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精霊界のノル・クァイン〜無腕無敵の最強騎士伝説〜  作者: 凡風
〜精霊騎士養成大学校 決闘編〜
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4−12 アミグダリア三姉妹

大寒波で忙しかったり、法事で東京に行っていたりバタバタしていて中々執筆の時間が取れませんでした。間が空いてしまいましたが、やっと今章を締めることができました。よろしくお願いします。

「あ、あのあの……失礼ですがお二人のご関係は?」


 観客の退出が進む中。アルトはたまらずといった様子でルルーデに質問した。

 どう答えるべきか言い淀むルルーデ。すると、彼女の陰からライトグリーンの髪色をした短髪の女性がヒョコっと姿を現した。


「えいえいえい、控えおろ〜」


「ひかえおろ〜」


 続いてライトブルーの真っ直ぐな髪を腰まで伸ばした美しい女性も姿を現した。2人とも耳が長い。ルルーデと同じエルフ族であることは一目瞭然だった。


 そしてルルーデと同じく有名人であることは、集まっていた騎士候補生たちの反応を見れば明らかだ。


「あ、あ、あ、アミグダリア三姉妹!?」


「ふっ、いつかこの方々ともお手合わせ願いたいものだ」


「あわわわ……」


「噂以上っす……美人すぎるっす……眼福を越えて目が潰れそうっす」


 強者のオーラを受けて闘志を抱く者、その美貌に目を奪われる者、反応は様々だがそうそうたる顔ぶれの登場にみんな驚いている。


「ルル姉とノルくんとの関係はぁ、あ、聞くも涙ぁ、語るも涙のぉ……それはそれはぁ熱い関係でぇございやす」


「みなさまお立ちあい」


 ライトグリーンの髪色をした短髪のエルフ、エラフリスが無駄に見栄を切って全員の注目を集める。

 快活でお調子者のエラフリスとは対照的な落ち着いた雰囲気のピツィリア。髪色も雰囲気も相反する2人だが、その顔立ちは瓜二つ。世にも珍しい双子のエルフ族騎士である。


森精霊の街(フォレスティア)で出会ったノルと言う名の人間。まだ幼いながら親御に捨てられのか、密林の奥地にただ1人で目を覚ましやした」


「なんとびっくり記憶まで失っていた」


「霊源消失災害やら、なんやかんやあった後。身寄りがないノル少年とついでにクァインというハーフエルフの少女を、纏めて面倒見てやろうじゃないか、あぁ、そう言ったのがルル姉ぇだったぁ訳でございやす」


「優しくて美人なルル姉」


「……でまあ、そんなぁこんなで、3人は仲良くルルティアで幸せに過ごしましたとさ、めでたしめでたし……ま、いわゆる保護者ってやつだね」


「一言で済む話を仰々しく、それに……ラフリ、ちょっといい?」


「あ、はい」


 こめかみがピクピクとさせながらエレフリスを連れてみんなから距離を取るルルーデ。他の人には聞こえないよう気をつけながら内緒話を始めた。


「どういうつもり?」


「変に言い淀んで誤魔化すより、知られても大丈夫な範囲の事実を広めた方が後々のためだよルル姉」


「……まあ確かに、それもそうね。ありがとうラフリ。珍しく気が利くじゃない」


「どういたしまして……ちょっと引っかかる物言いだけど」


 お調子者を演じてはいても200歳を超えている年長者。エラフリスなりの考えがあっての振る舞いだったとルルーデは納得した。


「ノル、そうだったのか……」


 両親に捨てられたばかりか、記憶まで失っていたと聞いたフューエンたちは同情が籠った視線をノルに向けた。


「うん、そうだよ。でも僕にはルル姉たちがいるし、ルルティアでの生活はとても楽しかったよ……わっぷ」


「久しぶりのノル、ぎゅ〜」


「あー! またピツィに先を越された!! あたしもノルくん抱っこしたい、ぎゅ〜〜〜」


「……ピツィ、ラフリ。気持ちは嬉しいんだけど。人前では、ほんとやめて……」


 美人エルフ姉妹のサンドイッチ。その激しいスキンシップは嫌でも注目を浴びてしまう。

 フューエンやヤンたちはその光景に目を見開き口をあんぐりとさせた。


「な、ななな、なんですかこの羨まけしから羨ましいすぎる状況は。一体どんな星の元に生まれれば、こんな事になるんですかね」


「ノル、やるなぁ」


 そして女性陣は何かに納得した様子でうんうんと頷いた。


「ノル様から下心を一切感じない理由が、これで分かりましたわね」


「う、うん。幼い頃からずっとこんな感じなら、美人慣れしちゃうよね……納得」


「う、おっほん! 確かに私はノルの保護者という立場にありますが、この決闘への介入には私情を挟んでいません。それはご理解ください。私はあれ以上決闘を続けては余計な被害が生じていたと判断いたしました」


 収拾が付かなくなりそうな場をルルーデはこれみよがしな咳払いで無理やり本題に戻した。

 全員の注目が再びルルーデに集まった。


「ええ、それには私も同意いたします。彼の精霊魔法があのまま直撃していたら、相手は大怪我を負っていた可能性が非常に高い。ルルーデ様が介入してくださらなければ、私が出ていました」


「そうですね。正式な決闘とはいえ精霊戦を前に無闇に怪我を負う必要はないでしょう。私もあの時点で勝負はついていたと判断します」


 ルルーデの意見にアレクサンドラとハリソンが続いて肯定の意見を述べた。

 総意が取れたところでルルーデは、改めて対戦相手であるレクススの方を向いた。


「……という事なのだけれど、この決闘の結果に異論はあるかしら」


「い、いえ! も、もちろん異論などございません……あ、はっ! そ、ソレよりもアミグダリア様、この度は助けて頂いてありがとうございました!!」


 目まぐるしい状況の変化についていけず、呆然としていたレクススは急に話を振られ慌てて我に返った。

 言いたい事が取り留めなく出てきそうになったが、あたふたしながらもなんとか助けて貰った礼は伝えることができた。


「レクスス・トヨタバッカーリくん。敗北を認めるのであれば、この場で済ませてしまおうか」


 ハリソンは暖かい眼差しをレクススに向け、決闘の収束を促した。

 レクススはノルやフューエン、そしてエレーナの方を向いて深々と頭を下げた。


「君たちのことを良く知りもせず突っかかってすまなかった。謝罪の意ここに深く示したい。君も、怯えさせて悪かった。許して欲しい」


取り巻きの2人、アルファイアとベルファードもレクススと同じように頭を下げた。


「え、あ、はい。頭を上げてください、私はもう大丈夫ですから」


「それにこちらこそ謝りたい。貴方の騎士道をもっと尊重すべきだった。レクスス殿、熱くなってしまった自分を許して欲しい。できれば今度、お手合わせ願えないだろうか」


「ああ、私で良ければ喜んで。あのフォーサニアでも名を轟かせているファベック家の方ともなれば、いい鍛錬になりそうだ」


 レクススとフューエンは熱い握手をし真っ直ぐに視線を交わして和解し合った。


「そしてノル……さん。侮辱して済まなかった。あなたはこのエスクエラでも屈指の実力者だ、認めるしかない。いやこんな物言いもおこがましいくらいだな、手も足も出なかった。精霊戦でどこまで勝ち上がるのか、楽しみにしているよ」


「うん、僕は気にしていないから大丈夫だよ。精霊戦はアレクさんと約束してるから、優勝するつもり。よかったら応援よろしくね」


「それは、聞き捨てなりませんね」


 和やかなムードで幕を閉じるかと思った矢先、ノルに敵対心をむき出しにして口を挟んだのは評議会副会長のエスニだった。

 エスニはノルの前に歩み出てきて立ちはだかると、威圧的な態度で睨みつけながらこう宣言した。


「精霊戦で優勝し、アレクサンドラ会長にご満足いただくための試合を演じる相手は、この私です……貴様如きに譲ってなるものか」


ご精読ありがとうございました。次回からは精霊戦編を始めます。よろしくお願いします。

バトルを中心にして、登場キャラクターを深掘って行ければいいなと思っています。

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