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盲目の鴉  作者: かわしま
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一幕 雨男⑤

次の瞬間、僕の体が熱くなった。灼熱の中にいるような感覚だ。

視界も良好だ。だけど、とてもゆっくりに見える。周りが遅いのか?

いや、僕が速いのか?何が起きた?


手を見ると、真っ黒になり、黒い爪が生えていた。まるで、鳥の蹄のようだった。

まるで、カラスのように。


加瀬沼が撒き散らした水が水たまりとなって、僕の姿を映した。

漆黒の、鎧を身にまとった異形の姿に変身していた。


背中にも真っ黒な翼が生えており、頭部に嘴のようなバイザーもついていた。

僕は、漆黒の戦士になっていた。


「なっ…初めての変身が、こんなに一瞬で済むのか!?こいつ、どんな能力を持って、こんな…」


加瀬沼の手が僕を掴んだ。

あっという間に水にされる、かと思いきや、僕の体は崩れることなく、そこにあった。


「なんだと…!?なんで水にならない!?こいつの能力は…」


次の瞬間、掴まれた腕を掴み返し、加瀬沼の体を空中に放り投げた。


「うおお!!」

美知の能力で浮いた時のように、凄い勢いで加瀬沼の体が空中へ飛ばされていった。

本当に軽く感じた。まるで空っぽのペットボトルを空中へ放り投げるくらいの感覚で、投げ飛ばしたのだから。


僕は翼を広げ、加瀬沼の後を追いかけた。あっという間に目の前に追いついた。


「お前、何者なんだ…まさかお前、藤間の…」


加瀬沼が言い切る前に、僕は自分の意志と関係なく、両手の爪で彼の体を切り裂いていた。

空中で、彼の血が飛び散る。加瀬沼は他の雑居ビルの間に落ちて、消えていった。


その後、意識を失うようにして、僕も彼女たちのいる場所へ落ちていった。


かろうじて意識を取り戻していた美知が、テレキネシスのような力で僕を落下の寸前に浮かせてくれて、なんとか助かった。


彼女は既に、スターゲイトではなく、美知へ戻っていた。


「なんなんだこれは…あんたは、あの少女は何者なんだ…」


薄れゆく、朦朧とした意識の中で僕は彼女に問いかけていた。


「あとでゆっくり話すとするわ。ありがとう。


そして、彼女の名前は、藤間 瑠花。聞いたことがない?」


彼女の言葉を聞き終える前に、僕の視界は真っ黒に染まっていった。

漆黒の闇に、染まっていった。



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