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混沌から星屑を拾う  作者: 三山 千日


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14/76

あわい、まどろみ ※

まどろみに見る夢のような7本


※一部に鬱要素があります。苦手な方はご注意ください。

『あわい』


 夜と朝の間

 昼と夜の間

 夢と現の間

 季節の変わり目

 此岸と彼岸の間


 見るな、聞くな、避けろ、遠ざかれ

 誘われぬうちに

 連れていかれぬ内に

 そこはお前のいるべき場所じゃない






『敵』 ※鬱要素注意


 目蓋を閉ざしたって、涙は出なかった。

 口を開けたとて、言葉は思い付かなくて。

 ペンを持ったけれど、文字ではなく無意味で歪な線しか書けなかった。


 私の痛みなど、誰も知る必要はないのだと悟る。


 私の敵は私だけであり、私の味方もまた、私のみだった。






『時計』


「あいつは本当にせわしのない奴だな」

 庭先でのんびり煙草を吹かす親父が、あちらこちらに駆け回る倅を眺めフと笑う。


「そういう親父は随分とのんびり屋になっちまったな」

 若い頃より腹回りが立派で、いくらか縮んだ親父の背にシミジミと語る。


 俺ら三代、時計の針だ。






『春 二〇〇円』


 春の知らせのふきのとう

 二〇〇円で買う春の味

 昔はタダで摘んでいた






『烏龍茶』


 カップの中に琥珀色。

 蜂蜜より濃く、メイプルシロップより薄い色。

 ちょっとだけ花に似た香の、渋くて軽い酸味を持つお茶。


 その名に入る烏と龍が、体の不調のもとを持ち去るのを願い、チビチビと口に含む。






『おやすみ』


 まどろみ、眠りに就くときの、水底に緩やかに沈むような、死にゆくようなあの感覚をいつから甘受したのやら。

 幼い私は入眠を酷く恐れていたというのに。






『悩みは願い』 ※鬱要素注意


 眠くて。

 でも、起きられずにこのまま死んだらどうしよう。

 暗闇に食べられちゃったらどうしよう。


 幼い頃のわたしの悩み。

 幼いわたしにとって、眠りは死と隣り合わせだった。


 今は逆。

 幼い悩みは願いになっている。

あわい 2024.02.19

敵 2024.02.19

時計 2024.02.22

春 二〇〇円 2024.02.22

烏龍茶 2024.02.23

おやすみ 2024.02.23

悩みは願い 2024.02.23

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