オーダー1:カフェチャーミーキャットにようこそ
ここは、人間と言葉を喋る動物達が共存する町・鈴夏町。その町には、カフェチャーミーキャットという喫茶店があり、なんとそこの店長は、白い毛並みに長くてモフモフなしっぽを持つ、こねこちゃんなのです。これは、そんなこねこちゃんと色んな人々や動物達が巻き起こす、笑いあり、ほのぼのあり、癒しあり、たまに感動ありの物語です。
桜の花びら舞い散る春のある日、
今年から鈴夏高校の1年生として入学した少女・爪島シズカはカフェチャーミーキャットの前に立っていました。
甘いものが大好きなシズカは、初めて来たカフェチャーミーキャットに興味津々でした。
シズカ「ここがカフェチャーミーキャットか〜。どんなスイーツがあるんだろう?楽しみだなぁ!」
シズカはワクワクしながらカフェの中に入りました。
シズカ「こんにちは〜。」
春人「いらっしゃいませ〜!」
こねこちゃん「カフェチャーミーキャットにようこそ!」
カフェの中には、こねこちゃんの他にも、青い髪の青年・月風春人も働いていました。すると春人はシズカの制服を見てこう訪ねました。
春人「君、もしかして鈴夏高校の生徒かい?」
シズカ「はい。ついこの間入学しました。」
春人「奇遇だね!僕もそこの生徒だったんだ!」
春人は嬉しそうに答えました。実は春人は鈴夏高校の卒業生だったのです。つまりシズカの先輩に当たります。 シズカは驚き、春人とすっかり意気投合しました。会話の最中、春人はこのカフェが自分の実家であることも教えました。それを聞いたシズカはこのカフェの店長が春人なのかと質問しました。
シズカ「じゃあこのカフェの店長って先輩なんですか?」
春人「よく言われるんだけど違うんだ。店長は居候であるこのこねこちゃんなんだ。」
こねこちゃん「私がここの店長のこねこちゃんだよ!」
このカフェの店長がこねこちゃんであることに、
シズカはさらに驚きました。ですが春人の話によれば、
フランスへスイーツ作りの修行へ行ったカフェの先代店長にして、春人のお姉さんである月風桜子にスイーツ作りの才能があると見込まれ、色んなスイーツやコーヒーの作り方を教わっているため、腕は確かなようです。
シズカ「そうなんだ!楽しみにしてるね、こねこちゃん!」
ますます楽しみになってきたシズカは、カウンター席に座り、さっそくイチゴのショートケーキとカフェオーレを注文しました。準備に取り掛かるこねこちゃん。こねこちゃんは作ったコーヒーに牛乳を入れ、冷蔵庫から事前に作っておいたショートケーキを取り出し、1人分の大きさに切りました。準備が終わり、こねこちゃんはショートケーキとカフェオーレをシズカに差し出しました。
こねこちゃん「はい、どうぞ♪」
シズカ「うわぁ、美味しそう!いただきま〜す!」
シズカはショートケーキを1口食べました。
イチゴの甘酸っぱさと生クリームのなめらかさが、ふわふわなスポンジケーキの美味しさをさらに引き立てたのです。1口食べただけで、シズカは幸せは気分となり、さらに2口、3口とショートケーキをすごく美味しそうに食べました。ケーキをある程度食べたところで、シズカは次にカフェオーレを飲みました。こねこちゃんが作ったコクのあるコーヒーに、まろやかな牛乳が絡み合い、絶妙なハーモニーを生み出し、シズカをさらに幸せな気分にしました。美味しいケーキとカフェオーレを完食したシズカは大満足。
シズカ「すごく美味しかったよ、こねこちゃん!」
こねこちゃん「やったぁ!」
春人「良かったね、こねこちゃん!」
シズカ達に褒められ、こねこちゃんも大喜び。
するとこねこちゃんは、シズカにこんなお願いをしました。
こねこちゃん「ねぇねぇ、髪触っていい?」
なんと、こねこちゃんは女の子の長い髪やポニーテールに触るのが大好きなのです。今もシズカの右肩にかかっている束ねた黒く煌めく髪に見とれていました。こねこちゃんの質問に、シズカは笑顔で答えました。
シズカ「うん、いいよ!」
こねこちゃん「ありがとう!嬉しいなぁ!」
シズカに許可をもらい、こねこちゃんは嬉しそうにシズカのとなりのカウンター席に座りました。シズカはこねこちゃんに自分の髪を触らせました。遠慮なくシズカの髪を触ったり、ほっぺたでスリスリするこねこちゃん。
こねこちゃん「サラサラ〜のチクチク〜…♪」
その時のこねこちゃんの顔は、さっきまでケーキを食べていたシズカのように、とても幸せそうな顔をしていました。つまり、こねこちゃんにとって、女性の長い髪は猫じゃらしのような癒しのアイテムだったのです。
シズカ「ケーキ作りは上手だけど、まだ甘えん坊ですね。」
シズカは微笑みながらそうつぶやきました。
???「よぉ!こんちくわー!」
すると、青いはっぴにサングラスを着用した荒っぽく、太った体型をしたタヌキのおじさんが大きな声で親父ギャグ風のあいさつを言いながら来店してきました。
そのとなりには赤いちょっきを着た可愛らしいタヌキの男の子・タヌタロウがいました。この2人は親子であり、大声で来店したタヌキのおじさんこそがタヌタロウのパパなのです。
タヌタロウパパ「おい、オレ達はこの店に来るのは初めてなんだ!息子のタヌタロウやオレにうまいもん食わせろよな!」
父親のタヌタロウパパは乱暴な言い方で、美味しいものを用意するよう、こねこちゃん達に言いました。
タヌタロウ「パパ、ちょっと言い過ぎだよ。」
でも息子のタヌタロウは父親と違い、優しい心の持ち主でした。
こねこちゃん「あのタヌキのおじさん、怖いよ〜。」
タヌタロウパパのあまりの乱暴な態度に、こねこちゃんは怯えてしまいました。しかもスイーツ作りの気力を失ってしまいました。シズカは覚悟を決め、タヌタロウパパに対してビシっと言いました。
シズカ「こねこちゃんの作ったケーキはとても美味しいです!初めて来た私が言うのもなんですが…美味しいことは保証します!」
シズカはタヌタロウパパにこねこちゃんの作ったケーキは本当に美味しいことを強く言いました。こねこちゃんのショートケーキとカフェオーレを美味しく食べていたシズカだからこそ、それほど一生懸命に言えるのです。
勇気を取り戻したこねこちゃんは、さっそくカフェのオススメスイーツであるフレンチトーストを作り始めました。
食べやすいサイズに切ったフランスパンを卵と牛乳とお砂糖でひたし、フライパンで焼き色が付くまで焼き、さらに生クリームとメープルシロップをかけて完成しました。
こねこちゃん「フレンチトースト、どうぞ!」
こねこちゃんは出来立てのフレンチトーストをタヌタロウ親子に1つずつ差し出しました。さっそく食べてみるタヌタロウ親子。ふわふわなフレンチトーストに甘くてとろけるクリームとシロップが加わり、口いっぱいにその甘さが広がっていき、タヌタロウだけでなく、さっきまで乱暴な態度を取っていたタヌタロウパパの心が穏やかになりました。
タヌタロウ「パパ〜♪このフレンチトースト、すごく美味しいよ〜♪」
タヌタロウパパ「ああ…確かにうまい!恐れ入ったぜ!それとさっきは怖がらせちまって悪かったな。」
心が穏やかになったタヌタロウパパは、こねこちゃん達に乱暴な態度を取ってしまったことを謝りました。
こねこちゃん達3人も一安心しました。すると、シズカの勇敢な対応を見ていた春人は、シズカにこんなことを言いました。
春人「もし良かったら、このカフェでバイトしてみないかい!?君ならこねこちゃんのパートナーに相応しいと思うんだ!それに鈴夏高校はバイトOKだし!どうだい?」
春人はシズカの行動を見て確信したのです。シズカのように優しく、純粋な女の子がこのカフェに加われば、こねこちゃんは、もっと成長するかもしれないのだと。
そしてシズカは、こう答えました。
シズカ「私もこのお店、気に入ってたんです!私で良かったらお手伝いさせてください!」
シズカは、バイトのことを快く引き受けてくれたので、春人は安心しました。さらに春人とシズカは、自己紹介することにしました。
春人「自己紹介がまだだったね。僕は月風春人。」
シズカ「私は爪島シズカです。よろしくお願いします、月風先輩!」
春人「春人で良いよ、爪島さん。」
シズカ「私もシズカで大丈夫ですよ。」
するとそこへ、こねこちゃんが嬉しそうにシズカに抱きつきました。こねこちゃんもシズカが一緒に働いてくれることに大賛成でした。
こねこちゃん「わ〜い!シズカちゃんと一緒だー!私、桜子ちゃんと同じくらい、シズカちゃん大好き!」
シズカ「私もこねこちゃん大好きだよ!これからもよろしくね!」
こうして、シズカはカフェチャーミーキャットで働くことになりました。
〈あとがき〉
皆様はじめまして。そうくんと申します。
僕は元々、小説を読むのは苦手なのですが、中学高校時代の後輩にとあるパソコン小説を勧められ、予想以上に面白かったことがきっかけで、子供達や同じく小説を読むのが苦手な人達にも分かりやすくて楽しめる小説を書くことを志しました。障害者である僕がほんの趣味で書いてみた小説ですが、固定概念に囚われず、自分なりの芸術を貫き通しながら書いていく所存なので、どうか応援よろしくお願いします!