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プロローグ
夢の中で幼女が言った。
「バス、すき?」
好きだ。景色を眺めながら、尻のしたの振動を感じながら、知らない街へぐんぐん連れていってくれるバスが好きだ。
「ナルホドナー。そんなたび、してみたい?」
してみたい。テレビでサイコロ振ってタレントが旅するやつは録画して見てるし、たのしそうだと思う。
「フムフム。サイコロだね、つけてあげる!」
にこっと笑顔を向けた幼女が白いワンピースの裾をひらつかせて回転し始めた。両手を上にかざしてだいぶご機嫌な様子だ。
「ぴろぴろぱらるーん♪ぷんぷんぱっ♪」
ぱ!って言われたと同時に目の前が眩くなった。そして口から鼻から、容赦なく水が入り込む。
そうだった。おれ、いま海で溺れてたんだった……
よろしくでーす(・∀・)