駆除へ
「蜂の駆除なら、専門業者に頼んだ方が……」
「駆除業者が失踪したから、ここに頼みに来たんだろ!」
中年の男がいきり立ってちゃぶ台をひっくり返した。
タナカがそれを拾い、戻す。
「落ち着いて下さい」
「落ちてられるかっ!」
妖精は、前回のネズミ騒動を思い返し、もしかしたら業者は噛みつかれてネズミになってしまったのでは? と思った。
「……報酬次第ですね」
このクエストが魔王への手掛かりになるとは思えなかったが、破格の報酬ならば受けてもいい。
「結局金か。 勇者は市民の味方じゃねーのかよ……」
ぶつくさ言いながら、提示された金額は5000F (呼び方はフェアリーで、1フェアリーは1円と同じ) だった。
「うーん…… それでプリン何個買えますかね?」
「プリン? 50個は買えるんじゃね?」
妖精は即座に依頼を受理した。
50個もプリンがあれば、リミットの24日間で、一日2つ以上食べられる計算になるのだ。
しかも、妖精にとって市販のプリンはかなりの量である。
(これは、たまらんですね……)
妖精とタナカが依頼主の家にやって来ると、そこは一軒家で、屋根裏の物置スペースに巣があるとのことだった。
「おじゃましまーす」
2人が家の中に入り、2階まで上がる。
部屋の一室に案内された。
「この梯子の先だ。 気をつけてくれ」
タナカを先頭にして、2人が梯子を登る。
「まっちー、俺、スズメバチの駆除なんて始めてだぜ」
「巣を剣で切り取って、この袋に入れちゃいましょう。 少し刺されるかもですが、我慢です」
我慢できる痛みなのかは疑問だったが、タナカは自分が勇者であることを言い聞かせ、物置を探った。
その時、ブーン、という音を耳にした。
「……」
窓際に、禍禍しいオーラを放つ、蜂の巣を発見した。
直径1メートルはある。
巣の前には、護衛の蜂が数匹おり、威嚇の羽音を発している。
「大丈夫かよ……」
ゆっくり近づいて、剣で切り取ろうとした時だった。
「グルル……」
屋根裏に何かいる。