第三十二話
あれから俺はユイをロストエデンへ連れてき、麻奈とユイをメイとリンに紹介。他の者にはレディを通して紹介しておいた。それから2人の部屋の割り振りを行った。
その後、走り疲れたためか司令官室へ戻り倒れるように眠った。
(んん…眠ってしまったか。なんだろ?心地よい。まるでちっちゃい頃、母に抱かれてるような……このまま眠っていたい…)
母に抱かれてる!!??
ガバッと起きた俺の目の前にいたのは、やはりコイツだった。
「ご主人様、もうお目覚めですか?もっと私の胸に顔を埋めて眠っていらしても…」
枕だと思っていたのは麻奈の胸だった!?
驚愕している俺に麻奈はさらに続ける。
「あぁ…ご主人様のよだれで私の胸が光って…昂ってしまいました。朝一でヤりますか!?」
俺は赤面して
「ヤるわけないだろーが!というか自分の部屋があるだろ!?なぜ、俺の部屋に…」
麻奈は嬉しそうに部屋の外へ出てチョイチョイと手招きした。
なんだ?ここは間違いなく俺の部屋だよな?と思いながら部屋の外へと出てみた。
『司令官室』にバッテンがつけられ、その下に『ご主人様と肉奴◯の愛の巣』という新しいのがつけられている。
な、な、何してんだコイツー!!!
「ご主人様、わかりましたか?ということで、私がココにいるのも朝一からヤるのも全然普通のことなんですよ!では、早速…」
「とりあえず出てけー!!」
俺は麻奈を追い出した。
一人司令官室に戻った俺。
(寝ているときうつ伏せで助かったぜ。仰向けだと勃ってるのがバレバレだからな。)
朝勃ちしていた俺は部屋を出る前に必死でジョー博士やら男副官を思い浮かべて萎えさせたのだ。
(ん??ジョー博士?あぁぁぁぁぁッ!!)
確か
『聞いてくだされ!拙者とうとうやってしまったでござるよ!!』『残念だが今は時間がなくてな…今度聞いてやるよ』
すっかり忘れていた。スネてないといいが…
手早く身支度をととのえて部屋を出ると麻奈と魔王が待っていた。
魔王お前暇そうだな…ずっと居座る気か?
仕方ないので2人とともにジョー博士の研究室へと向かった。
「ジョー博士、研究がどうとか言ってたな。聞きに来たぞ。」
「あぁ、司令官。私はまた忘れられたのかと思っておりましたよ。」
「ハッハッハ、何を言っているんだい?大切な副官の報告を忘れるわけがないじゃないか、ジョー君。」
魔王と麻奈が顔を見合わせて「コイツわかりやすすぎるぞ。」「そこがまたご主人様の良いところですよね。」と囁きあってるのを努めて無視する。
「それで?何かすごい成果があったようだが。」
ジョー博士は奥からドス黒い小瓶を出してきて俺たちの前へ置いた。
あかん色をしている。直感だが、飲んだらのたうち回って死ぬ気がする。
他の2人も同じ感想だろう。顔が引き攣っている。
「これは…?誰かのゲ◯便か何かなのか?」
ジョー博士は顔を真っ赤にして反論。
「ゲ◯便なんて出すわけないでござる!!」
「これはスキルを抽出した液体でござるよ!」
俺も他の2人もポカンとしてしまった。
「えっ!?何を抽出だって?」
ジョー博士はえへんと威張り
「スキルでござる!!この中にはあの少年。えーと名前は…まぁいいでござる。のスキルを抽出した液体が入っているでござるよ。」
あの少年とは堂島のことだろう。そのスキルっていうとあのめっちゃ速いスピードで動いてたアレか!!
「雷剣というスキルですな。雷の速度で動き敵を斬る。斬った敵は麻痺効果つき。コレを今からアンドロイドの一体で試すところでござる。」
んんん!?ちょっと待て。これ使えるんじゃないか?
例えば昨日の泉へ行くときも……『ハッハッハ、雷剣!』でコイツらを撒けたり。
泉でフードを被って『雷剣!エルフお姉さあん!!身体柔かぁい。すりすり』『きゃああああ!!…あれ?いない?』とかできちゃったりするんじゃ……
それにココなら万一死にかけてもなんとかなるだろうし…
「待つんだ!!ジョー君。僕が試そうではないか。」
魔王と麻奈は
「またよからぬこと企んでるんじゃ…?」
今回は無視せず反論しておく。
「そんなわけないじゃないか!心から信頼する副官の造ったモノを僕が試すのはおかしくないだろ?」
ジョーは感激して涙を流している。
「司令官自ら…拙者一生ついていくでござるぅぅぅ!」
いざ、ドス黒い液体を目の前にすると躊躇してしまう。
だが、目を瞑り勢いに任せてひといきで飲み込んだ。
うぇぇぇぇぇェェェッッ!!!!!!
マズいなんてモノじゃない。例えようがないけれど、あえていうなら死人も生き返る味ってのがぴったりな気がする。
その時頭の中で『スキル:雷剣を獲得しました。』と声が響いた。だが、その声がなんか不満そうに聞こえたのは俺の気のせいか?
「どうだ?」と魔王。
「あぁ、スキル獲得は成功したようだ。頭の中に声が響いたからな。なんか不満そうな声だったが…」
本当ならここは跳び上がって喜びたいところだ。が、冷静に対応しなければなるまい。来る日のときの為に…
「ちなみにジョー博士、スキル抽出は相手を殺す必要があるのか?」
「いやいや、ただ専用の注射器で抜き取るだけ。あの少年が死んだのはあれから更にいじくり回したからですよ。………最後は殺して下さい!お願いします!と叫んでいましたねぇ。私の研究の礎になったのだからもっと喜ぶべきだと思いませんか?」
「あぁ、それはそうだな。」
クラスの奴らに相応しい末路だ。少し手緩い感じも否めないがこの辺で妥協するのが良いだろう。
「ん?どうした?」
後ろを見ると魔王と麻奈が一歩後ずさってひいていた。
「俺はお前を敵に回すことだけは避ける。」
「私もご主人様だけは敵にしたくないです。」
そうか?普通だろ?とジョー博士に顔を向けると「えぇ、普通だと思いますよ。」とのことだったので一安心だ。
「その注射器で抜き取れば殺すことなくスキルを奪えるんだな?」
「えぇ、その通りです。抜き取られた者はスキルを使用することはできなくなりますがね。」
なら『キャンセル』のスキルは手に入れたいとこだな。後で誰かに行かせるか。
研究室からの帰る途中、メイ、リン、ユイ、アレクセイに出会った。今日はアレクセイがメイとリン、ユイを連れて釣りに行くって言ってたからな。
「お兄ちゃん〜!!」とメイが抱きついてくる。本当に可愛い。メイだけは何としても幸せにしなければ!!あとで写真撮っとこう。
「今日ね、釣りですっごいの釣れたの!!」
俺は本当の微笑みで
「それは凄いね!で、どんなお魚が釣れたのかな?お兄ちゃんに教えてくれる?」
「んーと、んーと、お魚と女の人が合体してるの!アレクセイのおじちゃんが持って帰って食べようって。」
「……………お魚と女の人が合体してるの?」
リンが割り込む。
「そうなんです!多分マーメイド族だと思うんですけど…」
ユイも同意した。
「マーメイド族って食べられるのかしら?」
「ガハハハ、きっとうまいに違いないぞ!なんせ若いしな!今から捌きに行こうと思っとったところじゃわい。」
待て待て待て待て待て待て。
「ちょっと、そのお魚見せてくれるかな?」
「うんっ、いーよ!」とメイが笑顔で答えてくれる。
アレクセイの後ろを見るとロープで縛られて引きずられているマーメイド族っぽいキレイな女の人が見えた。
「しくしく…私お刺身にされちゃうのね…」
喋っとるやんけー!!!
魔王が顔を出して驚く。
「マーメイド族の首長ではないか。お前刺身になるのか?」
「ま、魔王様!助けて下さいまし!私このままではお刺身になってしまいます。」
魔王は頭を掻き
「いや、俺に言われてもな。ここ俺のとこじゃないし…それに刺身美味そうだ。」
「えぇぇぇぇぇぇ!!?ひ、ひどい。やっぱり私お刺身になる運命なのね…」
魔王が俺を指差し
「助けて欲しいならコイツに言え。コイツ一応ここのトップだから。」
一応ってなんやねん!!一応って!!と思ったが口には出さない。
俺は優しくメイたちに
「このお魚さんお兄ちゃんにくれないかな?お刺身にするかはもうちょっと待ってもらっていい?」
「いいよーっ」「いいですよ」「いいですわ」と快く応じてくれた。
さて、どうしたものか。
刺身久しく食ってないなぁ。と思いながら俺たちはマーメイドの首長という女を引きずって司令官室へと向かったのだった。
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