三日目、おつかれさまー(ほんとに)
オズタハクナワラの街に着いたのはもうすぐ夕焼けという時間だった。
今まで寄った村や街のなかでいちばん大きいようで、立派な街壁と関所みたいなブースが設置されていた。
「あら? 並んでる人がいないわね」
衛兵はいるけど並んでる人が見た感じ二グループだけ。夕方だしそんなもんかと思ったけど違うみたいだ。
「オズタハクナワラは首都ですし、野宿をし翌日の検問を待つこともあるほど並ぶ場合もあります」
「やっぱり何か起きてるのね、ワイバーンも関係してそうだわ」
街の入口まで来るとすでに前のグループは街に入っていて、すぐにおれたちへの検問が始まった。
おれはいまだ回復せずフレトラーさんの背中にぐったりお世話になってるので、対応はディアナさんたちだ。
「われらはアンタルミーニまで旅へしている。こちらで一泊したい」
「その背負われている者は疫病ではないのか!」
衛兵の声が大きくてみぞおちが痛くなった。内臓に響くなぁ。
「ちがうわ。途中でワイバーンに襲われたショックで歩けないだけよ。一晩寝たら治ると思うの」
「ワイバーンに……!」
「もしかしてワイバーンはこの街を狙っているの?」
「ぐ、ぬぬ……! い、医師を呼ぶのでしばし待て!」
おおー、ぐぬぬって言った。やはり狙われてますな。
衛兵は質問には答えず、おばあちゃんを連れてきた。
「ふむぅ、病のたぐいではなさそうだ。生気が薄くなっているのは、申告通り、ショックを受けたからかもしれんな」
背負われたままのおれをカサカサの手で触診したあと、休めば回復するだろうとおばあちゃんが言ったので衛兵も納得したようだ。
この人がお医者さんなんだな。そこらへんのおばあちゃんっぽいから職業の見分けつかないぜ。
「くれぐれも問題を起こさぬようにな! からだを大事にしろよ!!」
やさしい。悪い人じゃないんだな、声が大きいだけで。
とりあえず少し休もうということでオズタハクナワラの街の教会に入った。
小型のお城みたいな造りの教会にはまだ数人が祈りに来ていたが静かだった。後ろの方の長椅子に寝かせて貰っているうちに、体調が嘘みたいにどんどん良くなっていく。
「顔色も戻ったわね、よかったわあ」
「アーン」
ディアナさんに抱っこされていたシロがジタバタして抜け出し、おれと椅子の隙間に入り込む。
「シロちゃんはセンジくんが大好きね」
ふへへ。可愛いシロとディアナさんの笑顔でにやにやしちゃうな。
「使徒様、本日はこちらで休めることになりました。ディアナ殿はほんとうに宿屋でよいのか?」
司祭さんに挨拶に行っていたフレトラーさんが戻ってきた。今夜は教会に泊まれるように頼んでくれたんだ。基本、無一文なおれにはありがたいなー。
ディアナさんは相変わらず街の宿に泊まるんだって。教会に泊まるのは僧侶とかのスタッフか生活がほんとギリギリの人だけって暗黙のルールがあるらしいよ。
体調もすっかり元通り! 不調だったのが信じられないくらいになったので、夕食と明日の作戦をとりに夜になってきた街へ繰り出すことにした。
「おおー、街灯が灯ってる」
いままで村はもちろん街だって夜は真っ暗で、せいぜいかがり火が街の入り口とかに数個あるだけだったのに。都会すごいなー!
「魔トーチを応用した街灯です。夜でも警戒がはかどります」
「外であった盗賊とかはいないけど、ガラの悪いやつらはいるから注意はしてね」
うーん。なんだか治安は良くないんだな。これから向かう酒場も酔っ払いの強面がいないかちょっと不安。
かくして到着した酒場兼食堂には酔っ払いが溢れていた……。
薬草茶で乾杯して大皿料理をたべる。酒場だからか塩気が強い。
お皿に乗ってる食べ物は何かわからないけど魚らしい。ステーキみたいに平たく厚めにカットされてるんだけど、切り身としたら大きすぎる。ちなみに味自体はそんな無くて、お肉みたいな見た目のじゃがいもみたいだ。
「それじゃ、明日はどうする?」
「アンタルミーニまであと三分の一といったところだが、ワイルドウルフ級ではニ日程度だろう」
「そうね……オズタハクナワラは森が多いからいろんなモンスターがいるわ。朝から探せばホウゴラウ並に速いモンスターも見つかるかもね」
「大型二体より、三体捕まえられるといいですねー」
「アーン」
うん、おれもこの三日で会議に参加できる程度にはやり方がわかってきたぞ。午前中になるべく乗れるモンスター捕まえて出発するのがベスト。
明日もその鉄板パターンでいこう。
「クソっあの鳥ヤローめ!! 畑の羊たちが怯えちまって仕事になんねーよ!!」
「おれんとこもだ。こっちはニワトリだけどよ、外に出やしねーよ」
酔っ払いが顔を真っ赤にしてくだを巻いてる。
なぜだろう……なぜか聞いては行けないような……
「まったく腹が立つ! ワ イ バ ー ン め!!」
……………。
「センジくん! 明日はワイバーン探しましょ!」
あかーん!




