。


ヨーコは体を起こしてベッドに腰掛けながら進次郎に聞く。

「それでセクシー?な解決案は思いついた?」


以前、進次郎はセクシーに解決したいと言っていたが、いまだにどういう意味だか分からない。

なんにしてもそう簡単に答えが見つかるような事態ではないだろう。


だが、進次郎の答えは意外なものだった。


「おおよその解決手段は見えました。少々手間がかかりますが……」

「ホントに?どんな方法?」

そもそも進次郎がこの世界に来た原理もわからない状態で、どんな方法なら可能だと言うのだろう?ヨーコには皆目見当がつかない。


「まずはこの国獲りましょう」

「はぁ!??」


台所にある鍋のフタでも取るかのように軽く言い放たれたその言葉に、ヨーコは驚きの声を上げた。


(本作品はフィクションであり、実在の人物や政治的主張とは関係ありません)

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