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盲目の鴉  作者: かわしま
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幕開き

「2010年5月18日、北海道函館市にある住宅に強盗が押し入り、夫婦と子供1人が殺害され、金品が奪われた事件。


当時5歳だった藤間 瑠花ちゃんは事件時に行方不明になっており、現在も警察が行方を追っています。


当時の事件の情報をお持ちの方は函館警察署、または最寄りの警察署までご連絡ください_。」


かけっぱなしにしていたラジオから、12年前に起きた事件を想起させる放送が流れていた。


今日は朝から雨が降っている。せっかくの初登校の日なのになんて憂鬱な気分になるんだろう、と僕は思った。


伸ばし切ったボサボサの寝癖頭を掻きながら、身支度を済ませ、登校の準備をする。



僕、神崎京一郎は、念願だった第一志望の東部学院大学に合格し、今日が初登校の日だった。


前日に入学式を済ませ、今日はガイダンスだけだと聞いていた。


専攻は経営学科。特にやりたい事もなかったし、就職に有利だと聞いていたから、この大学、学科を選んだ。


両親も喜んでくれたし、実家から片道2時間程かかるため、大学の近くに一人暮らしを始めた。

最初は不安で心配していたけれど、両親が共働きで自分の事はある程度自分で出来ていたので、なんとかやっていけるだろう、と根拠のない自信だけは持っていた。


大学を向かうため、最寄りのバス停へ向かうことにした。

雨はしとしとと降っており、傘を差すかどうか迷ったが、徒歩2、3分だし、バス停に向かうためにアーケード街を通るためあまりぬれないだろう、と思い手ぶらで向かった。


この辺りは学生街なのだろう、家族連れなどはあまりいないのかもしれない。

すれ違うのは仕事へ向かうサラリーマンか、近所のお年寄り。同じバス停へ向かう学生もチラホラと見えた。


アーケード街を通りバス停へ着くと、既に1人の女の子が到着していた。バスの到着まではまだ5分くらいあるので、時間感覚がまだ定かではない、おそらく春から一人暮らしを始めた、学生かなにかだろう。


でもなにか、不思議な感覚を彼女に覚えた。

運命の人に出会った感覚ってよく聞くけど、そういうのじゃない、とにかくなにか「奇妙」で、何か不思議な魅力を彼女から感じてしまった。


身長は150センチくらい、ピンク色のパーカーのフードをかぶっていて、猫耳の飾りがついている。


丸眼鏡をかけていて、多分髪の毛は肩ぐらい。フードの上からヘッドホンをつけている。


雨が降っていたけど傘を差すまででもない、と同じ考えだったのだろうが、せっかくのヘッドホンが濡れてしまうのではないか、と僕は思った。


彼女は、こちらには気付いていないようだ。



少し距離を空けて、僕はバスの到着を待った。

屋根から少しはみ出てしまったので、僕の右肩が少し濡れてしまっていた。



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