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入学式から1ヵ月がたったが、必要最低限の会話しかしないで人を遠ざけるようにしていた私は、いつの間にか氷の令嬢などと呼ばれるようになり、話しかける人はほとんどいなくなった。


「アリアナ様〜」


…いや、1人だけいた。氷の令嬢に話しかける物好きが。

彼女は急ぎ足で私に近づいてきて


「酷いですわ、私のことを置いていくなんて」


と、少し怒りながら私の隣に並んだ。


アリスティア・ダリット。

ダレット伯爵家の令嬢で、壊滅的な方向音痴らしく入学式の時、寮から学園までの道で迷ってたので案内したら、次の日から道が分からないからと私を寮の前で待っていたり、何故か道を覚えた後でも、私の側に寄って来るようになった。

最初こそ離れるように言っていた私だけど、何度言っても聞かないので最近、もう諦めることにした。


「…って聞いていますか?」

「え?ああ、ごめんなさい。聞いていませんでした。なんの話でしたっけ?」

「もう…、今日は魔術の授業で先週教えたことのテストがあるという話ですよ」


この学園では数週間に一度復習のための実技テストがある。このテストで合格できなかったら放課後先生と居残り練習をすることになる。

魔術の先生は、フリード先生でとっても厳しいと言われている先生だ。


「そこで、アリアナ様にお願いがあります!」


(こういう時のアリスティアのお願いは良いことがないのよね…)


「昼休みに私の魔術の練習に付き合ってください」


前に1度、魔術の練習で魔力の量を間違えて暴走していたため、たまたま通りかかった私が止めなければ危うく怪我人が出るところだったという事件があった。


(放っておくと何をしでかすかわからないわね…)


「はぁ…分かりました。昼休みに練習場で待っていてください」


渋々了承すると、アリスティアは満面の笑みで


「はい!アリアナ様に迷惑をかけないように頑張ります!」


と意気込みながら言っている様子に、私は余計に心配になった。





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