悪役令嬢(仮)はヒロインに懐かれる
題名が全てです。
ガールズラブ要素がちょっとあるので、苦手な人はそっと閉じてください。
どうしてこうなった?
ヒロインが編入してきて、早数日。
今、私の左腕にはヒロインが纏わり付いている。
淡い金色の髪をフワフワさせて、甘いハチミツのような声で、うふふと私に笑いかける。
その笑顔は、攻略対象者に向けるべきのもので、悪役な私に向けてどうする?と問いたい。
あ、やっぱりダメ。
婚約者様に向けちゃダメ。
「ねぇ、今日一緒にパンケーキでも食べに行かない?」
さっきね、隣のクラスの知らない人が、親切に教えてくれたの。
最初は連れて行ってくれるって言ってたけど、場所だけ聞いてきたんだぁ。えへへ。
おっとりと、ふんわりと笑いながら、パンケーキのお店情報をゲットした経過を教えてくれたが、それ、隣のクラスの知らない人って、多分攻略対象者だよね?
なんか、そんなイベントあった気がするよ?
それ断って、悪役令嬢の私と行くってどうよ?
何かおかしくない?
「ねぇ、いいでしょ?行こうよ」
尚も、甘えながら、腕に絡みついてくる。
そして、ヒロインの小動物のような可愛い顔とは裏腹な豊満なお胸を私の腕に押し付けてきた。
…大変羨ましいものをお持ちですのね…。
思わず、ヒロインのお胸と自分のお胸を見比べてしまう。
…うぅ…毎日腕立て伏せしてたのに…。
3回しか出来なったのが、5回も出来るようになったのに…全然育たない。
また無意識に、自分のお胸をさわさわと揉んでみる。
うん、全然成長の兆しがないね。
やっぱり、婚約者様に再度お願いして、揉んでもらうしか無いのかなぁ。
なんか、嫌そうに見えたけど、もう一度、一生懸命お願いしたら、引き受けてくれないかしら?
自分の胸を見つめて、思案にくれていたら、左腕に巻き付いていた、ヒロインが、ペロッと自分の唇を舐めて、耳元で囁いた。
「ねぇ、お胸、大きくしたいの?」
私が手伝ってあげる♪
今までの、ふんわり柔らかかった笑顔がきえ、妖しく光る瞳を細めて、まさしく、妖艶と言うのが相応しい微笑みを浮かべて背中に覆い被さってきた。
おぉう、背中にメロン2つが当たってる!
同じことをして、婚約者様に何も感じないと言われた私とは大違いか!
男になんて、触らせちゃダメよ?
あいつら、エッチなことしか、考えてないんだから。
だから、ね、私が、やってあげる…よ。
耳元で甘くそう、囁いてくるヒロイン。
そうかぁ、ヒロインが揉んでくれるのかぁ、色々思うことがあるけど、大きくなるなら、良いかぁと、思ってきた。
じゃ、よろしくお願いしますわ…と、言おうとした時、教室のドアが開いた。
入ってきたのは、婚約者様だった。
あれ?なんか、ちょっと不機嫌モードじゃない?
「…婚約者殿、その背中に背負っているのは、なんだ?」
「…先日編入してきた方ですわ。」
「もー、そんな冷たい紹介じゃ嫌だよぉ。親友って言ってよぉー。」
可愛らしくぷんぷんしていながらも、私の首に腕を回して、背中に貼り付いている。
やはり2つの大きなメロンが自己主張してますよ?
「…そうか、編入生か。まぁ、いい。婚約者殿、これから我が家に来い。明日は休みだろ?明日の早朝、馬に乗せてやるから、今夜泊まりに来い。」
侯爵夫人の了解は得ているぞ。
って、お母様?何気軽にok出してるんですか?
私的には、そのまま、既成事実作れる機会が増えてラッキーですが、お母様??
そして、私の頭の上で、何かお二方の視線が殺伐としているような気がするのですが、何故?
ヒロインと、婚約者様の初対面って、こんなのでしたっけ?
なんか、もっとロマンチックな出会いだったような気がするのですが、こんな感じで会っちゃっていいの?
それぞれの背景に虎と龍が見えそうな、出会いは乙女ゲームとして、アウトな気がするのですが…。
えー…。
恋…芽生えてないよね?
虎と龍なら、芽生えないよね?
私の死亡フラグ立ってないよね?
これって、結果OKなやつ?フラグ折れたやつ?
…だったら、嬉しいけど、そして、婚約者様のお泊まりのお誘いも、嬉しい。
お泊まりして、そのまま、お嫁さんにして貰いたい…。
えへっ。
背中にヒロインを乗っけたまま、私は婚約者様を、見つめた。
「お誘い、ありがとうございます。勿論、行かせて「ダメ!」…え?」
「行っちゃダメ。」
尚も、ヒロインが婚約者に向かって睨みながら、否定の言葉を紡ぐ。
「…お前には聞いてない。」
「婚約しか、していないのに、泊まりに誘うなんて、やることしか、考えてないんでしょ?最低!」
あ、その言葉、私の胸にも刺さったよ。
むしろ、やり目的は、私だよ…ヒロイン…。
きっと、婚約者様は、早朝だから、前の日から詰めていた方が、楽だからという理由で、泊まりを勧めてるだけだと思うの。
ふしだらで破廉恥なのは、私なのですよ。
あぁ、恥ずかしい…。
ポッと赤くなり、そのまま走り去りたかったけど、まだ私の背中にはおんぶお化けのごとく、ヒロインがはりついている。
そして、はりついたまま、明言した。
「…どうしても、行くというなら、私もついて行く!絶対、ついて行くの!」
私の聞こえないところで、試合開始のリングの音が鳴り響いていた。
…なんでやねん。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
ヒロイン出す前に終わらせようと、思ったけど、もうちょっとだけ、引っぱりたくて、出しちゃいました。反省はしてる。後悔も…。
このヒロイン、収集つかなくなったら、どうしよう?笑