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2日目 朝

おはようございます!朝です!


昨夜はレストランをでた後、おれとフレトラーさんは教会に泊まりましたー。


関係者だから無料でとめてくれるんだって。関係者の自覚いまいちないけど無一文のおれにはとてもありがたい。


ディアナさんも誘ったけどやんわりと断られた。どうやら街の宿屋に泊まったらしい。


きのうはちょっと情けないところ見せちゃったけど、今日は男らしくがんばるぞ!と。


「ここが冒険者ギルドだけど……ほんとうに冒険者になるの?」


朝の待ち合わせは大きい街には必ずある冒険者ギルドの前。


「おれも路銀ぐらいは自力で出したいんで」

「うむ、立派なおこころざしです。さすが女神に選ばれた使徒様」


そう。おれは冒険者になることにしたんだ。


だってお金がまるでないし、働いてるって感じでもないし、端から見たらニートみたいだし。ふたりに頼りきるんじゃなくて自分でも頑張りたいじゃん。


あと冒険者ギルドなんてファンタジックな施設にも興味あったしな!


「わかった、ならもう止めないわ。頑張りましょうね!」


にこっと励ますように微笑んでくれるディアナさん。

この世界の女の人はみんなこうなのかな、母性爆発!みたいな。


それとも夢だからおれの無意識の願望という線が……あるな、あるある。無意識どころかそんな本買ってたわ。



冒険者ギルドは想像のまんまの内装だった。


受付らしきカウンターに座る巨乳嬢たち、ハゲてる冒険者、依頼の紙がたくさん貼られた壁。ファンタジー系ゲームでみたまんまで感動した。


ディアナさんも依頼の達成報告に手ぶらでカウンターへ向かって行ったけど、他の報告にきてる冒険者は毛皮や草、なんかの角を持ってる人もいた。


意外だったのは冒険者登録の気軽さ。

名前言ってちょびっと血をとられて、受付嬢さんがなんかナムナムしたらカードもらっておしまい。ノルマもないって聞いて拍子抜けした。


ディアナさんが心配してたから試験とかあるような過酷なやつかと思ってたけど、ここでは身分証代わりに持つ人もいるらしい。


「血で縛られたでしょう。犯罪を犯せば、ギルドを通じてすぐ指名手配になるしカードも赤く染まるの。死んだらそれもギルドに伝わるわ」


犯罪する予定ないんだけど、ディアナさん、おれをそんな目でみてたのかな。


「それに……成人してすぐに登録した子達って無茶をしがちで、命を落としたりするわ」

「ディアナさん、おれ25才です」

「えっ!!! ……そ、そうだったわね、聞いたわ」


え!がデカすぎて。

ここでの成人って15才ってきのう聞いたから、すごく複雑な気持ちになった。そんな目でみてたの……。



「使徒様、依頼は受けてませんね? まずは予定通り森に向かいましょう」


気まずいおれたちを意に介さずスケジュール厳守の男、フレトラーさん。今回は助かったぜ。




話し合った結果、午前中はモンスターできればワイルドウルフをテイムして、お昼までには街をでる予定にしたんだ。


街の入り口に引き返してワイルドウルフが向かって行った森へ。

わかってたけど入り口にあいつらが待ってた、なんてことはなく、従魔契約は切れたんだなって思った。やや寂しい……。


「グァマーツァあたりの森は初心者でも入れるくらいなんだけど

、希にグラップラーベアも出るからもし見つけたら声を掛け合いましょうね」

「ほかに大型は出ないのか?」

「ここら辺ではワイルドウルフでも大きいって言われるくらいね。ホーンラビットやいたずらリスが多いわ」

「ならば油断なければまず大丈夫か。行きましょう、使徒様」


慣れた様子でふたりともモンスター談義してるけどついていけない。聞いた感じだと熊がやばくてウルフたちはまあまあなのかな。


「あの、ワイルドウルフって強いほうです?」

「んーC級冒険者ならひとりでも倒せるくらいね、でもセンジくんは戦闘経験もないF級だから戦うのは危険だと思うわ」

「なにかあれば私がおりますので」


フレトラーさん戦えるんだ!?

いやムキムキだから鍛えているのはわかるんだけど


「僧侶じゃ……?」

「私は守護を得意としておりまして、僭越ながら教会内でも“上”の評価をつけられています。だからこそ使徒様にお仕えするお役目をいただけたのです」


あーそかそか守護ね。この鍛えられた筋肉によって肉壁になるとか魔法でシールドとか張るのかも。フレトラーさんちゃんと僧侶っぽいぜ。


三人ならんで街中とかわらない緊張感で森を歩いてると、


「ビジァアアアア!!!!」

「うわあああああ!」


真っ黒でモヤモヤした固まりが飛び出してきた、っていうかおれに襲いかかってきた!


「センジくん! ったあ!」

「破ッ!!」


クロスカウンター!


ディアナさんの蹴りとフレトラーさんのパンチがひとつの黒モヤに対して攻撃したらしい。クロスカウンターというかオーバーキル感がすごい。


ドサッと地面に落ちたのは鋭利なツノのついた灰色のウサギ。顔がだいぶ凶悪である。


「な、モンスター?」

「はい、ホーンラビットですね」


これがモンスター……黒いモヤに包まれてるから悪ってわかる。なんかこう、冷たいようなゾワゾワと嫌な雰囲気がある。


「初心者が狩りの練習にするような強さだけど、このホーンラビットも初めてみたの?」

「は、はい。助けてくれてありがとうございます」

「いいのよ。でもそっかぁ、それじゃあびっくりするわよね」


かなりメジャーな生き物らしく、初見のおれが珍しいみたいだ。


「センジくん武器ないし、今回はワイルドウルフがでるまで狩りはわたしたちがするわね。ね、フレトラーさん」

「はい、おまかせを。使徒様は安心してふさわしい従魔をお探しください」


厚手の布袋に倒したウサギの死骸をしまってたフレトラーさんがキリッとして言ってくる。

持ち帰るんだ……。

ディアナ→蹴り

フレトラー→拳闘

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