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精霊界のノル・クァイン〜無腕無敵の最強騎士伝説〜  作者: 凡風
〜精霊騎士養成大学校 入学試験二次試験編〜
21/51

3−2 談合

よろしくお願いします。

「同意見ですわっ! そのお話、ぜひあたくしたちにも参加させて頂きたくってよ!!」


「....盗み聞きとは、ちょっと礼儀がなっていないんじゃないかな? いくら麗しのレディ相手でも、怒る時は怒るぜ?」


 フューは突然の乱入に対して、嫌悪感と警戒心が半分ずつ混ざったような態度で応じた。


 よく見ると、相手はさっきまでスイーツを食べていた3人の内の1人だった。

 残りの2人もこちらへ近づいてくる。


「お、お嬢様、他の受験生の方にご迷惑をかけては....」


「......」


「失礼は詫びましょう。しかしあたくしは、失礼を承知でお声を掛けることを選びました。なぜなら、その方が効率が良いと判断したから....あたくしはどうあっても、この試験に合格したいのですわ」


 臆せず乱入してきた姿。その堂々たるや、彼女は名家の令嬢か何かだろうか。

 その口調。しなっと指先まで神経が通った動き。長いまつ毛。試験というのに派手めな化粧。今は装飾品の類は身につけていないものの、煌びやかなドレスや宝飾品が似合いそうな受験生だった。


「....分かった。まずは名前を聞こうか」


 突飛な人物ではあるものの、話はできそうな相手。フューもそのように判断したのだろう。警戒を緩めて話しを聞く姿勢をとった。

 その対応に乱入者は腰を低くして礼を返す。


「感謝いたしますわ。あたくしはルド....失礼、噛みました。あたくしはルディ・アンナと申します。ヘアシュテンブルク出身でございます。どうかお見知りおきを」


 スカートをつまみ、うやうやしく礼をする彼女の動きはとても洗練されているように見えた。やはり良いところのお嬢様だと思う。


「俺はフューエン・ファベック。フューエンでいい。君は、なんて呼べば?」


「ルディで結構。こちらはフリードリッヒとレイチェルですわ」


 ルディは流れでチームメイトを紹介した。大荷物を携えた薄暗い雰囲気の少年がフリードリッヒ。そしてもう1人の仲間は....紹介されるまでもなかった。

 顔に傷痕がある赤毛の女性。レイチェル・グレース。胸ぐらを掴まれた仲だ、忘れるはずがない。


「......」


 レイチェルは仏頂面のまま僕の方を一瞬だけ一瞥した、気がする。そのあとは不機嫌そうに誰もいない明後日の方を向いてしまった。


「ではルディ。参加させて欲しい、と言うからには君にも何か考えがあるんだろう? まずはそれを聞かせてくれ。君たちを信じるかどうかは、それからだ」


「もちろんですわ」


 ルディは居住いを正してから堂々とした立ち振る舞いで自らの考え、もとい分析の結果を語り始める。


「ハリソン試験監督官は初めにこうおっしゃいましたわ、これは『実戦力重視の試験』であると。では、現在の騎士にとっての実戦とは? ....そう。魔獣やテロ組織などを相手にした集団戦闘。つまりこの試験で重要視されるのは、受験生同士で部隊を組んでいかに上手く戦えるか....共闘力とでも言いましょうか。そういった所を見る試験だとあたくしは判断いたしましたの」


「じゃあ、今僕たちが監視されているのってやっぱり」


「ノルも気づいていたか。自由時間の過ごし方が試験....とは言わないだろうが、何らかの関係はあるだろうさ。気にし過ぎる必要はないと思うが、気をつけておいた方がいいのは確かだろうな」


「うん、そうだと思う。ちなみにルディは二次試験はどうなると予想しているの?」


「そうですわね。一時試験が小隊による戦闘を模していましたから、段階を踏むならば中規模....中隊を組んでの模擬的な戦闘試験ではないかと。ですからあたくしは、今のうちから他の有力なチームと友好関係を築いておきたいわ、と思っておりましたの」


 そんな時に耳に入ってきたのが僕たちの会話、ということだね。まあ乱入してきてもおかしくはない状況かな。多少強引だけど、チャンスは時として強引に行くぐらいが丁度いいこともある。

 一時試験の時のように、突然チームを組めと言われても対応できるようにしたいっていうのは、十分に理解できる。というか、それは僕やフューの考えと同じだろう。


 僕はこの人たちも信じていいと思う。


「....その割には、ずっとケーキに夢中でしたけどねお嬢様は」


「リード、お黙りなさい」


「す、すんませんす」


 見ていると、ルディとフリードリッヒ、この2人は随分と打ち解け合った関係のようだが。


「........」


 あのレイチェルが問題かな。

 僕たちの協力関係が成立するかは、他のチームメイトたちが、この愛想のかけらも無い人物を受け入れられるかどうか、にかかっていると思う。


 フューは少し考える仕草を見せてから、全員に向かって口を開いた。


「いいだろう。俺はこの3チームで協力関係を築きたいと思う。ここまで俺たちだけで話を進めてしまったが、みんなはどう思う? 反対意見でもいい、遠慮なく言ってくれ」


 そう話を振ると、真っ先に答えたのはエレーナだった。


「あたしは、そういうのよく分からない。けどあたしは、フューを信じようと思ってこのチームにいるから、フューが信じた選択をあたしも信じるわ」


「ボクもよくわっかんないんで、とりあえず友達を信じまーす!」


「クァインは....」


「ノルの判断に従う」


「....んだよね。マリアンヌは、どう思う? 遠慮はしないでいいからね」


「賛成でございます。ここでこうして集った、これも何かのご縁でございましょう」


 これで、向こうがルディ1人の暴走でなければ、この話し合いは成立したことになる。

 いや、雰囲気から察するにフリードリッヒという少年はルディの身内だろうから、実質、残りは1人ということになるだろう。


「......」


 みんなの視線がレイチェルに集まるのは自然な流れだった。

 話に参加しないまでも、意識はこちらに向けていたのだろう。


「......勝手にしろ」


 と一言だけ口にした。


「懸念は少し残るが....」


 フューは視界の端でレイチェルの姿を捉えていたが、やがて割り切ったのか、意識を僕たちの方へ向け直した。


「じゃあ、協力関係樹立の証としてみんなの名前と出身地、それに得意な属性とか戦闘スタイルを教え合おう....いいよね?」


 その提案に反対する者はいなかった。問題のレイチェルも「好きにしろ」とのこと。僕はこの人、愛想が悪いだけで意外と良い人なんじゃないかと思い始めていた。


 自己紹介をし合った結果をまとめると以下の通りである。


 ⚪︎ノルチーム

 ・ノル

 出身:ルルティア

 得意属性:無属性(霊素圧縮魔法)

 戦闘スタイル:中〜遠距離、支援


 ・クァイン

 出身:ルルティア

 得意属性:無し、大体得意

 戦闘スタイル:剣術と精霊魔法を組み合わせた近接戦闘


 ・マリアンヌ

 出身:アビルモンド

 得意属性:土

 戦闘スタイル:防衛、索敵支援


 ⚪︎フューエンチーム

 ・フュー

 出身:フォーサニア

 得意属性:火

 戦闘スタイル:剣術中心の近接戦闘と精霊魔法での中距離攻撃


 ・ヤン

 出身:ウンタール

 得意属性:水と土

 戦闘スタイル:身体強化系精霊魔法を使った近接戦闘


 ・エレーナ

 出身:ウンタール

 得意属性:水

 戦闘スタイル:水の精霊魔法による回復治療支援、攻撃支援


 ⚪︎ルディチーム

 ・ルディ

 出身:ヘアシュテンブルク

 得意属性:風

 戦闘スタイル:精霊魔法具を駆使した近〜中距離戦闘


 ・フリードリッヒ

 出身:ヘアシュテンブルク

 得意属性:風

 戦闘スタイル:精霊魔法具を使用した遠距離攻撃


 ・レイチェル

 出身:ハーベスタ

 得意属性:水

 戦闘スタイル:身体強化による近接戦闘

ご精読ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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