第五話 必死で戦渦を生存中!
すみません
ただひたすらにすみません。
忙しい日がつづく中、執筆するのは難しいです
「ったく、ふざけんな!右足が!!」
ヒビキの右足にどこからともなく飛んできた石が刺さる。重い衝撃がヒビキの行動を封じる。
「帰りてー!」
叫んだところで、戦う者たちの凶器の叫びにかきけされ、意味がない。この世界で意味のある行為とは、自己防衛のみ。
武器を手にし、目の前の敵を一人残らず殺戮することが唯一の生存方法。
殺戮こそ正義。
ここは異世界。
殺戮が罪とイコールになるのは、永遠にない。
何もせず、味方を見殺しにすることこそ、この世界では、罪。
バタッとメルがヒビキの腕から落ちる。ヒビキはメルを避けるように隣に倒れる。
「疲れた」
雄叫びとともに、お互いを傷つける行為をずっと眺める
もう何時間経ったことか。この世界では永遠に戦い続けられるように、睡眠という概念がなくなっているらしい。眼を瞑って現実逃避し、夢うつつになることができない。
しかし、何時間も殺されない。
「何で俺ら殺されないんだ?」
疑問はやがて確信に変わる。
巨漢達は、前しか見ていない。どうやらこの世界では、倒れている者は死体と見なされているらしい。
「これ、勝ちゲーやないの!?」
歓喜。ただ、ひたすらに歓喜。
すると、メルが目を覚ました。
「…ヒ、…ヒビキ。生きて、いる…んですか?」
生きてますよ、というのはさすがにつまらない。何故かヒビキにメルをからかおうとする考えが浮かんだ。
『ここはわざと黙っておこう。フラグ立つかもしんないし』
メルが言葉を発してから5分ほど。周囲は何故か静まり返っていた。
「静かですね。大きいお友達がいっぱい死んでますけど」
目を瞑りながらぐだっとした体勢でいるヒビキを見てメルは、
『こんな時にからかってくるとは、随分ご立派ですね、ヒビキさん!』
メルは倒れたヒビキの死体擬きを後にし、歩き出した。
「おおおおおい!メル・アルビーネ!!お前仲間が死んでたらまず確認すんだろうが!!俺だったら三十度見ぐらいするぞ!」
叫びながら体を勢いよく起こし、メルを追いかける。
「やっぱり生きてたんですか!そんなことして、私が泣き叫ぶとでも思ったんですか?」
メルの嘲笑は見下したようで腹が立つ。が、今はそれさえも幸せと感じてしまう。
「っく、まあ良い。いつかお前に盛大な天罰が来ることを毎日望んでるから、多分明日辺り」
「それはそうと、巨漢達はどこへ行ったんでしょうね」
言葉を遮られたヒビキだが、珍しく諦める。
「ゲームセット。試合終了ってことだ」
「試合終了って、どう言うことですか?」
「この世界では死んだらリスポーンするらしい。でも、それはランダムで仲間だったやつが死んでリスしたら、敵になってたってことがお前の寝てる間に何回もあった」
「リス?ポーンって何ですか?」
メルがはて?と首をかしげる。
「ま、簡単に言えば生き返ることだよ」
一呼吸置き、続ける。
「でもな、ある時からそのリスがなくなった。最初は、生き返るところを狙って生き返ったところを集中攻撃する、リス狩りが互いに行われてるのかと思った。けど、違った。それが行われるのって、どちらかがかなり優勢に立ってるときだから、その確率は低い。というよりない」
「じゃぁ、何ですか?互いに生還をなくす方法って」
「残機がなくなった時」
「残機ってあの鬼ごっことかである回数制限みたいなやつですか?」
「ああそうだ。数えてみたんだが六回が限度らしい」
「何で数なんか数えられるんですか?」
「ああそれか?簡単だ。まず正確な数を数えるのに、生まれたての検体が必要だろ?まず、死体が転がってた時点で、大体の奴等が最終リスだってことはわかるだろ?その後、数時間したらまたたくさん現れたんだ」
「じゃあ早くここから移動しなきゃじゃないですか!って足大丈夫何ですか?私知ってます!ヒビキが、足いてーって叫んでたの」
「それなら大丈夫だ。すっかり治った。一回死んだからな」
「死んだって!マジで死んだんですか!」
「ははは!落ち着けメル。この世界では苦しかったから死ねばいいんだ。死んで生き返ったら健康状態なんだぞ」
そう、この世界では 六回まで死ぬかとができる。つまり治すより死んだ方が確実に健康になるということ。
ヒビキは出血多量で死ぬことを予想し、刺さった石を抜いて放置。
「巨漢がばか騒ぎしてる間にだんだん死んだわ」
「ヒビキは無茶しますね」
メルをが頬笑む。
ヒビキがはにかむ。
いつしか彼等は昇ることのない太陽を待ちながら、ただひたすらに他愛ない話を続けた。
次回は早く投稿します