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コーズ村で初めて冒険者

ジロリと睨むように見てくる村人が筋肉でガッチガチのくせに剣を持ってるのって過剰武力だと思う。

しかも三人。中年くらいで村のまとめ役っぽい雰囲気の三人だ。


「ぺ……ペットです」


視線は合わせられないよね。この白犬が可愛いから抱っこしてるだけだし……白犬自身に許可とってないし……


「私は女神の教会に仕えている僧侶フレトラーだ。アンタルミーニへ旅をしている」


おれたちを庇うみたいにズイと前にでてくれるフレトラーさん。


「なにか面倒事が起きてるなら立ち寄らずにすぐに出ていくけど?」


さらにおれを庇うディアナさん。

ピリピリした空気をさすがに感じます! おれは白犬をさらにしっかり抱きしめた。



「……ふん。面倒事など起きていない。だが、長居はすすめられないな」

「ダンジョンが出来たというウワサは本当だったのね」

「な! なぜ知っている!」

「オズタハクナワラ国では突然ダンジョンが出現するという報告を王宮、教会ともに受けている。しかし主に郊外に多く、はじめは冒険者を呼び込まないので出現場所は噂でしかない」

「でも特徴があるの。報告を行わないのは武に優れた村が多く、もともと排他的な村がよりいっそう外との繋がりを断つって」

「…………」

「まさにこのコーズ村に当てはまるわね」

「ダンジョンが出来た場合、王宮への速やかな報告が義務付けられているが、もうコーズ村はしたのだろうか?」


ダンジョン? ダンジョンってモンスターとかウヨウヨいて宝箱とかあるやつよな。おおー夢とロマンのにおいがするね!!


で、それが出来ちゃったのか、この近くに。


村人たちはすごく苦々しい顔をしてる。

でも攻撃してこないし、これはふたりの言い分が合ってるのか。てか隠してて「なぜ知っている!?」とか言った自白もいいところじゃないか?


「チッ……村の財産だと知っているだろう」

「ええ、わかるわ。初めの探索は実入りも良いから村が独占したいわよね?」


ああーなるほど! お宝もらってから報告したいのか。


「財宝には手をつけないと約束するわ。モンスターに用があるの」

「私は優先すべき仕事があるので、教会へも知らせる時間もないだろうな」

「宝には手をつけないわ。場所も詳細じゃなくていいの、ね?」


ニコッてしてるけど脅しに聞こえる。村人にもそう聞こえてるだろうな……。


「ロデム……」


村人Bみたいのが真ん中の村人に話しかける。村人Cもいっしょににちょっと相談してるみたいだ。



「わかった。だがくれぐれも報告は待ってほしい。われらも報告をしないわけではないのだ」

「ええ! もちろんよ!」

「懸命な判断に称賛を。コーズ村に女神のご加護か降るよう僧侶フレトラーが祈ろう」


お、まとまったようですねー。


「アーン」


よしよし。……癒される。




時間も日暮れにはまだ早いし、コーズ村には泊まらないらしい。

ちょこっと村に入って野営の準備を揃えてすぐに村を出た。


「ごめんね、ダンジョンでモンスターを捕まえることになっちゃった」

「出来立てのダンジョンでは低級ながら大型のモンスターが多くでることがあります。使徒様の気に入る従魔がいるやもと、勝手を致しました」

「いえ! おれもダンジョンには興味がありますから!」


これは本当だ。

ダンジョンなんて現実でみたこともないし、あるなら覗いてみたいよな! きのう冒険者登録したし、せっかくならこういう体験はしておきたい。

それにモンスターがたくさんいるなら都合がいい。カツッヲンみたいに揺れないやつ探したいぜ。


ただ問題がひとつあって。


「オズタハクナワラ街への途中ってことは、センジくん、また体調悪くなっちゃうかも」


ディアナさんが本当に申し訳なさそうな顔をしてる。

そう、ダンジョンの場合がどうやらさっきのコーズ村から首都オズタハクナワラ街の中間ぐらいにあるんだって。


首都に近いからすぐバレそうじゃんと思ったけど、辺境にくる旅人もすくないうえ、入り口がコーズ村に向いてるから首都側からだと分かりづらいらしい。まあコーズ村も長期間隠したいわけじゃないってことだろうな。



村人の助言どおり、街道からそれた湿地をいく。背が高い草がたくさん生えてて、おれやディアナさんだと首ぐらいまで埋もれてしまう。柔らかいからダメージはないけど。


それとこの草、ちっちゃいピンクの花が咲いてて触るとカレーみたいな臭いがする。美味しそうだなー。


「使徒様、大丈夫ですか。ふらついていらっしゃいます」

「は、はい。ちょっとクラクラするような……? でもまだ大丈夫です」

「アンアーン……」

「シロも心配してくれるのかー、んーよしよしー」


心配そうに白犬がおれのあごをちっちゃい舌で舐めてくる。


あっついにおれは白犬に名前をつけてしまった。“シロ”だ。

そのままだけど、しっくりきちゃったから仕方ないよね。


「まだまだ歩くけど、センジくんは……平気そうね」

「もしかしたら、この花の香りが好きだからかもです」

「これは……聖花のひとつ、クピランです。女神の加護かあると言われています」


ほほう、あの幼女女神の加護がこのカレーの花に。

たしかに息苦しさとか動悸はかなりマシだ。


「ダンジョンは湿地のなかにあるみたいだから、クピランが効くなら良かったわ」


それからちょっと休憩を交えて一時間くらい歩いたところで、湿原が割れたような隙間が見つかった。

どうやらここがダンジョンのようだな!


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