4.ゲーム世界の説明を受ける
世界観説明回。
…まだアバターすら出来上がってない…。
『では、あなた様のアバターが出来るまでに、この世界、『アナザーワールド』について簡単に説明させていただきます。ご質問やご確認がありましたら、どうぞ遠慮なくお申し付けください』
アバター作成、どうやら時間がかかるらしい。あれか、丸投げだからか。申し訳ない…。
〔管理者〕さんがすっと白い右手を持ち上げると、その手のひらの上に再度、白い光だか粒子だか…光でいいや、白い光が集まってバレーボール大の青い惑星を形作る。地球っぽいが、よく見ると大陸の形とか違うな。
『この惑星が『アナザーワールド』です。大気や海など、環境自体はあなた様のお住まいの地球とそう変わりません。大きさもほぼ同じですので、重力その他物理法則も基本的には変わりません。衛星、月は二つ、地上から見て通常金色に見える月と銀色に見える月があります。軌道の関係でどちらが大きく見えるか、またその色や形など、見え方は時と場所により変わります』
また光が集まって二つの月が現れた。
月は惑星、『アナザーワールド』の周りを周りはじめる…って結構月どうしの軌道が近いな!ぶつかりそうでぶつからない感じでぎりぎりを攻めている。惑星『アナザーワールド』との対比を見るに、大きさは二つとも地球の月ぐらいか。
『では次に、『アナザーワールド』が地球と明らかに異なる部分をご説明いたします。この世界、『アナザーワールド』には、地球上には存在しない極小粒子、〔魔素〕が存在します。この〔魔素〕は何処にでもあり、大気や水、土にも、生物の体にも素粒子として存在します。もちろんこれから作成するあなた様のアバターにも。『アナザーワールド』に生きるヒト種や一部生物郡は、この体内の魔素と体外の魔素を共鳴させる事で、様々な現象を引き起こすことが出来ます。これを魔法といいます』
おお、ファンタジーだ!良かったSFじゃなくて。私、機械類にはちょっとだけ疎いからな。ちょっとだけな!
『さて、魔法を使用するための音叉と言うべき〔魔素〕は『アナザーワールド』に存在する全てに内包されていますが、魔法としてきちんと現象を起こす為には目的の〔魔素〕まで共鳴を届かせる、音叉で言うなら空気の役割を果たす触媒が必要です。これを魔力といい、この世界では生きるのに必要不可欠な力でもあります。全ての生物は体内にある程度の魔力を貯める器を持っていますが、ヒト種以外の普通の動植物は、内包した〔魔素〕そのものを器としており、貯められる魔力量も少ないため、魔法の行使をする事もありません。ですが、希に何らかの切っ掛けで器が実体化し、貯められる魔力量が劇的に増加する事があります。実体化した器を魔石といい、命の中枢、例えば心臓のある生物ならば、心臓の傍に発生し、魔石の発生に伴い、生物の体は魔法の行使に耐えられるかたちに急速に造り変わります。この、魔石を体内に持つ生物を魔物といいます』
おお、魔物!ますますファンタジー。あれだなドラゴンな冒険の旅やファイナルな幻想譚で主人公達の前にに立ちはだかるやつだな。あっさり殺られて経験値とアイテムになるまでがお約束のやつ。
『魔物の発生原因には、他にも魔力の濃い土地などで、魔素に凝った魔力が飽和して自然発生する場合や、ダンジョン等で生み出される場合、魔物となった生物が繁殖する場合などがあります。魔物は、ヒト種や普通の動植物に比べて種として強く、また凶暴な個体も多いのですが、彼らもまたこの『アナザーワールド』に生きる命。忌避すべきものではありません』
へえ。魔物は人類の敵!みたいな世界観ではないんだな。扱いとしては野性動物と同じっぽい。
『ただ、アンデッドだけは扱いが違います。あれらは死体や怨念などが魔力を帯びて動いているので、命はありません。また、意思の疎通も不可能です。命を渇望し、生命あるものを喰らうだけの、生物より魔法に近いものです。ですので、魔物を基本的に忌避しない『アナザーワールド』でも、アンデッドだけは忌まわしい、そして哀れなものとして見つけ次第討伐が推奨されています』
あれ、じゃあ定番の吸血鬼とかは?いるかどうかわからんが、死霊使いとかどんな扱いなんだ?と思ったので、訊いてみた。
『吸血鬼はアンデッドですが、あなた様がイメージされている“他者の血を力の糧にする人々”は不死属吸血種、ヒト種の一種です。不死属に属するヒト種は少し独特で、他のヒト種からの種族進化で不死属となる場合が多いです。もちろん吸血種など、繁殖機能が備わった種は通常の繁殖が可能です』
ああ、そういう感じか。アンデッドはあくまで死体なんかが動いてるだけの怪物で、不死属の方々は生きて生活しているヒトの一種と。
『また、死霊使いはテイマーの上位職ですが、死者の魂と交渉、契約し、使役する職業です。契約した魂を死体などに憑依させて動かします。死霊使いの魔法で動いているため、その意に反して自発的に生物を襲ったりはしませんし、意思の疎通も出来ます。ですので、アンデッドではありません。が、死体を使役する行為自体が倫理的に忌避されていますので、どの地域でも、あまり歓迎はされないようです』
うん、まあ、そうよな。
止めとこう死霊使い。立場的に不遇っぽい。もともとその気はなかったがな!
それにしてもこのゲーム、ちょっと聞いただけでも、世界観がよく作り込まれているのがわかるな。
いろんな種族が居る様だし、複数地域があるっぽい。観光、楽しみです。
実は不死属ヒト種も他種族住人には忌避されていたりします。
見た目アンデッドと区別つかんし。