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盲目の鴉  作者: かわしま
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一幕 雨男④

彼女は動けなくなっていた。少女も落下の衝撃で気を失っていた。


足を引きずりながら、加瀬沼が向かってくる。


「一度水にしたものは…いつだってもとの物質に戻すことが出来るんだぜ…?さすがに、旅団のやつらも知らなかっただろうが…

ただし…同じ形には無理だ…でもおかげで、風に煽られたおかげでよ…小さくなったアスファルトが、お前らに向かっていったってことだよな〜?」


血を吐きながら、加瀬沼は少女の髪を掴み、顔を見つめる。


「これで、俺らの勝ちだ…天宮城(うぐしろ)社長へ報告出来るぜ…。あとは、先にこいつらを片付けてからだな…」


僕と美知を、加瀬沼が見下ろす。


非日常を感じるというか、直感があって後をついてきただけなのに。

ただ、いつもと違って今日発売の雑誌を買いに来たのがいけなかったのか?

交差点で少女とぶつかったのがいけなかったのか?


美知を気になったのが、いけなかったのか?


色々な思惑が頭をよぎり、ああきっとこれは走馬灯なんだな、と僕は思った。

走馬灯を見るとき、人間は過去の経験や記憶を振り返り、助かるための方法を探している、と僕は何かで読んだことがあることを思い出した。


彼女の、スターゲイトの、

美知の手元に、鍵が落ちていることに気付いた。ちょっと手を伸ばせば届きそうな気がする。


持ち手に赤い宝石のついている、古いタイプの鍵だ。


僕はとっさに鍵をとり、体の、どこでもいい…

左の、手の甲に当ててみた。


すると、左の手の甲に光が浮かび、はっきりと、鍵を当てた場所に”鍵穴”が出来た。


「なんだと…!?この小僧にも、超能力が実現するのか!?それだけはさせん!」


向かってくる加瀬沼の動きがゆっくりに見えた。

僕は鍵穴に鍵を突き刺し、ゆっくりと、時計回りに回してみた。



その瞬間、視界が真っ白になり、ぼんやりと、人型の黒い影が浮かんで見えた。


「俺は、お前の望んでいる力を、お前に与えてやる。お前が潜在意識の中で欲しがっている力が、与えられる能力になる。

これは変えられない、お前の宿命である。

お前はこの力を使って、これから様々な困難を乗り越えなくてはいけないのだ。


では準備はいいな?」


黒い影が僕に語りかけ、光の中に消えていった。

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