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精霊界のノル・クァイン〜無腕無敵の最強騎士伝説〜  作者: 凡風
〜精霊騎士養成大学校 決闘編〜
40/51

4−2 大演説

よろしくお願いします。

「うん、何だって?」


「だから、ボクに恋人ができる手助けをして欲しいんです」


 どうやら聞き間違いじゃなかったようだ。

 この世の終わりみたいに深刻そうな表情から飛び出した言葉だったから、まず聞き間違いを疑ってしまった。


 同年代の友達の恋愛相談という青春ど真ん中の話題。正直言って待ってました! と言いたい所なんだけれど、素朴な疑問が多すぎてちょっと混乱してしまった。


 まずはそこから聞いて整理していこう。


「ヤンがパートナーを探すためにエスクエラに入ったのは知っているし、目的なんて個人の自由だとは思うけど……なんで今からそんなに焦っているの?」 


「まあ、当然の疑問だよな」


 僕の疑問にフューも同調してくれた。


「いやいや、よく考えてみてくださいよ。ここはどこですか?」


「精霊騎士候補生の養成施設」


「恋愛をしに来る場所じゃないんですよ」


「そうだな。よし話は終わった、さーみんな部屋に帰るぞ〜」


「待ってくださいぃ!! ここから、ここからが大事な所、みんなちゃんと聞いて? お願いしますよぅ〜」


 フューは冗談で帰ろうとしていたけど4割くらいは本気の目をしていた。

 ヤンの言い分次第では本当に帰ってしまいそうだ。


()()そうです。方針が変わって本来のエスクエラになりました。それに関して恨みごとを言うつもりは毛頭ありません。しかしですが、ボクの目的が果たし辛くなった事に変わりはないんです。ボクの方針は変えることが出来ないんですから……」


「うん、ヤンが言いたいことは分かったよ。でも何で時間がないの?」


「三日三晩よく考えた結果。今、が1番確率が高いと踏んだのです」


「なぜだい? おれから見たら、環境が変わってバタバタしている時に恋人なんて作ろうとするかな。もう少し落ち着いてからの方がいいんじゃない?」


 リードの指摘はもっともに聞こえる。指摘を受けたヤンは目をキラッと光からせた。

 ……あ、この目は見たことがあるかもしれない。


「逆ですよフリードリッヒくん。いいですか、ここが普通の学校ならそうかもしれません。しかし、本来の姿を取り戻したエスクエラに在籍する者に()()()()()頃合いなどないのです。常に上を目指して切磋琢磨する者たちですからね」


 瞳に知性を宿し、饒舌に持論を語り出したヤンは試験のあの時の様子に似てる、ほぼ初対面の僕たちを覗きに誘ったあの夜の目だ。

 その声に引き寄せられてか、様子を見に来る候補生がちらほら現れ出した。新品の綺麗なローブ着用している所を見ると大半が新入生のようだった。


「今、ボクたちにはアドヴァンテージがあります。それは何だと思いますか? ……はいそこの君」


 なんか指名し始めたんだけど!? 講義をしている気分にでもなっているのだろうか。

 しかし無駄に熱量だけは凄まじく、僕たちは止めることができない。


「え、えっと若さ?」


「惜しいですね、正解は新入生という期間限定のスティタスです。環境に慣れず不安を抱いている新入生同士が声をかけ合うのは自然。そして今だけは、先輩候補生に対してもこの立場を利用した自然なファーストコンタクトを生み出すことができる……ね。アツくないですか?」


 ーーぱちぱちぱち……


 見物人から拍手があがった。おお〜〜と、小さな歓声も同時に上がる。


「ヤンくんすごいや、ぐうの音も出ない。煩悩が絡むと君は本当に知能が上がるね」


 話しかけるきっかけが作りやすい今が1番好機、というのは間違っていないように思う。妙に納得してしまった。


 いきなり恋人とはいかなくても、女の子の友達を作ったり、出来たてのコミュニティに属したり、後々発展する関係を自然に形成しやすいのは確かだ。

 人生という長いスパンにおいて、この期間は恋人作りだけでなく人脈生成のチャンスと言える。


「まあまあ、まあまあ……みんなそう褒めないでくださいよ照れます」


 みんなからおだてられて調子にのるヤンだったが、この後すぐに青ざめる事になる。

 思いの外に注目を集めすぎてしまったのだ。これが原因で事態はあらぬ方向へと転がりだす……ヤンが望まぬ方へ。


「それじゃあ俺も、頑張らないとな……ありがとう、勇気を貰ったよ!」


「こうしちゃいられない。そうと分かれば明日からすぐに行動に移さなければ……」


 聴衆の中には、覚悟を決めた男の目をして離れていく者がちらほらいた。


「……え? い、いや。これはボクみたいなモテない男の話で……待ってください、顔や家柄が良い方は時期なんて気にしなくても……あぁ、もう聞いてない。なんてこった」


 あーあ。大声で大演説かますから、貴重なチャンスにライバルを増やしてしまった。

 何事も調子にのるって良くないね。


「おーい、トイレの前でなにを騒いでいる。もうすぐ消灯時間だ、さっさと部屋に戻れー!」


「やばい、寮長だ。もうおれは部屋に戻るね」


「だな」


「うん」


「え! ちょっと待ってください。本題はこれから……」


「消灯時間じゃ無理だよヤン、それに少しは考える時間が欲しい」


「それもそうだな。じゃあ、明日の昼飯までに何か案を考えておいこう。続きはあの場所で話そうぜ」


「今日一緒に食べた場所だね、分かったよ」

ご精読ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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