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悪役令嬢に転生してしまった。だから、私を裏切る婚約者の事を絶対に信じません!  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)


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ゲームオーバー2

読み方

「」普通の会話

()心の声、システムメッセージ

『』キーワード

<>呪文


 マリアは、槍に押さえつけられて地面に伏していた。マリアの目の前に黒い大きな影が立っていた。

「いや、見事な突撃だった。聖女マリアよ」

「あなたは、私が必ず倒す!」

「ははは、無理だ。君の仲間はことごとく死んだ。もう、助けも来ない。そして、君も限界を迎えている。奇跡は起こらない」


「それでも、私は最後まで諦めない!」

<全知全能の神よ我に力を!サクリファイス・エクスプロージョン>

 マリアを中心に白い爆発が起こる。そして、黒い影を飲み込み多くの黒い軍勢を巻き込んだ。だが、光が収まると黒い影は、何事もなかったように立っていた。


「自爆か、愚かな……」

 マリアの体は跡形もなく消えていた。


「おや、また見に来たのかね。君も諦めが悪いな、イリア……」

 黒い影はセリアを見てそう言った。セリアは黒い影に見つめられて背筋が凍った。

(何こいつ!私を母さんと間違っている?でも、なにこの寒気、あの目、怖い……)


「13年前、私は右腕と呼べる男を失った。だが、そのおかげで今日を迎える事が出来た。魔女の力を受け継ぐものは死に絶え、聖女も死んだ。私を止めるものは居なくなった。後は世界を征服するだけだ。君は負けたのだ。13年前、愛娘を守れなかった時に勝負はついていたのだ。ははははは」

 黒い影は勝ち誇って言った。そして、セリアの顔を両手で掴み、顔を近づけてにらみ言葉を続けた。


「お前は全てを失う。娘も夫も養子も全てだ!お前たち一族が目障りだった。私が世界を征服しようとすると毎度毎度しゃしゃり出てきて邪魔をする。だが、今度こそ私の勝ちだ!世界は私が征服する!黙ってみているがいい。クリシェラルの血族よ。あ~~~はっはっはっはっは~~~」

 黒い影は狂気に満ちた目で大声で笑い始めた。




 セリアは現実の世界に意識が戻った。春の暖かい陽気の中、セリアは全身が震えていた。憎しみと殺意に満ちた恐ろしい目を見た。そして、死の恐怖も感じていた。歯がガチガチと音を鳴らしていた。


(なにあれ?なんなの?あんなの知らない。あれ、呼吸が出来ない。あれ?苦しい。体が言うこと聞かない……)


「あ、か、は……」


「セリア?」

 セリアの異常に気が付いてマリアが駆け寄り、背中をさする。


「が、はぁ~~~。はぁ~~~。はぁ~~~」

 ようやく、恐怖の呪縛から脱してセリアは大きく呼吸した。


「どうしたの?すごい汗だよ?」

 マリアは心配そうにセリアの顔を覗き込んだ。


「なんでもない」

 セリアは自分が見たものを理解したくなかった。


「でも、顔が真っ青だよ?」

「なんでもないって!」

 セリアは叫んでいた。

「セリア、ミリアとも約束したけど、友達には何でも話して……」

 マリアは真剣な目でセリアを見た。


「ごめん。ちょっとだけ待って、私も見たものを理解できていないの」

(姉さん。一体何を見たの?)

(ミリア、見てないの?)

(世界が滅びるって言葉以外は何も見ていないよ)

(ミリアには見えない?なんで?ミリアが占った時は私にも見えていたのに、私が占うとミリアにイメージが共有されない?)

(そうみたい)

(そう。分かった。でも結果は待って、落ち着いてから言う)

(悪い結果が出たのなら、対処法を占ったら?)

(そうだね。そうする)


 セリアは、未来を回避するための方法を占った。すると、いつもより多くの魔力がセリアからあふれ出し、カードは球形の魔方陣を描いて黒く光り輝いた。そして、全てのカードがセリアの眼前に表向きで並び六芒星を形どった。その六芒星の中央には10番、運命の輪のカードが正位置で表示されていた。


「運命に抗え、人の子よ。求めよ、さらば与えられん」

 セリアの体を通してセリアではない何者かが言葉を告げた。


 カードは、セリアの手元に全て戻った。


(どういうこと?)

 セリアは占いの結果の意味がさっぱり分からなかった。

(希望を持てってこと、かな?)

 ミリアも意味を理解できなかった。

(なんにせよ。私が見た未来をそのまま伝えるわけには行かない。同じものを見ているはずの母さんに相談するしかない……)

(私にも言えないの?)

(あれは、ダメよ。あんな未来、絶対にダメ)

 アルトが死にミリアが自殺する未来、そんな未来をセリアはミリアに伝えたいと思わなかった。


「マリア。ごめん。この件は後でちゃんと相談する。だから、今は何も聞かないで」

「分かった。待ってる」


 マリアを説得するとセリアはアルトに近づいた。アルトは、少し離れた場所でヒイロと雑談していた。近づいてきたセリアを見てアルトが声をかけた。

「どうしたんだい?」

「死んだら殺す。何があっても絶対に死ぬな、死んだら許さない」

「いきなり何の話だい?」

「とにかく死ぬな、良い?」

「はい……」

 セリアの勢いに押されアルトは何も理解出来ないまま約束をしていた。

「よろしい」

(アルトの死が、全ての始まり、アルトが死ななければ未来は変わるはず……)

 セリアは未来を変える為に必死だった。


(セリア姉さん。いったい何があったんだ?)

 ヒイロはセリアの必死な様子が気になった。


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