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精霊界のノル・クァイン〜無腕無敵の最強騎士伝説〜  作者: 凡風
〜精霊騎士養成大学校 決闘編〜
42/51

4−4 ラブ・ランチミーティング

よろしくお願いします。

「さ、作戦会議を始めよう」


「ノルくん、ちょっと待った」


「ああ、ちょっと待って貰おうか」


 昼休み。約束の場所で例の話の続きをしようと思ったのだけれど、2人に遮られてしまった。


「うん、なに?」


「「なんでルディまでここにいる?」」


 ヤンとフューは予定外で予想外な参加者が気になるようだった。


「僕が呼んだんだ。一応みんなにも声をかけたんだけど、他の人は都合が悪かったみたい」


「ノルくん? 一応聞きますが、そのみんなというのは……」


「マリアンヌとエレーナ。マリアンヌは他に約束があるって、エレーナはヤンの恋バナなんかに関わりたくないって断られちゃった」


「ノル。こういう時はそこまで詳細に伝えなくてもいいんだぞ」


「ああ、それはごめんね。あ、でも考えなしに声をかけた訳じゃないよ」


「どういうことですか?」


「僕が考えた対策だよ。女の子のことは女の子に聞けばいい。クァインだけでも役に立てれば、広める必要は無かったんだけど……」


「ノル以外の人のことはよく分からない」


「……あんまり参考にならないと思って」


「ノルくんの考えは分かりました。確かにこの際はなりふり構っていられませんね、ルディさんよろしくお願いします」


「ええ、もちろん構いませんことよ。一度は目的を同じくしてチームを組んだ仲、このくらいのご協力は惜しみませんわ」


 状況が落ち着いたところでようやくランチミーティング……名付けて『ラブ・ランチミーティング』がスタートした。


「フューは何か考えてきたの?」


「ああ、そうだな……正直に言うと大した案は思いつかなかったよ。面目ない。パッと思いつくのは、とりあえずヤンの好みを聞いて、声をかけるのを手伝ってやるくらいかな」


「それは辞めておいた方が効率的だと思いますわよ」


 フューの提案。いわゆるナンパの手伝いだろう、その案はルディにあっさりと否定されてしまった。


「なんでだよ!」


「あなた方に気を遣うのは非効率なので、言い方が強いのはご容赦願いたいのですが、はっきり申し上げまして、フュー様とヤン様は月とスッポン。お刺身に対するツマ。トンカツと千切りキャベツ。ステーキと……」


「もういい! 分かったから、俺が浅はかだったから、その辺にしておいてやってくれ。ヤンが立ち直れなくなっちまう!」


「べ、別に、分かっている事ですし、事実ですし? でも、そんなはっきり言われると……流石にちょっと傷つきます」


「失礼。もちろんあたくしは、ツマや千切りキャベツを否定したい訳ではございませんわ。ただ申し上げたいのは、その2つが並んでいて、もしそのどちらかしか食べられないとなったら、大抵の方はお刺身やトンカツを食されたいと思いますの」


 それは確かにごもっともな意見だと思う。


「要するに、フューと並んでいたらヤンは引き立て役にしかならないって言いたいんだよね」


「フューくんにそういう目的で友達になってくれるよう頼んだのはボクですし、ソレはまあ覚悟の上ですが……」


「ロングスパンでやっていくならまだしも、短期的な作戦には向かないだろうね。ちなみにルディはどういう手段が効率的だと思うの?」


「そうですわね……とりあえず、奇抜なことをせず人付き合いの基本に忠実になるべきだと思いますわ」


「と言うと?」


「まず1番重要なのは、一気に近づこうとしない事。初対面の場合、大半の女の子はまず警戒いたします。フュー様ほど端麗な容姿、高名な家柄をお持ちならまだ別ですが……そうではない殿方が下心丸出しで接近するのは、取り返しがつかなくなる最もNGな行為、自殺行為と言って差し支えございません」


「ぐさっ! 」


「男性との交友経験が豊富な子なら警戒こそはそこまでしないとは思いますが、その場合は経験が豊富なばかりに、相手のタチによっては手玉に取られて終わるリスクがございますわね」


「ぐさぐさっ! ……そ、それは、確かに理解できますが、でも悠長なことを言っていたらせっかくのチャンスを逃してしまいませんか?」


「焦ってしまうお気持ちはよく分かりますわ。ですのであたくしは難しいことは申し上げません。ただ、恋人を作る作戦ではなく、()()()()()()()()()()()()に下方修正した方が効率がよろしいと、そうご提案して差し上げたいのです」


「そりゃ……言われてみたら、確かにそうだな」


「ぐうの音も出ませんね。ルディさんがいてくれて助かりました。男子だけで盛り上がっていたら貴重な期間をを無駄にするところだったかもしれません」


「お役に立てたのなら光栄ですわ」


「よし、じゃあ何を話し合うべきかが見えてきたな。ヤンがいかに警戒されず、自然に話しかけて仲良くなるきっかけを作れるか、という方法を考えていこう」


「相手に目星をつけたら同じ講義や訓練を受けてその子に頼ってみる、って言うのは結構手堅いんじゃないかな。面倒見がいい先輩相手だとより効果的かもね」


「逆パターンの場合は、エスクエラに詳しくなったり、最新の情報を仕入れるみたいな下準備が必要になりそうだな。情報不足で不安がってる新規入学生なんかは頼ってくれるんじゃないか?」


 順調に話を進めていると、遠くの方からすごい勢いで駆け寄ってくる影があった。


「ちょ、ちょっとノル! あたしをのけ者にするなんでどういうこと!?」


 息を切らしながら必死の形相でテーブルにしがみついてきたのは、なんとエレーナだった。


「僕の記憶が正しければ、ちゃんと誘ったと思うんだ」


 僕がそう返すとエレーナは顔を寄せてきて小声で反論する。


(フューくんがいるなんて聞いてないっ!)


 ちょっと理不尽な気もするけれど、一応この会のことを気にしていて、様子を見に来てくれたのだろうから些細な違和感は水に流すことにした。


「うん、ごめんね。今からでも参加する? エレーナはこの中では1番スタンダード女の子らしい女の子っていう感じだから、君の意見はとても参考になると思う」


「し、仕方ないわね。同じ国の出身者が他の子に迷惑かけるのは看過できないし、付き合ってあげる」


「一度は断っておきながらも、わざわざ駆けつけてくれるとは……エレーナ嬢は優しいんだな」


「え、そ、そそう……なのかな。えへへ」


 この子は煽てたら結構チョロイのではないのだろうか、と屈託のない満面の笑みを見て思ってしまった。

ご精読ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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