オーダー7:サッカーの天才サル美ちゃん
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今日のカフェチャーミーキャットは臨時休業。
近くの広場で、しばけんくんが所属している鈴夏高校サッカー部による練習試合が行われるので、こねこちゃん、春人、シズカ、アカネ、水彦の5人はその練習試合を観戦しに行くのです。
でも試合当日、アカネが寝坊してしまい、遅れた5人は荒い息をしながら慌てて広場に向かいました。
こねこちゃん「どうしよう!試合が終わっちゃうよ〜!」
アカネ「悪かったって!」
走りながら困っているこねこちゃんに謝るアカネ。
するとシズカは、こねこちゃんにこう言いました。
シズカ「大丈夫だよ、こねこちゃん!試合は30分1本だけど、このまま行けばまだ間に合うよ!」
シズカの言うことに安心するこねこちゃん。
春人「そういえば相手はたしか、霧山高校だったよね?」
水彦「えぇ、去年も全国ベスト8入りしているので、うちのサッカー部にとってかなり厳しい戦いになりそうですよ。」
などと会話しているうちに、こねこちゃん達5人は広場に到着しました。試合はまだ途中だったので、間に合って安心していました。5人がふと得点表を見てみると…
アカネ、水彦「にっ!?」
こねこちゃん、春人、シズカ「20対0!?」
こねこちゃん達は得点表を見て驚きました。
なんと20対0で鈴夏高校がボロ負けならぬ、ボロ勝ち
していたのです。
サル美ちゃん「ヒャッホーイ!」
しかも、しばけんくん達鈴夏高校チームには元気いっぱいにプレイしているサルの女の子がいました。
水彦「あの子は確か、1年C組のサル美ちゃん!」
彼女の名前はサル美ちゃん。
女子ながら、しばけんくんと同じくサッカー部に所属する1年生の女の子。チャラい感じに似合わず、頭脳明晰スポーツ万能、さらにサッカーもめちゃくちゃ上手なのです。
サル美ちゃん「デイデイデイデイデ〜イ!」
サル美ちゃんは両手を拳にし、両腕を飛行機の翼のように広げ、不敵な笑みを浮かべながらボールをドリブルし、霧山高校のサッカー部部員達をどんどんかわしていきました。
サル美ちゃん「必殺!如意棒シュート!!」
水彦「ロングシュート!?」
サル美ちゃんは遠距離から強力なシュートを決め、残りの敵部員達を吹き飛ばし、さらにゴールキーパーの手からも免れ、見事ゴールを決めました。
サル美ちゃん「いつか決めるぜ、如意棒シュート!ってか☆」
その後もサル美ちゃんのスーパープレイはどんどん炸裂し、結果40対0で鈴夏高校の圧勝で試合は終了しました。ですがサル美ちゃん1人の活躍のせいで、しばけんくんや他の味方部員達はほとんど活躍できていませんでした。
サル美ちゃん「いや〜良い汗かいたっス!最高ス!」
すると勝ったことに喜ぶサル美ちゃんに対し、しばけんくんはこう言いました。
しばけんくん「ちょっとサル美ちゃん!サッカーっていうは、みんなで力を合わせてやるスポーツなんだよ!1人だけで突っ走っちゃダメだって!」
サル美ちゃん「みんながあたしに着いてこれないのがいけないんス!それにあたしのお陰で勝てたんだから良いじゃないっスか。」
自分1人の力で勝ったことを自慢するサル美ちゃん。
それでもしばけんは、一生懸命説得しようとしました。
しばけんくん「確かに君はすごいよ。あの霧山高校すら手も足も出なかったんだから。でもやっぱりみんなで助け合いながらプレイする方が大切だし、もっと楽しいと思うんだ!どうか分かってくれ!」
するとサル美ちゃんは、こんな提案をしてきました。
サル美ちゃん「そこまで言うならこんな勝負をするのはどいスか?あたしとしばけんくん達でサッカー勝負をするんス!」
サル美ちゃんのさらなる説明によれば、サル美ちゃん1人としばけんくん達に5人によるサッカーゲームを行い、サル美ちゃんはゴール5本に対し、しばけんくん達はゴール1本決めれば勝ちとなる方式です。
アカネ「いやいや、ハンデがあるとはいえ、さすがにきついだろ?」
シズカ「しばけんくん大丈夫かなぁ?」
近くでその内容を聞いていたこねこちゃん達は心配していました。するとしばけんくんは、こう答えました。
しばけんくん「分かった!その勝負、受けて立つ!」
サル美ちゃん「決まりっスね!そんじゃ1時間後にキックオフっス!」
それから数分後、サル美ちゃんの勝負の申し出を受けたしばけんくんは、少しだけ落ち込んでいました。
しばけんくん「とは言ったものの、あのサル美ちゃんに勝てるかどうか不安だなぁ…。いやいや!サル美ちゃんにもチームワークの大切さを分かってもらわなきゃ!」
そこへ、こねこちゃん達も現れました。
こねこちゃん「張り切ってるね、しばけんくん!」
しばけんくん「みんな!応援に来てくれてありがとう!
でもサル美ちゃん以外ほとんど活躍できてないけどね。」
アカネ「それにしちゃいつになく張り切ってるじゃん。」
しばけんくん「うん!同じサッカー好きとして、サル美ちゃんにもサッカーの本当の楽しみ方を知ってほしいんだ!それに桃太郎に猿かに合戦、スイミーに大きなかぶも、力を合わせることの大切さを教えてくれる童話だからね!」
するとこねこちゃんは、しばけんくんに水筒を渡しました。しばけんくんが飲んでみると、中には冷たくて甘いバナナミルクが入っていました。美味しい上に栄養もあるバナナミルクを飲み、しばけんくんの勇気はさらに湧き上がりました。
こねこちゃん「しばけんくん、がんばってね!」
しばけんくん「ありがとう!こねこちゃんに勇気付けられたのはこれで2回目だね!」
そして1時間後、ついにサル美ちゃんとのゲームの時間がやってきました。しばけんくんのチームには3年キャプテンの火野、2年生の水沢、風谷、土屋が加わっていました。
しばけんくん「すみません先輩達。僕の勝手な判断で。」
火野「気にするな。それにもっと体を動かしたかったところだったんだ。」
土屋「オレらの力で、サル美ちゃんをぎゃふんと言わせてやろうぜ、しばけん!」
しばけんくん「はい!それじゃあ先輩方、チームワークの力、お借りします!」
しばけんくんのかっこいいセリフが広場に鳴り響き、ホイッスルのピーという音と共に、しばけんくん達5人とサル美ちゃんによるゲームが開始されました。
ボールをパスし合い、ゴールに向かうしばけんくんチーム。
サル美ちゃん「そうはさせないっスよ!」
でもサル美ちゃんにあっという間にボールを取られてしまい、必殺の如意棒シュートでゴールを決められてしまいました。さらに2ゴール、3ゴールとサル美ちゃんに決められてしまい、しばけんくん達は追い詰められてしまいました。ですが4ゴール目の時…
サル美ちゃん「如意棒…うっ!…シュート!!」
シュートをする直前、サル美ちゃんの蹴る右足に痛みが走ったものの、見事に4ゴール目を決めました。
サル美ちゃん「いたた…。さすがに今日は如意棒シュートに頼りすぎちゃったみたいっスね。でも後1ゴール、なんとか乗り切ってみせるっス…!」
どうやらしばけんくんと火野は、サル美ちゃんの足の痛みに気付いたようです。
そして最後のゲームが開始されました。
サル美ちゃん「これで決めるっス、マジで!」
サル美ちゃんはまたも如意棒シュートで5ゴールを決めようとしていました。ところが足に再び痛みが走りました。
しばけんくん「今だ!」
サル美ちゃん「しまったっス!」
しばけんくんは一瞬の隙をついて、サル美ちゃんからボールを取りました。しばけんくんは他の火野と共にパスし合いながらゴールへ向かいました。
火野「しばけん、最後はお前が決めろ!」
しばけんくん「はい!行っけ〜!!」
しばけんくんがシュートを決めたことにより、サル美ちゃんが5ゴールする前に1ゴールしたしばけんくん達。
よってこのゲーム、しばけんくん達の勝利です。
しばけんくん達だけでなく、観戦していたこねこちゃん達も大喜び。
一方、ゲームに負けたサル美ちゃんは、ショックのあまり、独特でマイナスな言葉を連呼していました。
サル美ちゃん「負けたんっス…。」
訳:負けた
サル美ちゃん「くやピヨっス…。」
訳:悔しい
サル美ちゃん「ゲムオバっス…。」
訳:ゲームオーバー
サル美ちゃん「マジ激悲シクシク丸っス…。」
訳:マジでめっちゃ悲しい
するとしばけんくんが、落ち込むサル美ちゃんに近づき、優しくこう言いました。
しばけんくん「これで分かったでしょ?チームワークの大切さを。君は確かに強い。でも僕らと力を合わせればもっと強くなれるよ!これからは一緒にがんばろっ!」
サル美ちゃん「しばけんくん…。そうっスね!これからはあたしも協力するっス!」
小さなゲームを通じ、サル美ちゃんは改心し、しばけんくん達とも仲直りしました。
こねこちゃん「良かった!それにしばけんくん、カッコ良かったですね!」
シズカ「そうだね!」
サル美ちゃん「いやーにしてもあたしからゴールを奪うなんて、しばけんくんと火野パイセンさすがっス!マジ尊敬っス!」
サル美ちゃんは、自分からゴールを奪ったしばけんくんと火野を褒め称えました。
土屋「これからもよろしくな、サル美ちゃん!」
するとそこへ土屋達他の先輩達も改めてサル美ちゃんと仲良くなろうとしました。ところが…
サル美ちゃん「いやいや、土屋パイセン達は大して目立った活躍してないじゃないっスか。馴れ馴れしくしないでくれません?」
しばけんくん「そこは先輩達も慕おうよ〜!」
しばけんくんと火野に比べ、目立った活躍はしてない他の先輩3人には冷たい態度を取るサル美ちゃん。
サル美ちゃんがチームワークの大切さを完全に理解するのは、もう少し先になりそうです。
次回は夏休み特別企画!
こねこちゃん達が鈴夏高校に潜む妖怪達に挑みます!