オーヴナーン村~コーズ村
「丘陵地帯の街道を行きましょう」
フレトラーさんがコースの設定をしてくれて、走り出して2分で気づいた。
ぜんぜん違う!
思ってたんとぜんぜん違う!
「センジくん、ちゃんと捕まって!」
「いたっいたた! ま、まってくださ……!」
ディアナさんのスカートがスカート型の鎧つまり装甲だから硬い。そしてオシャレにもプリーツみたいな裾のさきが尖ってるから当たりどころによっては痛い。
あと滑る。捕まりづらいから腰に手を回させて貰ってるけど滑る!
それからホウゴラウが今までのモンスターより速い。しかもこいつら走り方が雑だから内臓ごとシャッフルされてるみたいですごく酔うし落ちそうだしあぶない。
「使徒様、落ちそうです、失礼!」
「ぐわっ」
もー! フレトラーさんも支えてくれるのは有り難いけど、杖の丸いとこで背中をぐいーって押し戻してくれるのが変なツボに入ってなんか痛ぇー。不健康なのおれ!? もー!
酔い止めの魔法もついでとばかりにかけてくれてるしありがとうございます! すみません!
「アーン」
おれとディアナさんの間に入り込んでる白犬が見上げてくるのに元気づけられる。
「く、口開けたら舌かむぞ!」
おれもだけど!
ホウゴラウの走るリズムがボコっボコンっズザ!みたいに捉えどころがなくてひたすら危機感がつのる。羽毛で座ってる尻が柔らかいのだけが救いだ。
「まだつかないのかしら?」
「オーヴナーンから4つ先の村だと国境を越えるかもしれない」
いままでより駅間ながいかも。
ふたつ村越えてさっき浅い川をジャブジャブ渡ったらもう昼をすぎた。
「ホウゴラウ、海沿いじゃなくてちゃんと丘を走ってるのよ。指示にしたがっているのか、こっちの道のほうが村が少ないのが解るのか……賢いわ」
「使徒様のご威光の影響だろう」
どうやら近道してるっぽいな。それにしても、ふたりともホウゴラウが走ってても普通に話せるぐらいに乗りこなしてる。運動能力すごすぎない?
「使徒様、みっつめの村がみえました」
「あれは……ヒモラシュッカーンの村ね、カーノアクルア国の最西の村よ」
「こ、国境ですね……!」
またしばらく行くとホウゴラウがぴょんとジャンプしたような振動があった。
振り返ると人口的に造られた堀のようなものがあったらしい。跳べちゃう大きさだったけど。
「センジくん、オズタハクナワラ国に入ったわよ」
「ここより半刻もいけばコーズ村につくでしょう。もうひと踏ん張りです、使徒様」
おおー! ついに最後の国だ!
この国にアンタルミーニがあるんだよな?
夢なんだかなんなんだかわからないまま、今デカいダチョウに乗ってるけどそれも解決が近いと思うと気持ちも高揚してきた。
オズタハクナワラってどんな国なんだろ? いままでにないワクワクした気持ちでおれたちは4つ目のむらコーズ村に到着した。
ホウゴラウから数時間ぶりに降りると足がガクガクしたがフレトラーさんが治癒魔法をかけてくれた。杖でつくんじゃなくて近くでかざして杖の珠を光らせる感じ。
「中距離までは魔法は飛ばせませんが……騎乗中は手がぶれてしまいお体に当ててしまうことをお許しください」
「問題ないです! いつもありがとうございます」
「その代わり、御身を守るために力は鍛えてまいりましたので」
キリッ。
癒し系のステータスは伸ばさなかったんだな……。
ディアナさんはホウゴラウ1号2号のボディをポンポンと叩き見つめあっている。が、つぎにはホウゴラウは猛スピードで去っていった。
おれはあらためて村を見渡す。
「? な、なんか……様子が……」
一言でいうと物騒。
村人らしき人もいるけど男女関わらず眼光が鋭くて体つきもガッチリしてる。村の端では素振りしてる大人とこども。えい、えい、の掛け声も気合いが入ってるガチのやつだ。
「オズタハクナワラは独特なのよ、特にいまは、ね」
「使徒様、オズタハクナワラ国では我々のそばを離れないようお願いいたします」
え、こわい。忠告がこわい。
「アーン……」
「だ、大丈夫だ。何かあっても責任持っておまえだけは守るからな!」
不安げな声を出す白犬を抱き直して頭を撫でてやる。
「旅のもの、それはモンスターだろうか」
村人がすごい低い声で話しかけてきた……!




