目覚め ※
目覚めの7本
※一部に怪異、死、ややグロテスクな要素があります。苦手な方はご注意ください。
『おはよう、世界』
空が白んできた。鴬が鳴いている。
布団の中は温かく、寝る前に入れた湯たんぽもまだほのかに温かい。
昨日は春とは思えないほど寒かったが、今日はどうだろう。暖かければいいのだが。
さて、今日の朝ごはんはどうしようかな。
そうだ、お味噌汁には新玉葱と玉子を入れよう。昨夜のツワと厚揚げの煮物も出して、子持ちシシャモを出してやる。
うん、いいんじゃない?
ぬくもりを惜しみつつも意を決して布団を捲る。うう、寒い。
おはよう、世界。今日もいい具合にヨロシク頼む。
『不眠』
鴬うたう
車ゆきかう
明るめの窓
薄明るい寝室
知らぬ間に去った夜
気づかぬままに来た朝
眠れぬゆえに目覚めぬ私
『箪笥の怪』 ※怪異注意
婆ちゃんの箪笥の中、嗚咽が聞こえる。ひとつじゃなくていくつも。
震える手を叱咤して、エイヤッと観音開きを開けたらば、ナフタリン臭漂う服がギッシリ詰まってた。
どれも古臭く、すべてにクリーニングのタグが付いている。
嗚呼、成程。可哀想に。嘆いていたのは箪笥の肥やしだ。
『あなたがいるということ』
あなたがいるということ
心臓を鷲掴みにされるということ
切なさと苦しさを知るということ
恋と愛の違いがわかるということ
幸福を積み重ねていくということ
失う危機の影に怯えるということ
あなたがいるということ
いずれ心の住人になるということ
その存在は永遠のものということ
あなたがいるということ
『会いに行く』
貴方がいなくなったら、私は夢を渡り、もしくは輪廻を巡り、ひょっとすると次元をも超えてでも、貴方に会いに行くでしょう。
大丈夫、迷子にはなりません。私と貴方には二人を繋ぐ縁がありますから。
『しといのち』 ※ややグロテスク、死要素注意
鰯の腸に初めて触れた際、ゾッとしたのは死を感じたからだと思うのです。
いりこのワタを取るときは感じなかった恐れでした。
死は……いえ、命は湿潤と温度でより身近に感じられるのかもしれません。
『復讐細胞』 ※死要素注意
貴方を壊した細胞が今、肉塊ごと目の前の小瓶の中に封じられています。
復讐したくとも細胞相手にはどうにもできず、眺めることしかできません。
なので、ずうっと眺めていようかと。
その細胞の一片までもが朽ちるまで、その死を。
おはよう、世界 2024.3.22
不眠 2024.3.26
箪笥の怪 2024.3.27
あなたがいるということ 2024.3.28
会いに行く 2024.3.29
しといのち 2024.3.29
復讐細胞 2024.3.29




