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また徒歩

我が家のカレーは野菜が大きく切られたやつだった。二種類のルウを混ぜてあるらしくて、独り暮らしを始めてから自炊で作ってみたけど同じ味にはならないんだ。母さんはどのメーカー使ってたかなー全く記憶にない。


「んはっ!?」

「あっ気づいた、よかったわ。体調はどう?」


クピランの花束を持っておれの顔のまえで揺らしてるディアナさんと目があった。シロは顔周りをぐるぐる回ってたがおれが気がつくと顔をペロペロしてくれた。


体を起こしてあたりを見渡すとダンジョンの外の入り口に寝かせられてたらしい。


「すっすみません! また倒れちゃったみたいで」

「ううん、仕方ないわ。ダンジョンまで歩けたのだってクピランの効果だったでしょう? それが無いダンジョン内じゃいつ体調崩してもおかしくなかったの。わたし達が油断してたんだわ」


ごめんね、と頭を撫でられた。


「使徒様、お気づきですか」


フレトラーさんがなにやらごっそり抱えて戻ってきた。腕いっぱいに抱えてたクピランを前の街でゲットした羽織りで包んできたらしい。


「ダンジョンは深層へいくほど魔素が強くなります。地下2階へついてお倒れになったのもそれが原因と考えられます。思い当たらず申し訳ありません」


表情からほんとうに申し訳なさそうなフレトラーさん。


「いえ、そんな。でもおれにはダンジョン捜索はムリなんですね」


はあー地味にざんねんだ。ファンタジー冒険の王道なのに。あと乗りやすいモンスターも探したいのに。


「なにか対策がとれるかもしれないし、諦めちゃだめ」

「ディアナさん……」

「またちょっとずつ挑戦してみたらいいのよ、ね?」


にこっと微笑んで慰めてくれる。なんて優しいんだまじで。あんなにダンジョン楽しみにしてた本人なのに。


「ありがとうございます! おれ、諦めません!」

「うんっがんばりましょうね!」


「では使徒様、ダンジョンは諦めて次の街へ進みましょう」


フレトラーさんのこの感じ、ありがたいぜ!




戻るよりは進もうと、引き返さずにつぎの街・首都オズタハクナワラ街まで歩いていくことになった。

とはいってもダンジョンの段階で行程の半分なのであと半分歩けば着く。


「希望がみえたな」


胸の痛みと息苦しさを感じつつもやる気は削がれてない。


ダンジョンからオズタハクナワラへは湿地を抜けて粗野な街道を行くから、おれの魂の支えのクピランがないんだけどフレトラーさんが摘んできてくれた。


それを持ってるし、クピランをくるんでた羽織りも着てる。ディアナさんも隣で花束を持って振ってくれたりする。


ありがたくて気持ちがあったかい。

苦しいけど、がんばれちゃうなー!




はあはあしちゃう。

シロも抱っこしてたら落としそうだから歩いてもらってるんだけど心配気にチラチラこっちを見てくる。


「使徒様、大丈夫ですか」

「センジくん、おぶってもらったら……?」


正直、返事もできないくらいだるいし全身がチクチクチクチク痛い。フレトラーさんに背負ってもらったほうが早く着くっていうのもわかってる。


けどおれってここまでずっとお荷物じゃんね。


握りすぎて生暖かくなってるクピランを鼻先にくっつけて深呼吸。


「も、もうちょい、だけ……頑張らせて、ください」


気絶しないでつぎの街に着きたい。お荷物だけどみんなの負担は減らしたいんだ。


「センジくん……」

「使徒様、ご立派です」

「アンアーン」


「おうおうおう! 荷物ぜんぶ置いてけや!!」



おれのことかな?


俯いてた頭をあげたら盗賊に立ち塞がれてた。

治安わるいなー……!!

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