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ツインソウル2

「」普通の会話

()心の声

『』キーワード

<>呪文


 ミリアの父、セトが玄関に入るとメイドたちがオロオロし、ミリアとイリアが向かい合って話をしていた。


「いったい何の騒ぎだい?」


 セトの質問にイリアが答える。

「あなた。セリアが帰ってきたの」

 イリアは嬉しそうにセトにそう告げた。

(イリア。気が触れたのか?)

 セトはセリアが死んだ直後のイリアを思い出していた。




~~~~回想 ミリア5歳の時 自宅中庭にて~~~~


「セリア!セリア!ああ、なんてこと、なんでこんなことに……。回復魔法を……」


 イリアは既に死んでいるセリアに回復魔法を使った。


「大丈夫。大丈夫よ。こんな傷、すぐに塞いであげるからね」

 イリアの目から涙が一粒零れ落ちた。


「おかしいわね。どうして、傷が塞がらないのかしら、もっと強い魔法で」

 イリアの目からさらに涙が零れ落ちる。


「大丈夫。大丈夫だからね……」

 イリアは自分に言い聞かせるように言いながら回復魔法を続けた。


「どうしよう。魔力が尽きちゃった。どうしよう……。セリア、返事をして、返事を……」


「イリア、残念だが、セリアは、もう……」

 セトは死んだと言えなかった。


「ああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~」

 イリアの鳴き声が中庭に響き渡った。


「お母様、大丈夫だよ。セリアお姉ちゃんはココに居るよ」

 ミリアはイリアの手を取って自分の胸に当てた。イリアはミリアの言っていることを理解できなかったが、ミリアが慰めようとしていることは理解できた。


「ありがとう。ミリア」


「セリアお姉ちゃんが助けてくれたの」

「頑張ったね。偉かったわよ」

 イリアはそう言ってセリアのまぶたを閉じさせた。


「さあ、こんな所に寝かせていては可哀そうだ。ベットに連れて行こう」

 セトはそれしか言えなかった。


~~~~回想 終了~~~~




 セトは、あの時の記憶が蘇り、イリアが取り乱したと思い。イリアに近づいた。


「どうしたんだい、イリア。ずっと昔の事なのに……」

「大丈夫よ、あなた。私は気がふれた訳じゃないわ。この子と話してみれば分かるわ」


 イリアの冷静な態度と言動を目の当たりにして、セトはイリアの言葉を信じ始めた。ミリアに近づいて目を見た。


「本当にセリアなのかい?」

「そう、みたいです」

 いつものミリアの口調と違い、上品さがない受け答えだった。明るく元気で、言葉遣いが少しだけ粗暴だったセリアをセトは思い出していた。そして、いつもと違う雰囲気を感じ取った。だから、セトもセリアの存在を信じた。


「そうか、おかえり、セリア。そして、すまなかった。あの時、君を守ることが出来なかった」


 セトはそう言って、優しくセリアを抱きしめた。

(え?ちょっ、まっ)

 自分は、セリアだったと自覚した『私』だったが、見ず知らずのおっさんに抱き付かれて困惑していた。

(あれ?でも、何だろう。お父さんって感じがする……)

(それは、そうよ。だって本当にお父様なんだから)

 ミリアはセリアの反応を楽しんでいた。




 いつもの食卓に、セト、イリア、ミリア、ヒイロ、クルルが席に着いていた。

「重大発表があります。ヒイロ、クルル。これから言う事をちゃんと聞いてね?」

 イリアの言葉にヒイロは即座に答えた。

「分かりました、お母様」

(なんだ?重大発表?)


「クルルもちゃんと聞きます」


「では、昔の話からするわ。まず、クルルは物心ついて居なかったから覚えていないでしょうけれども、ミリアには双子の姉のセリアが居たの」

「居たって、事は……」

(死んだのか?)


「そうよ。殺されたわ……」


「いったい誰に?なんの目的で……」

(なんだ、ヤバいぞ、相手の目的によっては姉さんも狙われていることになるじゃないか)

 ヒイロは血の気が引くのを感じていた。ミリアの護衛にいつもアランが張り付いていた。それは、貴族だから、次期国王の婚約者だからだと思っていた。だが、違う理由があるのならヒイロもミリアを守るために側に居なければならなくなる。


「それは、分からない。私の力を持ってしても見れなかった……」


 イリアはセリアの殺害犯について何度となく占った。だが、タロットカードは答えを示さなかった。相手の力がイリアを凌駕しているせいで、見えない可能性があった。


「そんな……。姉さんの身は安全なんですか?」

「そう思わないから、アランを常に護衛につけているのよ」

(そんな、最悪だ。まさか、姉さんが命を狙われていたなんて……。どうする?アルトとの仲を引き裂くための計略は続けるべきか?もし、姉さんの命を狙うものが、居るのならアルトの権力は最大の庇護になる……。クソッ。僕はどうしたらいい?)


 ヒイロはミリアとアルトの婚約は破棄させたいが、ミリアの身が危険に晒されるのは耐えがたかった。


「クルルは、なんとなくだけど覚えてるよ。二人いたお姉さまが一人になったのを覚えてる。でも、それまであまり遊んでくれなかったお姉さまが遊んでくれるようになったから、何も思わなかった……」


「そうね、セリアが居た時は、ミリアとセリアが二人で遊んで、クルルは一人で遊ぶことが多かったわね」

 イリアは仲が良すぎたミリアとセリアの事を思い出していた。いつも二人で行動していた。


「重大発表とは、姉さんが命を狙われているという事ですか?」

 ヒイロにとっては重大な事だったが、イリアが伝えたいのは別の事だった。


「違うわ。そのセリアが戻ってきたのよ」

「戻ってきた?」

(ありえない。死者を蘇生する魔法を使えるのは聖女だけだ。しかも、その聖女は魔王が出現したとき、人類の希望として現れる特別な存在、今は魔王も聖女も居ない)


「正確には、融合していた魂が分離して一つの器に収まっている状態よ」


(なるほど、昨日から言動や行動がおかしかったのはセリアのせいだったのか、というか姉さんと性格違いすぎるだろ!双子なのに)


「昨日から姉さんの様子がおかしい理由が分かりました」

「ヒイロも気づいていたのね」

「急にアルト様の話をしなくなったんで、おかしいと思っていたのですよ」


「という訳で、セリアの事はセリアと呼んで、ミリアの事はミリアと呼ぶように」

「これが、重大発表ですか?」

「そうよ。大切な家族が戻ってきたんですもの。ちゃんと認識してあげて欲しい」

「分かりました」

「クルルも分かりました。それで、今はセリアお姉さまなのですか?ミリアお姉さまなのですか?」


「あ~。私はセリア。なんか、小さいころに死んでミリアに溶け込んでいたみたい。好きな事は食べる事、よろしくね」

 セリアは自己紹介をした。


「よろしく。セリア姉さん」

 ヒイロは複雑な気持ちでセリアを受け入れた。


「よろしくお願いしますね。セリアお姉さま」

 クルルは何も考えずに受け入れた。


「ちなみに、セリアとミリアはツインソウルと呼ばれる存在だから、お互いの存在を認め合うようにしなさい。そうすれば、奇跡は起こるわ」

「ツインソウル?」

 セリアは、スピリチュアルな事柄に疎かった。

「知らないのね。いいわ。ツインソウルが如何なるものか教えてあげるわ」


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