表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/48

作戦会議

読み方

「」普通の会話

()心の声、システムメッセージ

『』キーワード

<>呪文


 学園の会議室を借りて、セリアとアルトとマリアは会議を開いていた。簡素なテーブルと黒板があるだけの部屋で、セリアはアルトとマリアに状況を説明していた。

「半年後に挑戦する冒険者への昇格試験、その会場である『試練の迷宮』で、二人は死ぬ可能性がある!だから、死なないように対策を検討しましょう!」


「私が死ぬのか……。なぜだ?あの試験は死人が出ないように調整されているはずだ」


 アルトは、昇格試験の内容を知っていた。迷宮内の魔物は、訓練を積んだ者であれば死ぬことの無い弱い魔物が配置されており、最深部に居るボスは人工的に作ったゴーレムなので、人を殺さないようにリミッターが施されているはずだった。


「私の予知では、ミリアをかばって死ぬと出ていたの。だから、アルトはどんな攻撃を受けても死なないように一番良い防具で試験に臨むこと」

「分かった。絶対防御の加護の付いた鎧を着ていくよ」

「それと、ミリアがピンチになっても救わない事」

「それは、約束出来ない」

「ダメよ。あなたに死の可能性があるんだから……。それに戦闘中は私が体を動かす事になると思うし、剣道習ってた私に任せなさい!」

「剣道?ああ、剣術の事か……。まあ、確かに君の動きなら問題ないと思うが……」

「決まり!決まりよ!良いわね」

「あ、ああ」


 アルトはセリアの勢いに押されて承諾してしまった。


「それと、マリアは後衛ね。前衛は私とアルトとフレイアが担当するわ。マリアとロイとエースが後衛で、魔法を使って前衛を援護する。この作戦で行きましょう」

「え~っと、私、まだあんまり魔法の授業は受けてないんだけど……」

(それに、私、黒田流農殺法使えるし、アルト様の代わりに前衛でも問題ないけどな~。今のところアルト様との対戦成績9対1だし……)

「大丈夫!マリアは魔法の才能が凄いんだから、授業で習えば理解できると思うわ。だって、マリアの魔力は常人の10倍はあるんだから」


 セリアはゲームでのマリアの強さを基準にしていた。マリアは序盤、他のメンバーの10倍もの魔力を持ち回復魔法を覚えれば迷宮内で回復に困ることが無い位、回復要員として優秀だった。代わりに剣技などは初期値が高いアルトやアランに比べて見劣りしていた。

 それを基準に考えていた。黒田流農殺法の強さを計算に入れていなかった。だから、後衛として安全な場所で魔法の援護を頼んだ。


「分かった。セリアがそう言うのなら従うわ」

(でも、ミリアが私にしてくれた占いのアドバイスは、不安に打ち勝って前進すればいいって内容だったんだけど、前衛後衛の話じゃなく気構えって事で良いのかな?)


「それと、夏休みは合宿を行います!」

「合宿って何だい?セリア」

 アルトが聞いたことのない単語に疑問符を浮かべていた。マリアも不思議そうな顔でセリアを見ていた。


「夏休みの間、みんなで、海に移動して泊りがけで特訓を行うのよ!」

「ちょっと待て、泊りがけって誰と誰が行くんだ?」

 アルトは嫌な予感がしていた。


「決まっているわ。私とマリアとフレイアとロイとエースとアルトよ。迷宮攻略メンバー全員で特訓よ!」

「セリア、当然の事だが、男女は別の場所で特訓を行うんだよな?」

「え?何言ってるの?泊まる部屋は別だけど、一緒の場所で特訓するに決まってるじゃない」

「ダメだ!それは許されない!」

 アルトの予感は当たった。そして、マリアも驚愕の表情を浮かべていた。


「え?なんで?」

「常識だろう。結婚前の女性が、男性と同じ宿に泊まるなど言語道断だ!」

「いや、部屋は別だってば」

「それでもダメだ!私と君は婚約しているから、まだ許される。だが、フレイアは公爵令嬢で婚約者が居ないんだぞ!」

「ロイと両想いなんだし噂がたっても問題ないじゃん」

「ミリアだったらこんな提案絶対しない」

(そうなのミリア?)

(姉さんは前世の記憶の影響受けすぎ、同じ宿に泊まるのはダメよ。近くの別の宿に泊まるぐらいの対策をとらないとフレイアが軽い女だって噂が立っちゃうよ)

「ごめん。ミリアにも怒られた。同じ宿は撤回する。別の宿にそれぞれ泊まって訓練の時だけ集まるってことでどうかな?」

「それなら問題ない」


 話がまとまりかけた時、マリアが恐る恐る手を上げた。

「なに?質問?」

「はい、旅費は?」

(正直、旅行なんてするお金はうちに無い……)

「ああ、心配しないで私が持つわ」

「待て、王族の私が参加するのに公爵令嬢に費用を払わせたとなると面目が立たない。私が全員分持つ」

「え?大丈夫なの?」

(姉さん。アルト様、ちょっと無理してる。王族とはいえ、私的に使える金額は決まっているわ。私はお父様が甘いから無制限にお小遣い使えるけど……)

「だ、大丈夫だ。私は王族だ。何とでもなる」

(さて、アルトはこう言ってますが、ミリアさん。いかがいたしましょう?)

(私が説得する)

「アルト様、この合宿は私のワガママで行うものです。アルト様に全て負担してもらう訳には参りません。ですが、公爵から宿泊費を支払ってもらったとなれば賄賂と受け取られかねませんし、アルト様は個人的に避暑地で宿を取り、たまたま私たちと鉢合わせし一緒に訓練することになったという事でどうでしょう?」

「そうか、それなら問題ないだろう」

(おお、アルトを手玉に取っている。さすが婚約者)

(姉さん。からかわないで)

(は~い)

「ともあれ、マリアの旅費は私が負担するから何も心配しないでね」

「うん、ありがとうミリア」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ