食レポ！
夜中、眠れなくて動画サイトを巡回していると見知らぬ配信者がライブ配信をしていた。
真っ暗な画面に、一瞬もう終わったのかと思ったが、若い男の声が聞こえたので配信は続いているっぽかった。
「うぉ、旨ぇ！ちょっと焼きが足りないかなとか思ったんですけど、いいねぇ。旨いわww」
飲食系の配信者なのだろうか。
こんな深夜にも拘わらず男はやたら高いテンションで飯を食っていた。
くちゃくちゃ、ねちゅねちゅという少々汚い咀嚼音も時折聞こえる。
「ズゾォォォォォォ。ん、ん、ぅぐ、ジュル。ぷはぁ！汁もいいわぁ、ちょっと生温いけど。ま、わりと俺好みっていうか？あぁ、でも、どうだろ……万人受けはしない感じかも」
コメント欄は「何食ってんだよ」とか「うわ、食い方きったな」、「終わってるASMR世界に発信すんなこの〇ス。耳が腐るんじゃ」とか散々な様子だった。
俺もちょっと笑った。
ベッドの上で寝転がりながら、スマホを操作し、「ひでぇ」と流れに乗ったコメントを打ち込んでおくのも忘れない。
「ガリ、ボリ、ボリボリッ。ん、ごきゅ。あっ、コメントあざぁす！いや、まぁね、コメントしてくれる皆さんが俺の血となり肉となるので？えぇ、散々なコト言ってくれますけど、良しとします。じゃんじゃんコメントして、俺の飯になってくださいよ」
相変わらず酷い食べ方で、酷いコメントの数々。
最悪の配信だが、雰囲気は嫌いじゃない。
「ニチュ、ニチュ、ブチュッ！はぁ、ウメェな。ウメェ。見た目は悪いが。この――ニュチャ、ニチニチ――歯応えが癖になるっていうか？ごきゅッ。はいゴチ、まだ汁残ってるけど、これは後で使うのでね。えぇ、今日の配信はここまで。高評価、チャンネル登録、あとなんだっけ……まぁその他諸々おなしゃす！んじゃ、また食事時に～」
画面は真っ暗なまま配信が終了し、次の動画へのカウントダウンが始まる。
終わってみればかなり短い動画だった。
つまらないどころか気持ち悪いぐらいの配信だったのに、視聴者が二桁もいたのが謎である。
かく言う俺も、その一人だった訳だが。
それにしたって、何食べていたのかも分からないままの配信はないよなぁ……。
◆――――――――――◇――――――――――◆
・オニCh
10秒前に配信は終了しました。
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こんなホラーもあっていいでしょう、っと。
文月ですっ。深夜に、いえ、もう早朝になろうとしている時に一体何やっているんでしょうね。わっかんねぇや、おら。
さらに考察するともっと怖くなるかもですよ？
何はともあれ、高評価、いいね、えっとあと何だっけ……まぁその他諸々おなしゃす！
