お茶会 アルトとヒイロ
読み方
「」普通の会話
()心の声、システムメッセージ
『』キーワード
<>呪文
歓談が始まった直後、ロイはヒイロに話しかけようとしていた。ヒイロはそれを察知し、即座にカップを持って席を立った。そして、アルトの元に向かった。
「アルト様、少し散歩をしながら花でも見ませんか?」
「君から誘うなんて珍しいな、良いだろう。一緒に花を見に行こう」
アルトはヒイロの意図を察した。ロイとフレイアが会話をするように仕向けたのだと。
アルトとヒイロは中庭の花を眺めつつ会話を始めた。
「あの二人、上手く話せるかな?」
アルトがヒイロに問いかけた。
「さあ、何年もお互いを意識しつつ何も進展がありませんでしたからね。今回もダメかもしれませんよ?」
「はは、そうだな」
「それで、アルト様。姉さんから、どこまで聞いているんですか?」
「一応全て聞いている。ミリアが隠し事をしていなければだが……」
「ミリア姉さんが命を狙われている事は聞いていますか?」
「狙われたのはセリアではないのか?」
「セリア姉さんが殺された時、ミリア姉さんも殺されかけているんですよ?セリア姉さんのお陰でミリア姉さんは助かりましたけど」
「そうだが、そのあとミリアに危険は及んでいないのだろう?」
「それはそうですが……。嫌な感じがしませんか?」
「嫌な感じ?」
「セリア姉さんは殺された。でも、魂は残っていた。この前まではセリア姉さんの魂はミリア姉さんと同化していた。それが、分かれた。また、命を狙われる可能性があると思いませんか?」
「言われてみれば、そうかもしれないな」
「もし、可能なら、アルト様の方でミリア姉さんの護衛を増やせませんか?」
「難しいだろう。学園には学園の警備兵が居る。しかも、学園は王家と貴族からの干渉を嫌うからな」
「そうですか、残念です。ですが、アルト様はミリア様を守ってくれますよね?」
「もちろんだとも」
「僕も、それとなく警戒しておきます」
「それが良いだろう」
「ヒイロ。ようやくロイとフレイヤが会話を始めたみたいだ」
「本当だ。全く、お互いに好意を持っているのに、二人とも奥手なんだから」




