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第八話

少女が目を覚ました、という連絡を受けて俺は少女のいる部屋へと向かった。少女は丸2日医療ポッドの中で治療され、その後ベッドで丸1日眠っていた。


部屋へ入ると、少女が真っ白なベッドに体を起こしている。その隣には世話をしてくれたナスティアの部隊のアンドロイドが一人いる。


「おはよう。傷はもう大丈夫かい?」


「ここ…は…?」


「ここはロストエデン。俺が司令官を務める要塞だよ。君の名前は?」


「メイ…。」


「メイ、つらいだろうけど、君の家での出来事は覚えているかい?」


「う…ん…。お父さん…。」


泣き出してしまった。まだ小さな子どもなのだ。この現実は残酷過ぎる。


「メイ、当然あの街には戻れない。他にどこか親戚や頼れる人のいるところはあるかい?」


「………。」


少女は首を振った。想像していた通りか。頼れる人がいるなら、あんな暮らしはしてないだろうからな。


「私…これからどうしたら…。」


俺はメイを助けたときから心に決めていたことを告げる。


「メイ、君さえよければロストエデンで暮らさないか?知ってる人はいないけど、メイをいじめる人もいないよ。」


「ほんと?私ここで暮らしていいの?」


「あぁ、大丈夫。今日からここが君のお家だ。お家にしては大きすぎるから後で案内するよ。お腹すいたろ?ご飯にしようか。」



俺はナターシャに連絡し、料理を作ってくれるよう頼んだ。



実は、困ったことにロストエデンに料理人がいないことが判明した。確かにゲーム内で食事なんて無い。

そこで、副官を集めて料理できる者を探したところ手を挙げたのが、ナターシャとアマンダだった。

2人で料理をさせたところ、(予想はしていたが…)アマンダの料理はとても料理とは呼べない代物だった。

まず、肉を焼く!ひたすら焼く!それを食え!と……。

満場一致でナターシャに任せることになった。



約45分後、メイの部屋に料理が運ばれてきた。ナターシャ…張り切ったようだ。

ちょっと量が多い。いや、ちょっとではない。かなり多い…。5、6歳の女の子が食べるんだぞ…。

まぁ、残ったら残ったでいいか。



ちなみにロストエデン内で食糧の生産も行っている。ゲーム内でも様々なことで食糧を消費するからだ。(兵を募集したり、建物を建設したり…etc)


ただ、ロストエデンでは兵は全てアンドロイドであり建物もMAXレベルの為、食糧を消費しない。

食糧を消費するのは俺と副官だけだ。

だから、ハッキリいうと食糧は余りまくっている。


2日前に、もしかして腐ってたりするんじゃ?と思って確認しに食糧庫へ行ったらゲーム内のシステムを引き継いでいるらしく腐るどころか、劣化すらしていなかった。

さらに、ゲーム内で「食糧庫が一杯になりました。」などと言われたこともないので無限に入るようだ。

なんて便利な…。



「これ、メイのご飯?ほんとにメイが食べていいの…?」


「そうだよ。食べられるなら全部メイが食べたって良いんだよ。さ、好きなものからお食べ。」


そう言って促してあげると、メイは食べ始め、気がついたら泣きながら食べていた。


「こんなに美味しいご飯初めて!あったかい…。それにたくさん…。」


「おいおい、泣くなよ。これからは食べ物には困らないぞ。なんたって、ここには食糧が余りまくっているからな。」


俺が言うと、メイは驚いた。


「余りまくってるの?じゃあ、メイたくさん食べて大丈夫?」


「もちろんだ。たくさん食べて大きくなれよー。」


メイは笑顔で「うんっ!!」と元気よく返事をした。


その笑顔を見て、俺はとても癒された。これが父親の気分なのかもしれないな。悪くないな。


その時、緊急の連絡が入った。

カーミラの部隊からだ。


俺はメイにゆっくり食べてもう少し休むように言い、また来るからとメイの部屋を後にした。

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