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グァマーツァの街~国境

ヘッヘッヘッ……


良い子におすわりのポーズで待ってるワイルドウルフ三頭。


「とにかくサイコロを当てればいいのね」

「さすが女神の神具」


感心したように眺める頼れる戦士ふたり。


ワイルドウルフはサイコロが当たって黒いモヤが晴れるとすぐにうなり声をも止めた。目つきも穏やかになって、恐怖をあおるあの雰囲気もなくなった。口を開けてるから笑ってるようにみえてちょっと間抜けだ。


おれはいま真ん中の、いちばん始めにサイコロを当てたやつに抱きついている。


ごわっ ふわっ ぬくぬく


「おかえり、元気だったかー」


これこれ、この感じ。


さっきまでの心臓が痛くなるくらいのストレスフルな戦闘を思うと感慨深い。いや、ぜんぜん命懸けレベルじゃなかったのは解るけど、あのときはこわすぎてマジで死ぬかと思ったんだ。でかい生き物に襲われる体験なんかしたことないからな。


「使徒様、そろそろ出立しませんと」

「あっそうですね、サイコロ振ろう」


な!とワイルドウルフの体をくしゃくしゃに撫でる。

頭を傾げてくぅん?と鳴くのがかっこいいのに可愛いぜ。


「それー!」


ご機嫌でサイコロを投げる。

コロコロー……ヒュイーン


「きゅーん……」

「あら、戻ってきたわ?」


あっ“えきまえ”で振れって幼女に怒られたんだった……




さっさと戻ってきて“えきまえ”。


“えき”ってどこだよと少し探したら、街の入り口、門の上部に“グァマーツァ街のえき”って駅名がピンクの日本語で浮き出てた。

書くとこなかったんだな、ヴィーちゃん。幼女が書いてんのかわからないけど。


森からここまでワイルドウルフは乗せてくれなかった。駅からじゃないとダメらしい。

街に戻るのも話が通じてるのか、リードもないのにしっかり傍について歩いてきた。うちの犬の散歩を思い出すぜ、あのこもリード弛むくらいおれの真隣を歩いてたなぁ。おりこうだぜ!


もふっ! ごわっ!


「使徒様、そろそろ中天になります。出立いたしましょう」


アッハイ。


「振りまーす」


ぽいーコロコロー……


「「「 4 」」」



「うーん。4ねぇ……」


ディアナさんが頬に手を当てて思案気な顔だ。


「まずい感じですか?」

「どうかしら……カーノアクルアは大きい国なんだけど国境いから多くの村があるの。コハマーンまで着くか微妙なところよ」

「たしかに、テコオ国にはいる直前まで村があったな」

「おおまじか……」

「きゅーん……」


小さく鳴いたワイルドウルフの頭をなでる。


「まぁでも着いたところでまたサイコロ振ればいいんだから、大丈夫ですよ! なっウルフ!」

「きゅーん……」


ワイルドウルフの額にはピンクの紋章。

サイコロの目が決定するとつくみたいだ。色はともかくかっこいいな!

そろそろ名前もつけなくては。


「それもそうね。水を差してごめんなさい、行きましょうか」


三人でウルフに跨がるが、二度目とはいえ安定などしない。

体を倒してしがみついた。


「おっし、いこー!」





おれを先頭にしてワイルドウルフ号はぐんぐん進む。

グァマーツァの街から出発して30分くらいすると川が見えてきた。


「使徒様、前方にあるのがトゥラ川です! あそこを越えるとカーノアクルア国になります!」


右後方を走るフレトラーさんがすぐに情報をくれる。

おおー国境かぁ。


「どう渡るんですー?」

「小舟がでております! 一度とまって舟を出させましょう!」

「はーい……?」


一度とまって? ……止まれるのか?


「センジくん、止め方わかったの」


左後方からディアナさんが寄せてくる。

いえ、わかってないです。


え、でもみた感じ大きそうな川だしさすがに止まるよね?

ワイルドウルフも無理そうだったら迂回するよね?


もはや目の前にある川は、流れこそ穏やかそうだが川幅的には舟を使うべき広さだ。


ゴツゴツした岩も所々あって泳ぎに適した雰囲気なし!


どんどん川に近づくけどとまる気配もなし!


「ちょちょちょ、川! 川だよウルフ! あれは泳げないって、ムリなら止まろう!?」


「使徒様、ワイルドウルフの速度があがってます!」

「センジくんまさか!」


おれもまさかと思ってるよ。

でも嫌な予感しかしないし、なんならちょっと諦めてる。


芝生が川岸ぎりぎりまで生えてた。

視界の端で10メートルほど先に貸し舟らしき舟と船頭のおっさんらしき人影。


すまんなおっさん、おれたち舟、使わないみたいだ。


「まじかよ…っんええええええええ!!!?」


かくしてスピードをあげたワイルドウルフは川岸から元気いっぱいにジャンプした。



浮遊感。



舟屋のおっさんがこちらを見て目を見開いてるのが見えた。口も開いてる。


ふしぎだ、時間がとまったみたいに感じるよ。


「っ、センジくん口閉じて! 舌かむわよ!」


ディアナさんの緊迫した声に我に変える。


アホみたいに開いてた口をむりやり力をいれて閉じるとすぐに体に衝撃を感じて続けざまにまた浮遊感。


どしん!と感じてつぎには内臓があがってくるような重力の変化。そしてまたすぐにどしん!


(あっジャンプして川渡ってるのかー)


ワイルドウルフってほんとにすごいなぁ。

自分じゃどうしようもない状態だからか、逆に穏やかな気持ちになった。


六回目の衝撃で、無事に反対側についたらしい。


ワイルドにとってこんな移動はなんでもないことみたいだ。一切の休息もなく、着地と同時に走り出したもん。楽しかったのか耳を伏せ気味で体高も低くして興奮したみたいなスピードだ。


「んん、さすがに気分が悪くなるわね……」


眉を潜めて頭痛をこらえるようにしてるディアナさん。

わかる。わかりますよ、酔うと頭もいたくなりますよね

おれはなんだか胃が鼻の裏にあるようなかんじです

はなからいさんがでてくるような……


「私もだ……。全員、治癒をかけよう。まずは使徒様から」


ありがとうございます、とてもたすかります



ドスドス!



おれの意識はそこで途絶えた。

とどめをさされた!

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