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ハンマーマーツォ村~シクナカルワ村

「ウワォオーン!」

「ワウオーン!」

「ワワーアアアウ!」


「ちょ、しっ、しぃー!」


サイコロが道端に止まったとたん、ワイルドウルフが遠吠えをしだした。みればさっきより興奮したように手足に力が入ってる。

どうやらやる気のようだが村のはじっことはいえ、でかい獣が急にほえ出したらちょっとびびる。

数人いたの村人たちも警戒する目でこちらを見ているので余計に慌てた。


「安心せよ村のもの。このワイルドウルフはいまこのとき使徒様の従魔となったのだ。みよ、額の神紋を」


フレトラーさんがやや大きい声で弁明してくれる。言うとおりワイルドウルフの眉間には菱形を限界までおしゃれにしたような模様が光ってくっついてた。さっきまでなかったのに。



「えっなにこれ知らないんだけど……フ、フレトラーさん、従魔とかどういうことなんですか…?」

「使徒様が神具をお使いになり、それによってこの幸運な魔物は敬虔な従魔となったのです」


「センジくんがやったってことなのかしら?」

「ぜんぜん自覚ないんすけど……」

「使徒様は謙虚なのですね!さすがです」



フレトラーさんは大丈夫かな? 変な宗教に……あっ、僧侶だった。

とりあえず、おかげさまで村人の視線も離れた。


どうやら従魔になったどうぶつ?まもの?は安全らしいので目をキラキラさせてるワイルドウルフを撫でる。しっぽをぶんぶん振ると「ゎぅ」と小さく鳴いて尻を向けて伏せた。乗れってことかな。



「乗っていいのかな」

「大丈夫よ、犬と違って魔物だもの。とても頑丈で強いの」

「私が乗っても余裕ですよ」


軽装とはいえフレトラーさんが乗っても平気なら大丈夫だな。

よいしょと跨がると見た目よりかたくて馬みたいだった。馬乗ったことないけど。


「よし、いこうか」

「わう!」


ちらっと振り返ってきたので合図を出すと、むくりと立ち上がり走るために力がみなぎったのがわかった。


「おわっ!ちょっ待っ、まてまて!! どこ掴んでたらいいんですか!?」


立たれただけなのに体勢が不安定すぎてやばい。

想像より地面から高いし冷や汗が出てくる。


「脚で挟んで保てない? だめなら耳のしたあたりの毛を掴ませてもらうといいわ」


ディアナさんの助言どおり脚に力をいれるがこれで長時間揺すられるのは不可能しかない。前傾して耳のしたを掴んでも……だめだ、安定する未来がみえない。こわい。しがみつかせてもらおう……


ごわっ ふわっ ぬくぬく


かたい毛が顔にあたるが落ちるよりぜんぜん良い。あったかいし、野生だろうに臭くないし。


「おし、いこー」

「わう!」


三頭はいっせいに走り出した。

腹のしたから振動が伝わってくる。結構はやいなー。


いったん浜辺に引き返したとおもったら、村の背後にある森に入ったらしい。ワイルドウルフの頭越しに景色が見える。


木漏れ日があるくらいで、辺りは太い木々で満ちてる。

あれ? 森って道があるんだろうか。


「こっちでいいんでしょうかー!?」

「方向はあってるわ!」

「この先に大きい村があります、そこから街道に出ましょう!」

「はーいー!」


視界の端で見切れるふたりと話し合う。

おれ、見切り発車もいいとこでワイルドウルフに乗ってるけど、ここら辺の地理も知らないし正解しらずに進んでる。夢ってこういうかんじだよな。うん、なんか楽しくなってきた。


一定のリズムでワイルドウルフが走り体感で15分。

気持ち悪くなってきた……



「そろそろ隣村よ! 寄る!?」



ディアナさんの声で犬毛に埋めてた顔をあげるさっきのハンマーマーツォ村と同じくらいのちいさい村が左に見えた。

見えたがワイルドウルフはスピードを落とすことなく通りすぎた。


「シクナカルワ村は大きい! そこでいったん休もう!」

「センジくん、大丈夫っ?」

「っはい!」


美女に言われると強がっちゃうおれ。ううーん。ちょっと酔ってるけど、まだいけるな。

大きい村ならカフェとかあるかもだし……


さらに30分が過ぎただろうか。


「シクナカルワよ!」

「よし、寄りましょう使徒様!」

「はい…」


前方に村の門みたいのが見えてきた!

やっと休める! 吐き気もいよいよだ!


ワイルドウルフは真っ直ぐシクナカルワ村に向かい、村の回りに張り巡らされた木柵に沿うように半周し、反対側の門から続く大きな通りおそらく街道に躍り出た!


そしてそのまま街道をひた走る!


シクナカルワ村とやらは背後にちいさくなって消え去った!




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