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16.お外に出てみる

長らくお待たせしました!


懐を確かめると、私の従者その1な真っ白毛玉はまだへんにゃりして…というか寝てるのかこれ、うん、寝てるな、寝ていたので、ご対面はまた後で。

魔性の座り心地の折り畳み椅子に座り直して見上げる大樹、生い茂る木の葉を通してちらちらと射し込む日差しは俄然強い。

私が『夢』の中に(寝落ちして)いた時間はそう長くないだろう。結構喋っていた様な気もするのだが、クエスト中は時間加速でもしているのか。

最終的には〈神託〉を繋ぎっぱなしにして2柱と1人で座談会してたからな!

なんだか年の離れた姉弟+弟の友達な雰囲気だったのだが、今考えると神様相手になんやかんやわりと好き放題喋ってた事実に私のSAN値が削れそうなので、思い出さない方向で。

ちなみに使用EP(コスト)はクロが肩代わりしてくれたので、私の消耗はなし。

一瞬ならともかく、〈神託〉繋ぎっぱなしはコスト高過ぎて私のレベルでは無理。


え?『クロ』が何者か?

全体的に白っぽい私が『シロ』。私のアバターの色違いで全体的に黒っぽいなら、『クロ』しかなかろう。

という経緯で、神名(なまえ)の未だ無い〔破壊神〕様をそう呼ぶ事にしました。

異論は受け付けない。

あと、様付けしたら〔破壊神〕様もといクロがめっちゃ悲しそうな顔したので、もうクロ相手には友達対応でいく事にしました。

会話一言目からあれだったので、今さらだしな!と、自棄になっ…吹っ切って、「クロ」と呼び捨てにしたら、凄い嬉しげに『何だ?シロ』と返された。

うっかり可愛いと思ってしまいました。

素直な美形の破壊力スゲー。天使か。あ、神様だった。

私、兄姉は居ても弟妹は居ないしな。

ちょっとだけ〔創世神〕様達(兄や姉)の気持ちが理解出来たかもしれん。


新しいクエストも始まったが、どうやらGoog○emap『アナザーワールド』観光名所の作成クエストっぽく、特に急ぎでもないらしい。のんびりやっていこう。


さて、これからどうするか。

インベントリの飲食物をがっつり消費したので買いに行こうかと思っていたのだが、さっき買い出しに行ってからまだ二時間経ってないので、今また買いに行くのはちょっと。

うん、では折角なのでクエスト報酬の称号や、取得アイテムなんかを確認してみようか。



称号:《世界の謎を解き明かす者》

眠れる〔破壊神〕の『夢』(神殿)へ辿り着き対話し、『因果応報の摂理』(カルマシステム)の真実を解き明かした者に贈られる称号。

効果:謎に遭遇しやすくなる



うん、これはロマンが捗るやつ。良き良き。



隠し称号:《〔破壊神〕の神子》

実体化した〔破壊神〕(当代魔王)に【名付け】を行い、彼の神に受け入れられた者に与えられる称号。

なお、【名付け】を行えるのは、〔破壊神〕の洗礼を受け《〔破壊神〕の巫師/巫女》となった者の中で、最も彼の神の寵愛深き者のみ。

終わり無き『夢』の中で絶えず【業】(悪意)に曝される彼の神の心を慰撫し、狂気を祓う事で世界の終焉を遠ざける重要な役割を負うかわり、〔破壊神〕の権能を一部行使する事が出来る。

効果:【神子スキル】の発現、[〔破壊神〕の寵愛]付加

※彼の神の情報を持たない者には、鑑定に成功しても〔破壊神〕という言葉自体が認識出来ない。



ファッ?!

実体化〔破壊神〕(クロ)=《魔王》というのはまだいい。なんとなく『《勇者》と《魔王》』も『因果応報の摂理』(カルマシステム)に組み込まれてる気はしてた。

だが、何だ『狂気』って!不穏過ぎるわ!

クトゥルフ神話か?!私がSAN値減るとか考えたから?

ていうか神様が発狂するの?!

大惨事の予感しかしない!


取得したばかりの【神子スキル】〈審神〉を使用してさっき別れたばかりのクロに連絡。



シロ送信『クロ、さっきの今ですまん、質問というか確認だが、称号《〔破壊神〕の神子》の説明に、クロの狂気を祓う的な役割がある、とあるのだが、メンタルヘルスとSAN値大丈夫か?』


クロ返信『心配掛けてすまぬ、説明を失念していた。

【原罪】(シン)とは、云わば純然たる悪意の結晶、()とて()()()()れば精神的な疲労が溜まり、多量ともなれば我自身でも実体化した身体(魔王)の制御が利かぬ程疲弊する事も珍しい事ではない。その状態を『狂気』と表現しておるのだろうが、今は全く問題ない。

我を気に掛けて貰えるなら、そなたがたまに我が『夢』(神殿)へ話でもしに立ち寄ってくれれば十分だ。

ところで、メンタルヘルスはわかるが“SAN値”とは何だ?』



興味津々なクロに軽くSAN値(正気度)の説明をしつつ、本当に今は問題がなさそうだ、と私は胸を撫で下ろす。

思い返してみれば、黒い靄(シン)はだだっ広い黒い大聖堂の中心付近にわだかまっていただけ、それもクロの実体を形作って消えた?様なので、あまり溜まってなかったっぽいな。うん、なにより。

何にせよ旅先でクロの神域を見つけたら、必ず立ち寄って気晴らしに付き合おうと心に決める私。


そしてこの〈審神〉スキル、例えるなら電話的な〈神託〉と違って、個別チャットというか、SNSとかLINE的な感じ、互いにメッセージを送り合う仕様。〔破壊神〕(クロ)が寝てても届く様にかな?

そして神域でなければ使用不能な〈神託〉と違って、マナの流れ(レイ・ライン)の近くならば神域外でも通信可能。

うっかり勇者と戦闘中(来客対応中)に遊びに行ったら気まず過ぎるので、事前にクロに予定を確認できるのは嬉しい。

一安心したところで、次はアイテムの確認。



アイテム名:恩寵の神子衣

種別:装備品/上衣(肩、胸、腕)・束帯(腰)・下衣(腰、脚)

レア度:伝説級(レジェンダリー)

効果:全属性耐性、環境耐性、EP増加(小)、自動修復、装備者限定:《〔破壊神〕の神子》、成長

マナを紡いだ神絹でできた《〔破壊神〕の神子》専用の神子衣。羽の様に軽く、装備者の動きを阻害しない。耐久が減って(傷付いて)も、装備を外していればゆっくりと自動修復する。装備者と共に成長する。


アイテム名:恩寵の羽衣

種別:装備品/表着(背)

レア度:伝説級(レジェンダリー)

効果:環境効果緩和、全属性効果緩和、自動修復、装備者限定:《〔破壊神〕の神子》、成長

マナを紡いだ神絹でできた《〔破壊神〕の神子》専用の表着。透ける薄さの衣は重さを感じさせず、装備者の動きを阻害しない。耐久が減って(傷付いて)も、装備を外していればゆっくりと自動修復する。装備者と共に成長する。


アイテム名:恩寵の沓

種別:装備品/足

レア度:伝説級(レジェンダリー)

効果:地形効果無効、自動洗浄、自動修復、装備者限定:《〔破壊神〕の神子》、成長

マナを紡いだ神絹、神革でできた《〔破壊神〕の神子》専用の足袋と沓。見た目以上に軽く、装備者の動きを阻害しない。自動洗浄効果により、装備中常に清浄が保たれる。耐久が減って(傷付いて)も、装備を外していればゆっくりと自動修復する。装備者と共に成長する。


アイテム名:死返玉(まかるがえしのたま)

種別:装備品/アクセサリ:首飾り

レア度:伝説級(レジェンダリー)

効果:魔力蓄積、魔法相殺、装備者限定:巫子系職・称号保持者

白水晶から黒曜へ、またその逆へとゆらゆらと色を変える大振りな勾玉をマナを紡いだ神絹で編み込んだ首飾り。

魔力を込める事により、装備者へ放たれた魔法を相殺できる。



装備一式揃ったな。

アクセサリはまだ耳・腕・指・腰・足に着けられるが、あんまりじゃらじゃら装飾品を着けるのは好きではないし首飾り(これ)一つで十分。

しかし、装備中の仮面含め手持ちのアイテムに最上級レア(ミソロジー)やら測定不能(神器)(その上)やらがごろごろあるせいで感覚が麻痺しかかっているが、レア度上から2番目(レジェンダリー)の、しかも成長する装備って物凄く胸熱…じゃない、破格ですよね!

間違ってもゲーム開始翌日に手に入るものじゃないと思われる。

薄々気付いてはいたが、私、明らかに優遇され過ぎでは?

これが噂に聞くチート…いや、別に私自身がチートツール?的なものを使っているわけではないし、多分大半は称号《世界の恩人》のせいで『アナザーワールド』(この世界)そのものに優遇されているっぽいから…公式チート?

…………。

まあいいか、戦いが難しい『シロ』()の性能的に他の来訪者との競合は起こり難いだろうし、私自身RPG的冒険をする気もないので、接点もあまりないだろう。

うん、気にしたら負けな気がするので、今後ともスルー決定。


さて、せっかくいただいたのだし、私には『幸運猫の仮面』(装備品鑑定阻害)がある。街の外(危険地帯)に行くのに初期装備では不安があるので、さっそく装備してみるか。


無駄に余っている、多分趣味スキル取得にしか使わないと思われるスキルポイントを消費して、〈装備変え(早着替え)〉スキルを取得。

勿体無い?いいや、必要経費です。

この装備、ちょっと和服っぽいんですよ!ピッシリ着れば格好良いけど、着崩れると台無しな匂いがする。

着付けは出来なくはないが、和装なんてもう何年もしていないし、なにより面倒くさい。

そんな訳で、さっそくスキル〈装備変え(早着替え)〉使用。


恩寵神子装備は巫女装束と神主装束を足して司祭服で割った様な、スタイリッシュな和洋折衷、色合いは白七割、黒三割程。軽くて着心地抜群、環境効果緩和が付いているせいか、装備前より日差しも穏やかになった様な気がする。気のせいかもしれんが。

足元は沓と言いつつ見た目草履っぽい。が、足袋と一体化している様で踵が浮かない。うん、歩きやすいな。

死返玉(まかるがえしのたま)は、透き通った白から黒、また白へと絶えず濃淡の移り変わる大振りな勾玉を中心に、グレーの組紐でレースの様に編まれた首飾りというより胸飾りと云いたくなる一品。

大変繊細かつ神秘的で美しいのだが、思わせ振りな隙間がかなりあって何か着けられそう。

アイテム名が“死返玉(まかるがえしのたま)”だし、十種の神宝(とくさのかんだから)でも集めて着けるのかな?


レア度伝説級(レジェンダリー)だけあって、たくさんの装備効果に加えて防御力等も非常に高く、重さなんかのデメリットもない物凄く優秀な装備です。

よし、これで安心して街の外(おそと)に行ける。見た目的に旅の神官というより神主?司祭?になったが、気にしない。

西洋風な町並みに一人だけなんちゃって和装だが、銀の長髪猫仮面な時点で浮きまくっている自覚があるので、今更だと開き直る私。


日の高さから見て時刻はまだ昼過ぎ。

装備も充実したし、神殿併設診療所で薬草採取依頼を受けて、街の外に出てみよう。

「マフ、おいで。移動するぞ」

私は、目の高さまで右手を挙げて、ついさっきクロから貰った私の従者その2、『マフ』と名付けた『神使』を呼ぶ。

私の声に、大樹の枝の上から機敏に空を蹴って駆け降りて来たのは、少し銀色がかった白い毛並み、ふさふさな長い尻尾を持つ毛玉。比喩でなく。

あれか、この世界の神の遣いは毛玉と決まってでもいるのか。可愛いから文句は一切ないが。

マフの真ん丸い本体のサイズはモフと同じ位、つまり手のひらサイズだが、モフに付いている羽根はなく、代わりにあるのは本体の三倍以上長い尻尾。

そして、流石は中空を足場に(そら)を駆ける〈天駆〉スキル持ち、モフよりがっしりした四肢がふわふわの毛並みからにょっきり突き出ており、足裏にはピンク色の小さな肉球が。

スト、と私の掌に着地した尻尾付き白銀毛玉は、長い尻尾を器用に私の指に巻き付けて先端を小さく揺らしながら、じっと私をうかがっている。なお、重みはほとんど感じない。


まふまふ。

あるじ、どこいく?なでる?


ああもう、可愛いな!

モフはいつも楽しそうに私にくっついてくるが、マフはひっそり側にいる、そして目で語るタイプ、だが私に撫でられるのは好きな様でうっかり思念にそれが漏れたりする。

お望み通り本体も尻尾ももれなくもふり倒して差し上げる事に。


…約五分後。

私の手の中にはくったりしたマフの姿が!

まずい手加減なしでもふり倒してしまった、大丈夫かこれ。うん、駄目そうですね!

幸せそうに脱力しているマフをそっと懐のモフの隣に納めて、久々のやらかしをなかった事にする私。

これが散歩中の近所の犬猫鳥兎を骨抜きにし、『マジで迷惑だからやめろ』と兄に真顔で釘を刺され封印されし我がゴッドハンドの力…!


そんな訳で、さくっとテーブルセットを片付けて診療所へ移動。

残念ながらはぐれさん(知り合い)は不在、昼休憩かな?

基本の薬草は常時買い取りの為、特に依頼を受ける必要もないらしく、10本単位で診療所の買い取り窓口(ここ)に持って来れば買い取ってくれるとの事。

親切に教えて下さった買い取り窓口担当の神官さんにお礼を述べて、神殿前から出ている乗り合い馬車で東西南北にある大門の一つ、西門へ。

何だか注目を集めている気もするが、気にせずさくっと移動、門番をしている衛兵さんに非武装の神職がソロで魔物が出るマップ(バトルフィールド)に出る事を心配されつつ初めてのお外へ足を踏み出す私。


記念すべき初外出時の私のステータスは以下の通り。

…能動的にはほとんどなにもしていないのだが、レベルがめっちゃ上がっている事にびっくりして、二度見どころか五度見くらいしたのはいい思い出。



名前:シロ(=アルカンシエル) 種族:ヒューマン(猫妖精(ケット・シー)) レベル:16

メイン職:神官(〔創世神の使徒〕) サブ職:旅人

HP:65/65 MP:113/113 EP:98/124

腕力:3 体力:10 敏捷:18

器用:21 知力:35 精神:26 幸運:62(562)

【従者】モフ(御使い/大天使(アークエンジェル))/マフ(神使/精霊神獣)

【称号】(《世界の恩人》《神々の祝福》《虹の旅人》《〔破壊神〕の神子》)《慈悲の化身》《世界の謎を解き明かす者》

(【種族スキル】〈猫の体捌き〉[常時擬態:ヒューマン][幸運を告げる猫(フォーチュンテラー)][猫妖精の耳(サイレントウィスパー)])

(【使徒スキル】〈神託:創世神〉〈神眼〉〈神聖魔法:レベル 2〉)

(【神子スキル】〈審神:〔破壊神〕〉〈破壊権限〉〈天罰代行〉)

【称号スキル】([世界の守護][〔破壊神〕の加護]〈降臨〉)[経験値取得増加]

【職業スキル】魔法系〈回復魔法:レベル 1〉〈聖属性魔法:レベル 1〉 特殊系[収納上手:レベル 2]

【スキル】補助系[魔力消費軽減:レベル 3]技能系〈歌唱:レベル 3〉〈楽器演奏:レベル 1〉〈呪歌:レベル 4〉 魔法系(〈妖精魔法:レベル 1〉)〈生活魔法:レベル 2〉 (特殊系〈全力全開(オーバーブースト)〉)

※[]内スキルは自動発動(パッシブ)スキル、〈〉内スキルは任意発動(アクティブ)スキル、()内は秘匿情報


従者二人の名前の由来?

手触りしっとりさらさらでもふもふ毛質のモフ、ふわっとやわらかなまふまふ毛質のマフ。体を表す名をつけてみた。

安直?いやいや、分かりやすく親しみやすいのは良いことだろう。

そして、種族だが。

マフをもらった際にクロが精霊神獣だと言っていた。

正確には『我が神域に迷い込んだ瀕死の精霊獣を拾ったら、我の神使(眷属)『精霊神獣』になった』と。

あれもしかして『神使』とか『御使い』って種族じゃなく職業?

マフは〔破壊神〕(クロ)の神使で種族:精霊神獣、じゃあモフは?と神眼()を凝らしてみたら、『御使い』の後に『/大天使(アークエンジェル)』が追加されました。

…………。

まあね!モフの愛らしさは大天使級だから!と無理矢理納得して思考を止める私。

スルー案件がまた増えた…。


それにしても私のステータス、秘匿情報が多すぎる!

種族系と《世界の恩人》系、使徒・神子系の称号、スキルを秘匿・偽装したら、半分も残らんかった。

あと、相変わらずバグっている幸運さん(注:バグではない)。

そしてさりげなく追加されてる称号《虹の旅人》、取得アナウンスすらなかったのだが、いつの間にかしれっと称号欄に。当然秘匿しますよ!

主人公、漸く街の外へ。

そして従者と云う名の毛玉追加。

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