オーダー6:アイガモファミリーと大きなトウモロコシ
こねこちゃんとシズカは、ケーキの材料の買い出しの帰りの最中、近くの公園のベンチに座って休憩していました。シズカは右肩にかかっている黒髪を猫じゃらしのように使い、こねこちゃんを癒し喜ばせていました。
こねこちゃん「サラサラ〜のチクチク〜♪」
今日もシズカの黒く煌めく髪を触り、満面の笑みになっているこねこちゃん。一方のシズカもそんなこねこちゃんの笑顔を眺め、自分も笑顔になっていました。
シズカ「こねこちゃん可愛い♪」
するとそこへ水彦が買い物のレジ袋を持ちながらやってきました。
水彦「あ、やっぱりシズカちゃんとこねこちゃんだ!」
シズカ「水彦くん!」
こねこちゃん「水彦くんも買い物してたの?」
ちなみに水彦のレジ袋の中には詰め替え用のシャンプーとボディーソープが入っており、少なくなったお風呂用品を補充しに行ってたと水彦は2人に説明しました。
そんな時、黄色い毛並みに、黒いくちばしをした鳥の男の子がやってきました。
アイガモくん「君達は確か、B組のシズカちゃんと水彦くん!ちょうど良かったもん!」
水彦「そういう君はC組のアイガモくんじゃないか。」
この子は鈴夏高校1年C組の生徒であるアイガモくんです。彼は6人兄弟の長男であり、彼の家は野菜農家なのです。ヒヨコのように可愛らしい見た目で、語尾に「もん」、あるいは「だもん」と付けます。
シズカ「どうしたの、アイガモくん?」
アイガモくん「実は君達に力を貸してほしいんだもん!」
アイガモくんは、こねこちゃん達3人に事情を話しました。アイガモくんの家の畑になんと直径5メートルの大きなトウモロコシが生えているイネが生えてきたのです。そのイネから大きなトウモロコシを取ることは難しく、パパさんとママさんの2人を含めたアイガモくん一家全員で引っ張っても取れなかったのです。
そこでアイガモくん6兄弟は、それぞれ手分けして、トウモロコシを引き抜くための助っ人を探しに行ったのです。
アイガモくん「というわけなんだもん。」
こねこちゃん「まるで大きなかぶみたいだね。」
水彦「いや、恐らく大きなかぶより取るのは困難かもな。」
シズカ「でもこのままなのも可哀想だよ!私達も手伝ってあげよ!」
こねこちゃん「賛成!」
水彦「そうだね!それに僕も同じ長男坊として、協力するよ!」
アイガモくん「みんな、ありがとうだもん!」
シズカ「あれ?ていうか水彦くん、兄弟がいるの?」
水彦「うん、弟と妹の3人兄妹!」
そんなこんなで、アイガモくんの頼みを引き受けたこねこちゃん達3人。でもその前に、こねこちゃんとシズカはカフェチャーミーキャットに、水彦は自分の家に戻り、買ってきたものを置き、再びアイガモくんと合流し、彼の家に向かいました。さらにこねこちゃん達は、助っ人として、
アカネを呼んできました。
アイガモくん「ここが僕の庭の野菜農家だもん!」
こねこちゃん「うわー、広ーい!」
シズカ「それに野菜がいっぱい!」
アイガモくんの庭にはジャガイモやニンジンなど、色んな野菜がわんさか育ていました。しかもハムスターさんが営んでいるグリルひまわりの料理にも、ここの野菜が使われているのです。
カモザエモン、カモヨ「みなさんようこそ!」
そこへアイガモくんのパパのカモザエモン、ママのカモヨがやってきました。茶色いくちばしのアイガモくんと違い、カモザエモンのくちばしは黒く、カモヨのくちばしはピンク色でした。
アイガモくん「紹介するもん。パパのカモザエモン、ママのカモヨだもん。」
シズカ「くちばしの色が違うんだ。
アカネ「てかパパさんの名前の時代劇感ハンパない。」
カモザエモン「いや〜まさか息子のお友達が来てくれるとはこちらも嬉しいですー。」
カモヨ「これからもアイガモくんと仲良くしてやってください。」
息子のアイガモくんは語尾に「だもん」などと付けながら会話するにも関わらず、両親は丁寧な口調で会話していました。紹介を済ませ、アイガモくん親子は例のトウモロコシをこねこちゃんに見せました。
実際見てみて、こねこちゃん達は改めて驚きました。
アカネ、水彦「マジでデカっ!」
こねこちゃん、シズカ「すごーい!」
アカネ「そんじゃ試しにあたしが抜いてやるよ!」
力に自信があるアカネは、1人でトウモロコシを引き抜こうとしました。
アカネ「うんとこしょ!どっこいしょ!」
と、掛け声を叫びながら引っ張るアカネ。
それでもトウモロコシは抜けませんでした。
今度はこねこちゃん達とアイガモくん親子の7人でトウモロコシを引っ張ってみました。
まずアイガモくんがトウモロコシを引っ張り、
カモザエモンがアイガモくんを引っ張り、
カモヨがカモザエモンを引っ張り、
アカネがカモヨを引っ張り、
こねこちゃんがアカネを引っ張り、
シズカがこねこちゃんを引っ張り、
水彦がこねこちゃんを引っ張りました。
アイガモくん「うんとこしょ!」
カモザエモン、カモヨ「どっこいしょ!」
アカネ「うんとこしょ!」
こねこちゃん、シズカ、水彦「どっこいしょ!」
と、みんなは掛け声を叫びながら引っ張りました。
それでもトウモロコシは取れませんでした。
水彦「ダメだ取れない。」
アカネ「アイガモの家族全員でも無理だったわけだ。」
アイガモくん「でもまだまだイケるもん!」
カモザエモン「それにこれだけ大きけりゃ引き抜きがいがありますー!」
しかしアイガモくん親子はあきらめず、まだやる気満々でした。
アイガモくんの弟達「アイガモ兄ちゃ〜ん!」
そこへアイガモくんの弟達がよちよちと歩きながら帰ってきました。
こねこちゃん「小ちゃいアイガモくんがいっぱい来た!」
アイガモくんは帰ってきた弟達を紹介しました。
赤いくちばしの子が二男のカモジロー、
青いくちばしの子が三男のカモサブロー、
緑色のくちばしの子が四男のカモシロー
オレンジ色のくちばしの子が五男のカモゴロー、
そしてなんと六男は白鳥であり、名前はオスカルというのです。しかも身長が家族の中で一番大きいです。
アカネ「オスカル!?」
水彦「末っ子まさかの白鳥!?」
カモジロー「兄ちゃん、助っ人連れてきたよ!」
アイガモくん「おぉ!待ってたもん!」
アイガモくんの弟達はトウモロコシを抜くための助っ人達を連れて帰ってきたのです。
二男のカモジローはナルシストなイケメン男子高生を連れてきました。
ナルシストな男子「イケメンであるこのオレが手伝ってやろう!ありがたく思え!」
アカネ「自分でイケメン言うのかよ!てか偉そうだなぁ!」
アカネはいちいち助っ人に関するツッコみました。
三男のカモサブローはワガママな小学生男子を連れてきました。
ワガママな男子「野菜抜くとかめんどくさいよ〜!」
アカネ「じゃあなんでここにいるし!?」
四男のカモシローは御年90歳のヨボヨボなおじいさんを連れてきました。
90歳のおじいさん「こんなトウモロコシ、死んだばあさんに見せたかった。」
アカネ「無理させんなって!」
五男のカモゴローは両腕だけ鍛えている筋肉ムキムキなお兄さんを連れてきました。
マッスルなお兄さん「マッソォー!」
アカネ「腕すごっ!カモゴロー、ナイス!」
マッスルなお兄さんは今回の作業に最適だと思い、ツッコまず、逆にカモゴローを褒めるアカネ。
そして六男のオスカルはなんと、マユ子を連れてきました。
マユ子「私も手伝いに来ました。」
水彦「レッツ、ヘブゥゥゥゥゥンズ!!」
まさかのマユ子も来てくれたことに、水彦は大喜び。
ちなみに今日のマユ子は声優の仕事が早く終わったため、オスカルの頼みを引き受けることができたのです。
こねこちゃん達4人とアイガモくんファミリー、さらにマユ子を含めた助っ人達は力を合わせ、トウモロコシを引っ張りました。
一同「うんとこしょ!!どっこいしょ!!」
こねこちゃん「どうしよう、まだ抜けないよ!」
アイガモくん「それでも、取りたいトウモロコシがあるんだもん!!」
水彦「うおぉぉぉぉ!!無敵の友情パワー、全開だぁぁぁぁぁ!!」
マユ子「デェェェス!!」
そしてついに、みんなの団結力とアイガモくん、水彦、マユ子の魂の込めた叫びにより、大きなトウモロコシをイネから引き抜くことに成功したのです。
シズカ「やったあ!取れたよ!」
こねこちゃん「バンザーイ!」
ついに大きなトウモロコシを取ることができ、
みんな大喜び。
水彦「マユたん、手伝ってくれてありがとね!」
マユ子「いえ、私も水彦くんと一緒に何かを達成できて良かったです!」
水彦とマユ子も笑顔でこの喜びを分かち合っていました。
シズカ「あの2人、ホント仲良くなったよね。」
アカネ「あのまま結婚しちまえばいいのにな。」
などと言っている内に数日が経ったある日、
グリルひまわりで、アイガモくんの畑で取れた大きなトウモロコシを使った特製コーンスープが発売されたのです。しかもそのトウモロコシはふつうのトウモロコシよりも甘みがある上、栄養もたっぷりあり、特製コーンスープはチキンラタトゥイユに並ぶ人気メニューになりました。その美味しさに、こねこちゃん達も満足しましたとさ。
今回は童話・大きなかぶをベースにしてみました!
次回は、4話で登場したしばけんくんによるまさかメイン回です!後、ユーザー登録なしでもコメントを書き込めるようにしました。