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悪役令嬢に転生してしまった。だから、私を裏切る婚約者の事を絶対に信じません!  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)


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クリシェラルの血族

読み方

「」普通の会話

()心の声、システムメッセージ

『』キーワード

<>呪文


 セリアはお茶会の後で、イリアのもとを訪れた。ゼファール家の応接室で、セリアとイリアはソファーに座って対面していた。セリアはドレスを着ていて、テーブルには紅茶が置かれていた。

「母さん。未来を見たんだけど、王国って滅びるの?」

「お母様とお呼びなさい。セリア。そして、あなたも見たのね……」

「お母様は知ってたんですね」

「言葉遣いは、直しなさい。まあ、今は大目に見てあげるわ。王国の滅亡の可能性は以前からありました。ですが、確実に滅びると決まったわけではありません」


「そうなんですか?」

「王国の存亡にかかわるターニングポイントがいくつかあります」

「その一つは半年後の試験ですね」

「そう、そこでアルト殿下とマリアが死なない事、これが最初のターニングポイントよ」

「どうすれば?」

「あなたが鍵よ。セリア。あなたにしか未来は変えられない。でも、何をすればいいかは分からないの。ただ、願いが重要としか……」


「私の願い?」

「そう、試練の迷宮で、あなたは何かを願う。その結果、未来は変わる」

「何を願えばいいのですか?」

「それは分からない。分からないけど、全身全霊をかけての願いが道を開くわ」


「全身全霊……」

(私はいったい何を願うの?分からない……)


「お母様、このことは誰かに相談しても良いですか?」

「良いけど、王国の滅亡は伏せなさい。滅びを予言するものは嫌われるわ……」

「分かりました。あと、クリシェラルの血族って何ですか?」


「その言葉をどこで聞いたの?」

 イリアは驚き、目を見開いてセリアに問いかけた。


「未来を占った時に、黒い影が私の事をお母様と勘違いして喋ってました」

「そう……。もう、そこまで見えるようになったのね」

 そう言ってイリアは深いため息を吐いた。


「クリシェラルの血族とは、タロットカードで未来を予知する力を持つ一族の事よ。つまり、今は私とミリアとあなたね」


「黒い影の正体について、お母様に心当たりはありますか?」

「ありすぎて誰がそうなのか分からないわ……」


「ありすぎて?」

「そうよ。この国の為に占いを行って他国の邪魔をした事なんか数えきれないぐらいよ……。それこそ周辺諸国全てから恨まれてても不思議じゃないわ」

「そうなんだ……」

「だから、どこの国が攻めてきてもおかしくはない」

「でも、魔王が現れるときに聖女も現れるって伝説があるんだから、黒い影は魔王なんじゃ?」


「あの伝説はあてにならないわ」

「なんで?」

「教会のでっち上げですもの……」

「え?そうなの?」

「そうよ。教会の広めている伝説では、魔王が現れたとき、教会が神託により選んだ者が神域の迷宮に挑み、神から聖女の力を授かり魔王を討伐する。という教会の権威を高めるためのプロパガンダですもの。

 私のお母様から聞いた話では、聖女は魔王が居なくても資格ある者が神域の迷宮の最深部に至れば才能を開花するらしいわ。だから、魔王との因果関係は薄いのよ」


「そうなんだ……。でも、私、魔族に襲われたんだけど、関係ないかな?」

「魔族は、魔王が居ない今は金さえ払えば誰でも雇えるのよ。だから、魔王の差し金とは限らないわ」


「本当に分からないんだ……」

「そうよ。だから、あなたを殺した犯人も分からなかった……」

「あの、お母様。とっても聞きにくい事なんですが、聞いても良いですか?」

「なにが聞きたいの?」

「私が死んだとき、お母様は、なぜ私の死を予知出来なかったのですか?」


 セリアの言葉を聞いた後で、イリアはソファーからゆっくりと立ち上がってセリアの横に移動して座った。そして、優しくセリアを包み込むように抱きしめて、慈しむ様な声で、セリアに語りかけた。


「セリア。占いはね。自分の思い入れが強い事柄を占った時、自分の願望が反映されて正しい結果が得られないの。だから、あなたとミリアとクルルの未来を私は正確に知ることが出来ないの。だって、そうでしょう私はセリアもミリアもクルルも愛しているもの……。絶対に幸せになって欲しい。だから、死の予見なんて出来ないの。ごめんなさい。でも、愛しているわ」


(ミリアも同じ事言ってたな……。前世の記憶があるせいでイリアがお母さんだって実感がわかなかったけど、やっぱりお母さんだ。温かいな~)

 セリアは自分を抱きしめているイリアの腕を両手で抱きしめた。それだけで、イリアにはセリアの想いが伝わった。


「ありがとう。お母さん」

「だめねセリア。お母様だって言ってるでしょ」

「ごめんなさい。でも、そうなると、ミリアとアルトの未来も正確に占えないって事?」

「あら、それは大丈夫よ。だって、私はアルト殿下に思い入れはありませんもの」

「そうなんだ」

「ええ、ミリアが幸せなら誰を選んでも良いと思ってますからね」

「なるほど」




(聞きたいことは聞けた。後は、アルトとマリアに相談しよう。他のメンバーには要らない心配をかけたくないし、秘密にしておこう)

(姉さん。アルト様、死なないよね?)

 ミリアは泣きそうな声でセリアに聞いた。

(大丈夫。何とかする)

 セリアは、根拠はないが、ミリアにそう答えた。


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