奴、追ってくる ※佐一の従者視点
あのようににしつこい奴は、世界で奴ひとりだけだと思います。佐一も、いい加減消してさしあげればよろしいのに、佐一は優しすぎるのです。奴がいるから、私が佐一にかまってもらえないのです。
私の中枢が佐一を探している。夢サーチで、佐一を探してる。
寝なければ佐一に会えないだなんて、そんなのひどすぎます。
…ああ、見つけましたよ。
佐一、竹林で密会ですか。
りんごなんて転がしてすっころんでしまわれたのですね。
ケガ、してませんか?
痛くはありませんか?
奴に言い寄られてませんか?
ああ、言い寄られてるんですね。
それに膝とエックス!な腕がいたそうです。
でも大丈夫、私がただいま参ります。佐一のそばに、ただいま参りますから。
「ハヤセ!」
「こらハヤセ!」
「早瀬!!寝言は夜に言うもんだ!そうだろ!?授業中は私語も寝言も禁止なんだよ!!」
いけませんね・・・やってしまったようです。
いただけませんね寝てしまいました、ごう先生の授業なのに、やってしまいました。
教壇から革靴をかつんかつんと言わせながら私の机に近づいてまいりました。
「ハヤセ! いいかげんに 」
「はい、申し訳あり」
ばこっ
教科書が私を直撃する前になんとか起きて返事をしましたのに、ごう先生は丸めた教科書を振り下ろすスピードを落とすこともせず、私の頭に、ごぃーんと打ち下ろしてこられました。ひどいですね。
…ああ。いたいです、佐一。
ごう先生の授業の残り時間のあいだ中、頭のてっぺんがジンジンと痛かったのですが、
全部の授業が終わって帰るときには、ごう先生のせいでできたたんこぶも無くなっていました。
ですが、1限目からごう先生のせいで恥をかいたので、今日はさっさと学校を出たくて夕焼けが輝き始める少し前に自転車に乗りました。
陽の傾きとともに伸びるながいながい自分の影を見つめながら、夢でみた、佐一に起こる出来事を思い出しておりました。
佐一は、夕焼けが輝くその時に、竹林で奴に会っていましたね。
佐一は、やっぱり想われているようです。
佐一は、まだ、想われてるんです。
佐一は、佐一は、佐一は・・・
私は佐一のことばっかり考えてます。
いっつもいっつも佐一のことです。
それが仕える者として当たり前のことなのだけれど、
佐一佐一うるさい、と佐一に嫌われては本末転倒ですので、頭の中で、佐一のことを考えております。
佐一、佐一、
佐一、私は佐一に仕えるために、生きているんですよ?
今回は女の姿で転生してまいりましたが、力は以前と相違ありません。
奴が佐一にひどいことをしようものなら、私はいつでも佐一のそばに参ります。
しかし困ったものです。
いつになったら、佐一は私を呼んでくれるのでしょうか?
両腕でエックス!の女の子の従者。夢サーチに転生と、ファンタジーチックな要素が出てまいりました。主人公の女の子は、従者がいる時点で平凡な女の子とは言えないのかも、しれませんね。