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精霊界のノル・クァイン〜無腕無敵の最強騎士伝説〜  作者: 凡風
〜精霊騎士養成大学校 入学試験一次試験編〜
12/51

2−4 試験監督は大物

よろしくお願いします。

精霊騎士(アンダーナイト・)養成大学校(エスクエラ)の入学試験に集まってくれた諸君、待たせてすまなかった。私は本試験を任された、精霊騎士教導官を務めているハリソン・クロス・ブラックウッドだ。私は諸君らのような未来ある若者が好きでね。遠慮なくハリソンと呼んでくれて構わない。よろしく頼む」


 ハリソンの挨拶に試験会場全体がにわかにざわついた。


「あの教官、ミドルネームだ」


「そんな大物が試験を担当するなんて聞いてないぞ」


「私も。試験は簡単だから気楽にってお父様が言っていたわよ」


 ヒソヒソ話が広まっていき、やがて大きなざわめきへと成長していった。


「静粛に! 試験監督官のご挨拶中だぞ」


 通りの良い女性の声がピシャリと響き渡る。やがて場に静粛が戻った。

 補佐官の「どうぞ」という目配せを「おっかねー」というような表情で受け取ったハリソンは話を続けた。


「えー、一部の受験者諸君には非常に残念な知らせが一つある。それは、今期より当養成大学校(エスクエラ)は本来の姿を取り戻すこととなった。よって、今期より試験内容を大幅に改め()()()()()の試験を行う。これについては、セントブレイン中央評議会による決定であるため......」


 ハリソンが全てを伝え終わる前に、またもや受験生たちが騒ぎ始めた。今度はどよめきどころではない。半分パニック状態となった受験生たちが壇上へ向かって口々に疑問を投げかけ始めた。

 無秩序状態となり満足に回答することもできない。

 顔を青ざめさせて立ち尽くす者、泣き出す者すら現れた。阿鼻叫喚だ。


 このままでは収集がつかないと判断したハリソンは、急遽、質疑応答の時間を設けることにした。

 会場が落ち着いてきたのを見計らって、「答えらえれる範囲で」という前置きをして質問を受け付けた。


「なぜ今期から変更になったのでしょうか」


「近年、霊源消失事件や魔獣の凶暴化といった見過ごせない事象が頻発している。これを警戒した中央評議会は精霊騎士団の戦力底上げする方針を固めた。それに伴い、騎士候補生の水準を上げる必要が生じた」


「困ります、事前にそんなこと、聞いていません!」


「それに関しては心苦しく思っている。だが試験内容の発表はこの場で行うものだし、養成大学校(エスクエラ)は精霊騎士を目指すための施設。試験内容自体は何もおかしいものではない」


「不公平だ! 以前に入った人たちは、簡単な実技試験だけで実戦的な試験は受けなかったと聞いています」


「もちろん現在エスクエラに在籍しているアンダーナイトにもテコ入れをする予定になっている。一定の水準に満たない候補生には、施設を出てもらうつもりである」


「急すぎる! ろくに合格者が出なくてもいいって言うんですか!?」


「知っての通り、我が養成所は学年制を採用していない。エスクエラは各々が自由に自らを鍛え上げる施設だ。後輩が増えなかったからといって取り立てて問題はない。もしここにいる全員が、我々が求めている水準を下回るようであれば、合格者はゼロでも構わないという意向である」


「私には国際資格を得られるだけの学力がありません。エスクエラで取得できる国際騎士の資格を取って家督を継ぐ予定でした。このままでは家督を継げないかもしれません....どうすればいいんですか!」


「そうだな、それが1番の問題だ....だが、すまないが我々にはどうすることもできない。それについては中央評議会が救済措置を検討していると聞く。1年以内には代替案が提示されるだろう、評議会からの通達を待って欲しい」


 ひとつひとつの質問に堂々と答えていくハリソン。それは正論でこれ以上言い返すことができない。

 現実を受け入れ納得せざるを得ない。やがて声を上げる者はいなくなった。


「質疑応答は以上でいいな? 我々も鬼ではない。以上を踏まえ、試験を受ける意思が無い者はこの場から立ち去ることを許可する。家にはこちらから事情説明の連絡をしよう。また今日1日分の滞在費用は負担する。希望するものは速やかに退出し必要な手続きをせよ」


 こうして、精霊騎士養成学校の受験生は半分くらいにまで減ってしまった。

ご精読ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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