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第二十話

「……ヒト種ではないか。これでは無理か。」


ルーミルが呟く。


(そうそう。無理無理。早く帰れ。)


俺の願いが通じたのか、去ろうとするルーミル。


「ノーザイア帝国のことか?それなら、ここのヒト種は敵ではない。話ぐらいした方がいいと思うがな。」



足を止め声のした方を向いたルーミルは驚愕の表情になる。


「あ、あなた様は!アーガイア国のシューベルト・シュナイデン王!!」


「どうしてここにおられるのですか?」


ルーミルにこれまでの経緯を話す魔王。


(コイツら俺の部屋で…どっか違うとこでやってくんないかなぁ?)



話を終えたルーミルは俺の方を向き、


「大変失礼致しました。要塞のトップの方がヒト種だったのでノーザイアの味方だと勘違いしてしまいました。お許し下さい。」


膝をつき謝罪するルーミル。


(別に謝罪いらないから早く帰ってくんないかな…ついでにコイツも連れて。)


だが、ここまで丁寧に謝罪されてしまった以上「帰れ」というわけにもいかず話を聞くことになってしまった。



さっさと話を終わらせたい俺は核心から入る。

「それで話とは?」


「はい。先程シューベルト王がおっしゃった通りノーザイア帝国の侵攻のことです。今はなんとか持ち堪えておりますが、それもいつまで続くか…

そんなとき、おそろしく強い要塞なるものが現れたと噂を聞きまして助力を得るために私が参ったという次第です。」


(助力を得たいなら美女エルフにすれば良かったのに…)と思ったが口には出さない。


俺は一応難しい顔を作り


「わざわざ御足労いただいて非常に申し訳ないが、こちらは今、忙しく手が離せないのです。」


「お前さっき暇……」


言いかける魔王の口を手で塞ぐ。


(あっぶねぇ!ギリギリだったわ…)


ルーミルはとても気落ちし「そうですか…」と呟いた。



次の瞬間、ルーミルの表情が驚愕に変わる。

そして、独り言にしては大きい声で


「クソッ!これはまずい!」と言った。


塞いでいた手を払いのけた魔王が「どうした?」と訊ねる。


ルーミルの厳しい表情を見れば大体わかるが……


「ハッ!たった今、テレパシーで連絡がありましてノーザイアが再び侵攻してきたと。」


そうだろうなとは思った。だが、今まで侵攻を切り抜けてきたのなら今回も犠牲は出るだろうがなんとかなるはずだ。


同じことを魔王も思ったようだ。

「今まで持ち堪えてきたのなら、今回も切り抜けられるんじゃないのか?」


ルーミルの表情は険しいままだ。


「それがそうもいかないのです。今回の侵攻に異世界者が含まれている…と。

クソッ!ヤツら今度は本気でサーニャを滅ぼすつもりだ!」


感情が一気に噴き出す。

「今…異世界者って言ったか?」


俺の表情が恐ろしいほどに変わったのを見て一瞬言葉に詰まるルーミル。


「……何人いる?」


「……っ。6人と聞いております。」

少し声をひきつらせながらもルーミルは答えた。


一度感情を落ち着かせる。


「そうか…。で、報酬はあるのか?」


「もちろんです!サーニャの長より望む報酬が与えられるはずです。

力を貸していただけるのでっ!?」


ルーミルの表情が絶望から少しの希望へと変わる。


「あぁ、そうだな。ちょうどメイの友達が一人じゃかわいそうだと思っていたところだ。」


魔王が思わず声をかける。


「オイオイ、セリフと表情が一致してないぞ。何かの因縁か?」


「あぁ。俺はヤツらを…許すことはできない。」


魔王はそうかと頷き、それなら俺も力を貸そうと言った。


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