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オーダー4:こねこちゃんの1日教師体験

日曜日のお昼、鈴夏高校の女性教師にしてシズカ達1年B組の担任である上杉先生、さらにうずまき模様のメガネをかけ、語尾に「ですぞ」と付けるアヒル校長が来店してきました。


アヒル校長「ここが噂に名高いカフェチャーミーキャット!中々良いお店ですぞ〜!」


シズカ「上杉先生に校長先生、い、いらっしゃいませ!」


2人の先生の来店にシズカは、少し緊張しながら挨拶しました。そこへ春人もやってきて、彼も2人に挨拶しました。


春人「お久しぶりです。上杉先生。校長先生。」


春人もかつて鈴夏高校の生徒だったので、2人に会うのは久しぶりでした。


上杉先生「元気そうね、月風くん。とりあえずアップルパイをいただこうかしら。」


アヒル校長「私はこのパイのアイスクリーム添えをお願いするですぞ!」


アヒル校長達はメニューを見て、それぞれのパイを1種類ずつ注文しました。


春人「かしこまりました!こねこちゃーん!アップルパイとパイのアイス添え、お願いね〜!」


こねこちゃん「ウィームシュ!」


キッチンからピョコっと顔を出し、元気良く返事をするこねこちゃん。こねこちゃんは、さっそくオーダーのアップルパイとパイのアイスクリーム添えを用意し、アヒル校長達に差し出しました。

アップルパイを食べる上杉先生。サクサクのパイ生地にトロトロのリンゴがベストマッチし、上杉先生も1口だけで幸せな気分になりました。

一方、パイのアイスクリーム添えを食べているアヒル校長は…


アヒル校長「あびょ〜〜〜〜ん!!」


なんて突然、翼を広げ、「あびょ〜〜〜〜ん!!」と叫ぶアヒル校長。アヒル校長はビックリする時、このよう叫んでしまうくせがあるのです。どうやら、こねこちゃんの作ったパイがそれほど美味しかったそうです。

さらにアヒル校長は、こねこちゃんが作ったパイを褒め称えました。


アヒル校長「香ばしくサクサクのパイに甘くてとろけるバニラアイスも加わり、まさにパラダイス!今回の件、やはりこねこちゃんが適任ですぞ!」


こねこちゃん「てきにん?」


シズカ「どういうことですか?」


アヒル校長達が何故カフェチャーミーキャットに来たのか?その理由をこねこちゃん達に話しました。実は昨日、家庭科の先生が病院に入院してしまい、3日間安静にしなければいけなくなったのです。そこで、カフェチャーミーキャットで働くこねこちゃんに家庭科の先生代理を頼み、代理をできるか見極めるために彼女が作ったスイーツを食べに来たのです。


こねこちゃん「私が先生!?面白そうだけど、上手にできるかなぁ?」


アヒル校長に教師代理をしてくれるか頼まれたこねこちゃん。でもこねこちゃんは、楽しみしている半面、上手にできるかどうか不安になっていました。

そんなこねこちゃんを春人とシズカは、勇気付けました。


シズカ「大丈夫だよこねこちゃん!きっとこねこちゃんなら上手に教えられるよ!」


春人「そうそう!まずはやってみることが大事さ!」


こねこちゃん「2人共ありがとう!やってみるよ!」


春人達の励ましにより、こねこちゃんは、自信に満ち溢れてました。その光景を見ていたアヒル校長は、感動のあまり、目から涙を滝のように流しながらこう言いました。


アヒル校長「可憐な店長を支えるかつての教え子と今の教え子…素晴らしい!素晴らしいですぞ〜!!」


そして次の日、

シズカ達のクラスである1年B組の家庭科の授業がついに始まりました。家庭科の教室にて、1年B組の生徒達の前で、こねこちゃんは、自己紹介しました。


こねこちゃん「みんなおはよ〜!今日だけ先生をやる、こねこちゃんだよ!よろしくね!」


自己紹介をすませ、こねこちゃんによるお菓子作りの授業が開始されました。今日作るのはパンケーキです。

こねこちゃんは、生徒達に作り方をレクチャーします。

まず、ボウルの中に卵、お砂糖、牛乳、小麦粉を入れ、泡立て器でかき混ぜます。次に油を引いたフライパンに混ぜた生地を入れ、中火で焼きます。ふつふつしてきたら、ひっくり返し、両面共キレイに焼けて出来上がりです。さらにこねこちゃんは、パンケーキの上に、イチゴとバニラアイスを乗せ、より美味しそうに仕上げました。その仕上がりにほとんどの生徒達が魅了されました。こねこちゃんのレクチャーも終わり、生徒達は、

さっそくパンケーキ作りに取り掛かりました。


シズカ「それじゃあ始めようか!」


アカネ「よっしゃ!コンティニューしないで!」


水彦「作るぜ、ケーキ!」


シズカ、アカネ、水彦の3人も気合満々で、パンケーキ作りを始めました。トッピング用の材料には、さっき使ったイチゴとバニラアイスの他に、チョコレートやバナナ、ナッツにあんこ、さらにパンケーキにはオーソドックスに合うメープルシロップとバターなどもあり、

こねこちゃんはその材料を使ったオリジナルパンケーキはもちろん、シンプルなパンケーキを作っても良いと生徒達にオススメしました。それから数分後、

シズカ達の班は、完成したパンケーキをこねこちゃんに見せました。バニラアイスを乗せたパンケーキに、

シロップとナッツをトッピングしたオリジナルパンケーキをこねこちゃんに見せました。

それを見たこねこちゃんは、こう言いました。


こねこちゃん「キレイだし美味しそう!すごいよシズカちゃん、みんな!」


シズカ「やったあ!」


次に別の班のリスの女の子・リスちゃんも、完成したオリジナルパンケーキをこねこちゃんに見せました。


リスちゃん「先生、見て見て〜!」


リスちゃんは、パンケーキの上に、あんことバターを乗せた小倉トースト風パンケーキを完成させたのです。


こねこちゃん「わぁ〜♪これも美味しそう!あ、そういえばさっき、私のこと先生って呼んだ?」


リスちゃん「うん!今はその呼び方の方がいいかなって!」


こねこちゃん「えへへ♪なんだか照れちゃうよ〜♪」


自分のことを先生と呼ばれ、こねこちゃんは、嬉しそうでした。すると今度は、犬の男の子・しばけんくんが、

がっかりした顔をしながら、焦げたパンケーキを持ってやって来ました。


しばけんくん「先生ごめん、ケーキ焦げちゃった。僕にはケーキ作りの才能がないのかなぁ?」


パンケーキを焼くのを失敗し、しばけんくんは、自分は才能がないと決め付け、落ち込んでいました。

そんなしばけんくんに、こねこちゃんは、こんなことを言いました。


こねこちゃん「確かにこれは美味しそうじゃないね。でも大丈夫!私も最初は失敗ばっかりだったけど、桜子ちゃんや春人くんが色々教えてくれたから美味しいケーキやコーヒーを作れるようになったんだよ!失敗しても何回でもやり直せば良いんだよ!自分を信じればきっと上手にできるよ!」


しばけんくん「ありがとう!自信が出たよ!」


過去の失敗談、そして失敗しても何度でもチャレンジするという意志を含めた、こねこちゃんの助言により、

しばけんくんは、自信を取り戻しました。


???「まったく、生ぬるいアドバイスね。」


するとどこからか、クールな感じの女の子の声が聞こえてきました。


アカネ「うわー、めんどうなヤツが来ちゃったよ…。」


その声に反応し、めんどくさそうな顔をするアカネ。

声の主は、滝林あきえという人間の女の子でした。

あきえは、クールで厳しい性格を持つ1年B組のクラス役員です。校則を守らないと厳しく接し、「1年B組鬼のクラス役員」という異名で、同級生だけでなく、

一部の先輩や先生達にも恐れられているのです。

ちなみにアカネと仲が悪く、いつもケンカばかり。

今もこねこちゃんを見下すような態度を取ったあきえに対し、アカネは文句を言いました。


アカネ「おい滝林!こねこちゃんがアドバイスしたのに変なこと言わないでくれる!ケーキ作りがつまんなくなるんだけど!」


あきえ「私はただ、甘やかすだけじゃダメってことを伝えたかっただけよ!土方さんみたいなろくに勉強もしない人の指図なんて聞きたくないわ!」


授業中にも関わらず、ケンカをし始めるアカネとあきえ。一方のこねこちゃんは、あきえのことをシズカに訪ねました。


こねこちゃん「ねぇねぇシズカちゃん、あの子誰?」


シズカ「クラス役員のあきえちゃんだよ。」


すると、こねこちゃんは、あきえの名前にピンっときました。


こねこちゃん「アカネちゃんとあきえちゃん…なんか呼び方似てるね!」


アカネとあきえの呼び方がなんとなく似てることに気づくこねこちゃん。するとアカネとあきえは…


アカネ「こんなヤツと一緒にしないで!あっ!」

あきえ「こんな人と一緒にしないで!あっ!」


なんと2人は同時に、息ピッタリに、こねこちゃんにツッコミました。仲が悪いにも関わらず、息ピッタリなアカネとあきえに驚くこねこちゃん。一方、息ピッタリに言ったアカネとあきえも驚いていました。そこへ、

シズカは笑顔でアカネとあきえは、本当は仲良しであることをこねこちゃんに教えてあげました。

それを聞き、否定しようとするアカネとあきえ。

するとまた…


アカネ、あきえ「だから仲良しじゃないって!ていうかマネしないでよ!」


仲良しであることを否定する時も、お互いにマネをしないよう注意する時も、アカネとあきえは、息ピッタリでした。するとあきえは、アカネとの言い争いを後回しにし、せきばらいをして本題に入りました。


あきえ「ゴホン!とにかくこねこさん、あなたの生ぬるい教え方が気に入らないのよ!私がより美味しいパンケーキを作ってあなたやみんなをあっと驚かせあげるわ!」


と、こねこちゃんに宣言するあきえ。実はあきえも、こねこちゃんと同じ、ケーキ作りが得意な女の子だったのです。これはシズカ達も始めて知ったことだそうです。


あきえ「1年B組クラス役員役員・滝林あきえの名の下に、実力をお見せしてあげるわ!」


決めセリフを言ったあきえは、さっそくパンケーキ作りを始めました。あきえは、こねこちゃんと同等、もしくはそれ以上の手際の良さで、スフレパンケーキをスマートに完成させました。次にあきえは、生クリームをかき混ぜ、勢いよくスフレパンケーキの上に乗せました。その形はまるでソフトクリームのようでした。最後にイチゴ、バナナ、キウイ、パイナップルを上空に投げ、さらに自身もジャンプし、目にも止まらぬ包丁さばきでフルーツを切り、キレイにスフレパンケーキの上に落ちていきました。


水彦「な、なんて華麗な包丁さばきなんだ!まるで猫耳くノ一・リリアちゃんみたいだ!」


あきえの包丁さばきを見た水彦は、自分の好きなアニメの主人公に例えながら驚きました。デコレーションも終わり、あきえ特製スフレパンケーキが完成しました。


あきえ「さぁ、食べてご覧なさい!」


こねこちゃんは、あきえが作ったスフレパンケーキを食べてみました。ふわふわのスフレパンケーキ、とろけるクリーム、さらにあらゆるフルーツの水々しさ、

この3つが1つに融合し、究極の美味しさを生み出したのです。


こねこちゃん「す…すごく美味しい…。」


あまりの美味しさに、こねこちゃんは、きょとんとしていました。


あきえ「どうかしら?私の自信作のお味は?どうやらあまりの美味しさに、あなた自身の未熟さを思い知ったに違いないわ!」


あきえは、自分の方が優れていることを証明するかのように、こねこちゃんを見下しました。ですがこねこちゃんは…


こねこちゃん「すごく美味しかったよ、あきえちゃん!あきえちゃんはすごいね!」


あきえ「えっ!?」


なんとこねこちゃんは、落ち込むどころか、大喜びし、あきえを褒めました。さらにこねこちゃんは、こんなことを言いました。


こねこちゃん「そうか!あきえちゃんは、こんなすごいパンケーキを教えてくれるために作ってくれたんだね!」


あきえ「べ、別にそんなんじゃ!」


こねこちゃんは、あきえが自分のためにパンケーキを作ったのだと勘違いしていました。そのことにあきえは、

戸惑っていました。さらにシズカや他の生徒達もこねこちゃんと同じく勘違いしているかのように、あきえをどんどん褒めました。


シズカ「すご〜い!やっぱりあきえちゃんは、優しい子だったんだね!」


水彦「それでこそ僕らのクラス役員だよ!」


あきえ「爪島さん達まで!?」


ほとんどの生徒におだてられ、あきえは、益々戸惑っていました。一方、廊下からこっそりその様子を見ていたアヒル校長と上杉先生。特にアヒル校長は、また目から涙を滝のように流し、感動していました。


アヒル校長「さすが滝林さん!代理教師に優しく接するとは…!滝林さんは本当は、優しい生徒であった!素晴らしいですぞ〜!!」


上杉先生「そうでしょうか?みんな勘違いしているような…。」


でも上杉先生は、こねこちゃん達が、あきえのことを勘違いしているのではと見抜いていました。

さらに上杉先生同様、アカネもそのことに気づいていました。アカネは心の中でこうつぶやきました。


アカネの心の声「なんかみんな勘違いしてるような…。でもあの滝林の焦った顔を見れてスカっとしたし、別にいっか♪」


アカネは、あきえへの不満が風のように吹き飛んだような気分になり、みんなには本当のことを言わないでおきました。そしてこねこちゃんは、さっきのスフレパンケーキの並外れたデコレーションのやり方を教えてほしいと、まるで幼稚園児の子供のように、あきえに頼んできました。


こねこちゃん「教えて教えて教えて〜!」


益々困っているあきえは、こう叫びました。


あきえ「もぉ〜!少し落ち着きさな〜〜〜い!!」


なんだかんだありましたが、こねこちゃんによる家庭科の授業は、無事に終了したのでした。





今回のお話では、アヒル校長やあきえちゃんなど、

個性豊かなキャラクター達をさらに参戦させました!

さて次回は、この作品オリジナルの声優キャラが参戦!

お楽しみに!

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[良い点] 絵本のような優しいお話に現実がミックスされたような不思議な世界でした。 [気になる点] シナリオの様な珍しい書き方(セリフの前に名前)で、わかりやすいけど私はなかなか読みなれなかったです。…
[良い点] はじめてご感想差し上げます! アヒル校長「あびょ〜〜〜〜ん!!」 ここでもう、すっごく笑いました!! ひとことでこんなに笑わせてくれるとは……!! ケーキ作りが上手で、けなげなこねこち…
[良い点] アカネとあきえは一見仲が悪そうに見えたけど、実は息ピッタリで、いいと思いました!
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