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ツインソウルとディスティニーラバー

読み方

「」普通の会話

()心の声

『』キーワード

<>呪文


「ツインソウルとは、魂の双子の事よ?」

「普通の双子と違うんですか?」

 イリアの説明にセリアが質問した。


「違うわ。魂の双子は普通の双子ではなく、人間の不完全さを補う存在よ。だから、性格的にも能力的には正反対である事が多いわ」

「私とミリアの様に?」


「そうね。セリアは外交的でミリアは内向的だった様にね」

「なるほど」


「でも、正反対だからこそ、互いを理解することが困難なのよ。だから、ツインソウルは出会っても人生を共に歩むパートナーとなり得ないことが多いわ」

「そうなの?」


「ええ、本当は協力しあえば互いの欠点を補えあえる相手なのに……」

「性格が正反対なら仕方ないのか~」


「だからこそ、セリアとミリアはお互いの違いを理解して協力して欲しいの」

「さっき言っていた奇跡ってやつ?」


「そうよ。ツインソウルは協力することが出来ればなんだって出来るようになる。例えば商売を一緒に始めれば大成功するし、結婚相手に選べば生涯幸せに暮らせるわ」

「なるほど」


(ミリアと協力する……か、今は無理ね。アルトの事で対立してるし……)

(セリアお姉ちゃん。私はアルト様を信じるって決めた。それを変えることはしない)


 セリアもミリアも互いに譲れないものがあった。セリアはアルトを信じきれない。マリアの選ぶルートが決まらない限り、アルトがミリアを裏切る可能性は高いのだ。だが、ミリアはアルトを信じた。それは、今までミリアが見てきたアルトが誠実だったからだ。だから、二人は対立していた。


「もう一つ教えておくわ。ディスティニーラバーの事よ」

「ディスティニーラバー?」

 セリアは聞きなれない単語を繰り返した。


「ツインソウルはお互いを補完する存在。対してディスティニーラバーは、運命の恋人よ」

「運命の恋人?何か特別な事でもあるの?」


「ディスティニーラバーと出会うとすぐに分かるわ。直感でこの人だと気づく、それはお互いにね。恋人になるまで時間はかからないわ。でも、結婚するとなると話は別なの。様々な障害が発生するわ」

「運命の恋人なのに?」


「運命の恋人だからよ。結婚すれば幸せになれるのだけど、神様は意地悪なのか簡単に結婚させてくれないわ。幸せになる為に障害をクリアすることを望んでいるみたい」

「ツインソウルとの違いが分からない」


「ツインソウルはお互いを理解しあう努力が必要だけど、ディスティニーラバーはそんな必要が無いの。あった瞬間からお互いを理解したいと強く思うし、相手の全てを簡単に受け入れられるわ」

「なるほどね~。ミリアにとってのアルトがそうなのね」


「あら、察しが良いわね」

「見ていれば分かるわ。私とミリアが理解しあうには努力が必要だけど、ミリアとアルトは何もしなくても理解できるわけね」

(だから、あんな簡単にミリアはアルトを信じるのか、そしてアルトもミリアを信じている)


「ディスティニーラバーとは絶対に結ばれるの?」

 セリアは疑問に思ったことを口にした。

「難しいと言われているわ。なかなか結婚できない状態に嫌気がさして、別れることを選ぶ事が多いみたい」

(それが、アルトとミリアの破局の原因か……)


(私は障害に負けない)

 ミリアは決意をセリアに伝えた。

(ミリアが負けなくてもアルトが負けてしまったのが、あの未来よ)

 セリアはミリアの決意は信じてもアルトの決意は信じなかった。ゲームでは、マリアを暗殺しようとしたミリアを庇うことなく断罪したのだから……。


「ミリア。負けないで、私はあなたを応援しているわ。アルト様は素敵なお方、きっとあなたを幸せにしてくれる」


 イリアは慈愛に満ちた声で、目で、ミリアを励ました。

「はい。お母様」

 ミリアは母の応援が嬉しくて笑顔で返事をした。

(信じて傷つくのはミリアなのに……)

(それでも私は信じたい)

 二人は分かり合えないままだった。


(アルトが姉さんの運命の恋人か……。まあ、そうなんだろうな。だが、必ずしも結ばれるとは限らないのか、まだチャンスはある。しかし、今のままでは姉さんを守れない。僕も強くならなくては……)

 ヒイロは強くなることを誓った。どんな敵が来ようとも撃退出来るだけの強さを身につけると誓った。


(ああ、お姉さまのディスティニーラバーがアルト様か~。素敵ね~。クルルの運命の恋人は誰かな~。エース様だったらいいな~。あ、でも、もしそうだとしたら、障害があるの?面倒なのは嫌だな~)

 クルルの頭の中はお花畑だった。


(ミリアがアルト様と結ばれるための障害が『神域の迷宮』だとしたら、神様意地悪すぎだろう。うちの子が何をしたって言うんだ。こうなったら全力サポートする。ミリアが幸せになる為に必要なものは全てお父さんが用意してあるげるからね)

 セトは娘の過酷な運命を呪いつつも誓った。


「さあ、お話はここまで、食事にしましょう」

「賛成、お腹ペコペコ」


「あら、セリア。貴族なんだからそんな言葉遣いは止めなさい」

「言葉遣いは気を付けます。でも、教官のしごきがきつくて、早くご飯食べないと死んじゃう」


「教官のしごき?」

「剣術の授業でね。ちょっとガタイの良い男から一本とったら才能を見込まれちゃって……」


「え?なんで剣術なの?魔法の勉強じゃないの?」

 イリアは衝撃を受けていた。『神域の迷宮』に挑むのは知っていた。だが、それは魔法使いとしてだと思っていた。女なのに剣を学ぶとは思っていなかったのだ。

「神域の迷宮で戦うには剣の心得も無いと即死するから……」

 セリアにとっては、あたり前の事だった。魔法使いなど敵から全体攻撃魔法を食らえば消しとぶ脆弱な存在だった。剣も魔法も使えなければ死ぬ。それが『神域の迷宮』だった。


 セリアの言葉をイリアは真剣に理解しようとした。

「貴族の娘が剣術なんて……」

 だが、出来なかった。


「ごはん。まだ~?」

 セリアはお腹が空きすぎて思考停止していた。


(ああ、これがセリア姉さんか……。姉さんと結ばれると、こいつとも付き合わないといけないのかな?)

 ヒイロは、自分の恋が冷めていくのを自覚していた。


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