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夏合宿(ビーチバレー1)

読み方

「」普通の会話

()心の声、システムメッセージ

『』キーワード

<>呪文


 次の日、セリアたちは砂浜で2本のポールを立ててコートを描きビーチバレーの準備を終えていた。

「さあ、今日はビーチバレーよ!」


「セリア……。これは本当に特訓なのか?」

 アルトが全員を代表して質問していた。

(アルト、気づいていたのか、セリア姉さんが、ただ遊んでいるだけだと……)

 ヒイロはセリアの本気の想いなど知らずに、勝手に遊んでいると結論付けていた。

(まあ、確かに、訓練というには遊びが過ぎる……)

 エースもセリアの意図を疑っていた。

(バレー、だと?ミリア様とフレイアは大丈夫そうだがマリアの水着では危ないだろう……)

 ロイは別の事を心配していた。


(楽しそうだけど、訓練になるの?)

 マリアもセリアを疑い出していた。

(バレーか、ロイとペアだったら良いな~)

 フレイアは昨日、ロイに告白されたことで訓練などどうでも良くなっていた。


(姉さん。みんな疑ってるみたいだけど、本当に特訓になるの?)

(任せなさい。これは本当にすごい訓練になるんだから)

(じゃあ、みんなが納得する説明をお願いしますね。姉さん)

(任せなさい!)


「アルト!いい質問だわ!今から行うのはタダのビーチバレーではないのよ!その名も魔法血戦ビーチバレーよ!あっ、血戦のケツは血の方ね」

「魔法血戦?」

 アルトは、セリアの言葉をオウム返しした。

「普通のビーチバレーは魔法を使わないわよね?」

「まあ、そうだが?」

「魔法血戦ビーチバレーでは、相手を直接攻撃しない限り、魔法を使っても良いのよ!」

「なるほど、凄い事を思いつくものだな……」

 アルトはセリアの提案を感心して聞いていた。そして、頭の言いアルトは魔法を使う事の意義を勝手に補完した。


(ビーチバレーをしながら、魔法を使うという事は実戦形式に近い。戦闘では敵の攻撃を避けながら魔法を使う必要がある。そして、攻撃を受ければ魔法への集中力が削がれて魔法は失敗する。ビーチバレーではボールを受ける必要があるから、魔法を使おうとした時、攻撃を受けた状態を安全に再現し、かつ集中力を切らさない練習にもなる。

 さらに、足場も悪く、普段、魔法を使うよりも多くの集中力が必要となるわけか……。しかも、足場が悪いから普段よりも体力も消耗する。その上で、相手が何の魔法で妨害して来るのか瞬時に判断し、的確に対処する必要も出てくる。これは、実戦を想定した魔法の訓練になるのか……)


「セリア、つまりこれは、実戦で魔法を使うための訓練なんだな?」

(実戦で魔法を使う?ゲーム内だと、魔力、体力、命中力、回避力があがって、運が良ければ魔法詠唱中断耐性が付くトレーニングなんだけど、アルトの言っている事は良く分からないけど同意しておこう。ゲーム内では頭の良いリーダーキャラだったし、間違ったことは言ってないと思う)


「そうなのよ!だから、まずはペアを決めましょう!」

「ああ、分かった」

 アルトは勝手に納得して了承した。

(まあ、アルトが納得したのなら、それなりの効果があるんだろうな)

 ヒイロは無理やり付いてきた身なので、遊びでも訓練でもどちらでも良かった。

(なるほど、魔法の実戦訓練か、言われてみれば納得だな)

 エースはアルトとほぼ同じ結論を出していた。

(マリアは大丈夫なのか?)

 ロイは相変わらず露出に関する心配をしていた。

(水着変えようかな?)

 マリアも激しい運動をするには自分の水着では不味いと考え始めていた。

(ロイ様とペアになりますように。ロイ様とペアになりますように。ロイ様と……)

 フレイアは、もうダメそうだった。




 結局、マリアもスクール水着に着替えて、魔法大戦ビーチバレーが行われることになった。ペアは、ミリアとアルト、マリアとエース、フレイアとロイとなった。


(アルト様、守って~~~♪)

 ミリアはアルトに守って貰うつもりでいた。

(ちょっとミリア、真面目にやってよね)

(分かってるわよ)

(闇属性の魔法が得意なミリアとペアか、面白い組み合わせだな)

 アルトは、真面目に訓練を受ける気だった。


(エース様か、確かクルルの婚約者で、現魔法師団長の息子。土属性の魔法が得意って聞いたけど、ビーチバレーでどんな戦いをするんだろう?)

 マリアはお茶会と魔法の授業で何度かエースを見かけてはいたが実力は知らなかった。

(マリアか、確か光の魔法が得意な化け物だと評判だったな。規格外の魔力で並みの生徒では勝負にならないという噂だった。ミリア義姉さまも気にかけてるみたいだし、お手並み拝見と行きますか)

 エースは学院で近接戦闘と魔法の才能で学院一の実力者と噂されつつあるマリアの実力を測るつもりでいた。


(やった!ロイ様とペア~~~~♪)

 フレイアは、もうそれだけで幸せだった。

(フレイアとペアか、良いところを見せなければ!)

 ロイも気合十分だった。


「あの、僕は?」

 ヒイロはペアからあぶれていた。

「ヒイロ、あなたは勝手に付いてきた。後は言わなくても分かるわね?」

 セリアがそう言ってニラミを聞かせるとヒイロは青くなった。

「はい……」

 ヒイロはがっくりと肩を落とした。

「でも、来たからには役にたってもらうわよ。あなたは審判よ!」

「セリア姉さん、僕も混ぜてよ~~~」

 ヒイロが涙ながらに懇願するとセリアも鬼ではないので「分かった。じゃあ、一通り訓練が終わったらペアを変えるから、その時は入れてあげる」と言った。

「ありがとう。セリア姉さん。僕、頑張るよ!」

(ゲームだとプレイボーイキャラなのに、私の前だと可愛い弟なんだよね~)


「じゃあ、最初の試合はミリアペア対フレイアペアからね」


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