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ヨズコハマーンの街~オーヴナーン村

「すみません、2とか……」

「落ち込まないの、進めるんだからいいじゃない、ね? 今日は進んだ先で泊まりましょ」


背中をポンポンと叩かれて慰めされる。


「使徒様、カツッヲンの準備が整いました」


フレトラーさんはマイペース、っていうより職務最優先なのかな。


準備ってなんだろうと紋章の浮かんだカツッヲンをみると、羽織りが被せられソデが首もとに巻かれてマントみたいにされていた。丈が長いからかなり長さに余ってるけど。


「?」

「さあどうぞ」


カツッヲンをかっこよくしたの? おれが使徒だから???

ぜんぜんわからん。


だけど乗るしかない。早く移動しないと日が暮れちゃうし。


「よろしくなー」


カツッヲンのボディをポムと触ってから、よいしょ、とまたがる。従魔になってるから膝を曲げて乗りやすくしてくれてるのがすごい。


「あ、すべらない」


またがって解ったが、羽織りのおかげでスベらない。


「使徒様、体を倒して首におつかまりください」


言われたとおりにする。

ああああ! なるほど! カツッヲンの首に巻かれたソデ部分に捕まれる。


「乗りやすいです! ありがとうございます、フレトラーさ……フレトラーさん?」


フレトラーさんは長く余ったスソを折り返して、おれの尻から背中を包んできた。そしてロープでカツッヲンごとおれの腰を縛る。


「え、なんです?これ……」

「私とディアナ殿はロープだけで良いですが、使徒様は騎乗に慣れておられないですから、このような策を考えました」

「あら、よかったわね!これなら落ちないわ」


よかったかな? 成人男性がやっていい見た目かな?


「兄ちゃんよかったな! 良い仲間じゃねぇか!」


黙ってみていた門番が微笑ましげに言ってくる。

はははと愛想笑いを返したけど、おれ笑顔はひきつってなかっただろうか。


「えー……準備できましたか」

「はい」

「ええ、いつでも行けるわ」


またがってロープをカツッヲンの体にかけて手綱みたいにしてるらしい。上体もふつうに起こせてるし、おれと違う……。


「で、では出発しよー」


もう何もかんがえない! とにかく行くぜ!






なんとカツッヲンの乗り心地はかなりよかった。

ほとんど上下しないし揺れもおだやか。まさに海のなかを泳いでるみたいに走るのだ。


しかも速い。すごくない? 見た目を考えなければワイルドウルフ

より快適だ。よって酔うこともない。


羽織りに包まれてるから遠心力で振り落とされることもない。


やばい。これは一家に一台欲しくなるやつだ!


「とっても快適ね! 疲労も少なくいけそうだわ!」


ディアナさんの嬉しそうな、いつもよりテンションのあがった声が可愛い。

またがってるのがカツッヲンじゃなければ可愛すぎてグラビアとかできちゃいそうだ。


そうこうしてるうちに一つ目の村を通りすぎた。

乗り物酔いしてないとあっという間に思えるなぁ。


あといままでと少し景色がちがう。


紅葉してる葉っぱもあるし蒼くて透明な幹の木もある。おしゃれだなー。


行き交う人々も多いがカツッヲンは森よりの街道を疾走してるからぶつかることもない。観光気分で眺めていられるよ。


「だんだん人が多くなってませんかー?」


ヨズコハマーンも大きな街だったけど、さっき通りすぎた村も人口が多かった。

つぎの村へ行くのに更に旅人が増えているように見える。


「たぶんこのままいくとオーヴナーン村に着くわね。あそこは精霊様がいるからお参りする人がいるの」

「会えるんですか!?」

「運が良ければじゃないかしら」

「精霊は魂が清らかなものの前に姿を現すといいます。使徒様でしたらおのずと見られるはずです」


プレッシャーすごい。


でも改め道行く人をみると家族連れや女性同士が多い。やっぱり観光地みたいな感じなのかな。街道ですらきれいだもんね、わかるぜ。どんどん色合いが変わる森を眺めてるだけで感動する。


こっちをみて珍しいものを見る目の人とか微笑ましげな人もいるけど気にしてはダメだ。おれはまだおくるみスタイルを正気で受け入れられてないからな。


ぬるぬるーとカツッヲンは走り、特記することもないほどに順調に二つ目の村についた。




「……村?」

「とっても賑やかね!」

「ここの領主はまだこちらを村としているようです。ですので村ですね」


“オーヴナーンの村のえき”と書いてある立て札の前。

この立て札はたしかに各村でよくみたやつだ。


でも露店がたくさん並んでいてそこにお土産を売っていたり、テイクアウト出来そうな食べ物があったり、蒸気が上がってる店はまんじゅうとか?


とにかく店の数も多ければそこに立ち寄ってる人もいままでの村とは比べ物にならないほどだ。


あと村のなかの植物も一層ファンタジック。

キラキラ光る身の付いた細い木二本、アーチ状に曲げられて村の門にしてるらしいことから始まり、ピンクのふわふわが浮く草、ひらいたりとじたりをゆっくり繰り返す黄色い花。


なにより村の中心地にクリスタルでできたような美しい大木が生えていた。

カツッヲンはばいばいした!

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