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精霊界のノル・クァイン〜無腕無敵の最強騎士伝説〜  作者: 凡風
〜精霊騎士養成大学校 入学試験一次試験編〜
14/51

2−6 盲目の受験生

よろしくお願いします。

 ああ神様。どうしてこうも現実は無情なのでしょう。


 簡単だと聞いていた試験は突然にして難題になり、加えてチームを組んで戦えとおっしゃいますか。

 これを無情と言わずなんと言いましょう。


 わたくしは正直なところ、この時打ちひしがれておりました。

 満足に戦った事などないわたくしが、どなたかのお誘いに応じられるはずがありません。


 ましてや1人で戦って合格を勝ち取れるとも思えません。相手はハンデを負っているとおっしゃいましたが、わたくしだってハンデを負っているのですから。どっこいどっこい所ではございません。


 ああ、どうしましょう。


 このまま時が過ぎるのをただ待つのみか、はたまたワンチャン狙って動いてみるべきか、それとも痛い思いをする前に辞退するべきか....いいえ、それだけはあり得ません。

 わたくしはどうしても、騎士養成大学校へ入らねばならないのですから。可能性がゼロになり不合格が決定するその瞬間まで、諦める訳にはいかないのでございます。


 ああ、でもでもどうしましょう。


 わたくしは試験会場の隅で困り果てておりました。

 運命の殿方にお声を頂いたのは、そんな時でございました。


「初めまして、僕はノル、こっちはクァイン。ねえ、もし1人だったら僕たちとチームになろうよ」


 常闇の世界に響いたこのお言葉。生涯忘れる事などできそうにございません。

 それほどまでに嬉しかったのです。


 これが、わたくしとあのお方との、初めての出会いでした。


 *  *  *  *  *  * 


「....え、わたくし、でございますか?」


 大きな三角帽子を被った女の受験生に声をかけたところ、返事がワンテンポ遅れて返ってきた。

 まるで声をかけられる事を諦めていたかのような反応だった。


「うん。名前、教えてくれるかな」


「え、ええ。わたくしはマリアンヌ、マリアンヌ・ローズサミールと申しますわ」


「ローズサミール?」


「その家に生まれた。それ以上でもそれ以下でもございませんゆえ、どうかお気になさらず....それで、わたくしをチームに、とおっしゃられたように存じますが」


「うん、そうだよ。どうかな?」


「わたくしは、あの、実は.....あ、いえ。なんでも、ございません。わたくしでよろしければ、ぜひ、こちらからよろしく申し上げたい所でございます」


 そう言って、マリアンヌは迷わず僕に向かって()()()()()()()()()。握手のつもりだろう。


「......」


「あの、どうかされまして?」


 いつまでも握手に応じない僕に、マリアンヌは不安の表情を浮かべた。

 その迷いのがない動きで僕は確信した。帽子を目深に被っているのは、それを目立たせないためだろう。


「やっぱり、目が見えていないんだね君は。それも全盲かな」


「あっ! 何か間違った選択をしてしまったようでございますね。申し訳ございませんでした。決して、決して騙すつもりはなかったのでございます、わたくしは、その」


「うん。悪意がないことは分かっているよ。不安だったんだよね」


「本当に申し訳ございません....あの、太々しいとは存じますが、こんなわたくしでも、その....」


 隠し事をしてでもチームに組みしようとしたことがバレて、一層不安な様子を見せる。今ので嫌われたのではないか、と不安がっているようだった。

 僕は返事をする代わりとして、クァインに頼んで彼女の両手を僕の体に誘導してもらった。


「大丈夫だよ。実はね、それはお互い様なんだ」


「え、あの、その....わ、わたくし、殿方の体に触れるのは、初めてで、少々おもはゆく....え、これはどういう」


 僕の肩に手を置いたマリアンヌは異変に気づいた。本来あるべきものがないことに。

 羞恥を忘れて僕の腕がない肩をまさぐった。


「僕は腕がないんだ。それを隠して君を勧誘した。どうだろう、こんな僕でもいいかな?」


 僕はあえてマリアンヌと同じ言葉で訊いた。


「もちろんでございます。こんなわたくしでよろしければ、お願い申し上げます」


 その声は、少し震えていたような気がした。


 ・

 ・

 ・

 ・


 ......という、互いの気持ちを通じ合わせた感動のチーム結成から1時間くらい後のことである。

 僕は今、実技試験の会場にいる。一次試験の説明……ハリソン監督官がしていた話を思い出していた。


 ーーーよっぽど運悪くゴーレム操作が得意なやつに当たらなければ普通に戦えるーーー


 さて。クァインとマリアンヌとの3人で結成された僕のチームは今、合計11体のゴーレムに囲まれている。

 人型ながら複雑な骨組みの特異な造形をした1体のゴーレムが騎士候補生が操っている個体。残りはそのゴーレムが精霊魔法で生み出した土製ゴーレムだ。


 ....うん。もしかしなくても僕たちはよっぽど運が悪く、ゴーレム操作がとんでもなく得意な奴に当たってしまったらしい。


 うーん、どうしよう。

ご精読ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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